ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ対策編

自作ブースターの製作

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トランジスタ1石の簡単なUHFラインブースターの例
自作UHFラインブースターの製作例

はじめに

 ラインブースターを製作する前にブースターに関して正しい知識を得ておくと良いでしょう。あらかじめ、当サイトの以下の情報を参照しておいてください。
 当ページでは、以下のような自作ブースター、広帯域LNAの製作例を紹介します。

東芝 TA4020FT vs NEC uPC3237TK
型番 製作例
(ページ内リンク)
利得 雑音
指数
整合
回路
パッケージ
サイズ
端子
NEC
2SC3355
UHFブースター 13dB 1.5dB ×必要 5.2×5.5mm 3端子
東芝
TA4020FT
UHFブースター 22dB 1.0dB ×必要 1.2×0.9mm 4端子
東芝
TA4020FT
広帯域LNA 20dB 1.5dB ○不要 1.2×0.9mm 4端子
NEC
uPC3237TK
広帯域LNA 15dB 1.5dB ○不要 1.5×1.1mm 6端子


自作アンプ(1) NEC 2SC3355(NE85632) UHFブースター

 上図のような、トランジスタ1石の簡単なUHFラインブースターを製作しました。
 トランジスタはNEC製の高周波用トランジスタ2SC3355(NE85632)を使用しています。2006年頃までは、定番品で入手性も良く、価格も50円〜 100円以内したが、徐々に入手しにくくなってきています。

 最新の高周波用トランジスタは後述のTA4020FTやuPC3237TKのように非常に小さな表面実装のものが多いので、少し手間がかかるかもしれませんが、2SC3355を探して手に入れるのが簡単だと思います。(2SC3355を購入するための参考情報=「
2SC3355の販売店と価格」)

 ブースター用の15V電源やBSコンバータ用の電源で動作するように出力端子からヒューズを経由してトランジスタに電流を流しています。回路図は下図 のとおりです。

          100p×3 約12V ┌───┐
 ┌─────●──●─●─●─●┤78L12 ├────●─┐
 |  10u/25V|0.01| | | |└─┬─┘    | |
 |   +━┷━ ┷ ┷ ┷ <  |     +┷┌┴┐F 
 ▽→   ━┯━ ┯ ┯ ┯ >R2 ▼   C10  ┯│∫│U 
 ┯ LED  C9| C8|C7|C6| <270     1u/25V||1A|S 
 |     ▼  ▼ ▼ ▼ |         ▼└┬┘E 
 <              |           |  
 >1.5k       ┌─●──●     電源─→┌─●
 <         | |100p|         | |
 |         | ┷  ∫       C5 ┷ ∫L2
 ▼         | ┯  ∫調整用    100p┯ ∫0.22uH
           | |C3 ∫L1        ▼ ∫
          R1< ▼  |     UHF     | ━┳━━
         150k>    ●─━━━━━━━─┨┠●──┨出力
           <   /C  約9V     C4 2p   ┯┻━━
━━┳━ C1    UHF| B┃/               | DC IN
入力┠──┨┠●─━━┷─┨                |
━━┻┯ 10p | 約0.7V ┃\               |
DC OUT|   ┷    2SC3355\|              |
   |   ┯7p       ̄|E             |
   |GND C2|       GND|             |GND
┯┯┯▼┯┯┯▼┯┯┯┯┯┯┯┯▼┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯▼┯┯┯
NEC 2SC3355を使ったラインブースター回路図

 Ic=20mAで15.5dB程度(500MHz)の利得が出るようです。発振防止と、雑音指数の悪化を防ぐ為に、Ic=7mAに設定し、13dB程度に控えています。

 下図はユニバーサル基板上に製作した基板図です。1.0mm厚〜1.6mm厚くらいのガラスエポキシ基板、またはガラスコンポジット基板を用いて、同じ位置に部品を配置すれば、概ね同じような性能が出ると思います。
 あるいは、基板つき書籍「地デジTV用プリアンプの実験」の付録基板を使えば、特性の変化による調整の手間が少なくなるだけでなく、より詳細な製作方法が解説されていたり、3種類のブースター基板が付属していたりなど、幅広い実験が出来るようになっています。当サイト内のサポートページ「設計編-プリアンプの実験」にて性能改良の実験結果を示しています。

自作ラインブースター基板図

自作ラインブースター基板写真(表面)
抵抗器の定数は変更しています(写真の抵抗器のカラーバーは正しくありません)

自作ラインブースター基板写真(裏面)

 調整用コイルはリード線による手作りです。基板の表面に2ループ、背面に1ループあり、巻き数は全体で2巻きになっています。基板面からの高さは約3mm程度で製作し、この段階ではUHFチェッカーで最大の出力が得られるように調整すれば十分です。
 電源Lはチョークコイルです。製作例では0.22uHのインダクターを用いていますが、入手が難しければ、0.22uH〜0.47uHの範囲で探してみてください。

 電源はブースター用電源を使用します。ラインブースターとチューナーとの同軸ケーブルに、ブースター用電源を挿入します。あるいは、安定化電源で供給する場合は、パワーインジェクターを挿入して、同軸ケーブルへ電源を挿入します。

 回路図のとおり、ブースターの出力側の同軸ケーブルから供給された電源がヒューズや3端子レギュレーターを通って、トランジスタに流れます。
 ブースター用電源や安定化電源を所有していない場合は、電源Lは取り付けに、ヒューズ側(図中の「電源→」部)に、15Vの電圧を直接供給します。
 この場合に、電源Lが取り付けられたままだと、チューナーに電圧がかかってしまい、場合によっては故障の原因になるので、注意が必要です。

 製作後、チューナーに繋ぐ前に、少なくとも以下の電圧を確認してください。

 測定ポイント                    | 電圧
───────────────────────────┼────
78L12出力電圧  (GND〜78L12出力端子間の電圧)   |  約12V
ベース電圧VBE (GND〜トランジスタB端子間の電圧)| 約0.7V
コレクタ電圧VCE(GND〜トランジスタC端子間の電圧)|  約9V

 また、回路が発振してしまう場合もあります。製作に自信の無い方や、改造した場合は、出力を
UHFチェッカー等で確認して下さい。もし、発振していると非常に高い出力が発生し、この状態で機器に接続するとチューナーを破損してしまう場合があります。

 コンデンサの容量が少なくて電源が不安定になる場合は、大容量のコンデンサに替えてみてください。但し、コンデンサの耐圧は必ず25V以上にしてください。

 製作後には再び調整用コイルを微調整します。受信チューナーに接続して、物理チャンネルで最も低い周波数のチャンネルを受信してみます。安定した受信が出来ないようであれば、基板表面の2つのループを内側に倒してゆき、チューナーでの受信レベルが向上するように調整します。
 微調整で不十分な場合はコイル長を長いものに変更する必要があるかもしれませんが、実は、受信強度が強すぎてレベルが下がってしまっている場合もあります。
 ブースターの入力側に6dBくらいのアッテネータを入れて改善する場合は、受信強度が高すぎて受信品質が下がっていると判断できます。
 反対に、高い周波数が安定しないようであれば、ループを外側に倒して調整します。この調整で不十分な場合は、低周波数での調整と同様にアッテネータを用いて受信強度が高すぎないことを確認した上で、今度はコイルを短くしてみます。

 製作したブースターの特性例を下図に示します。周波数特性が地上デジタル放送に合っていて、利得は13dBほどで、雑音指数は金属ケースに入れなくても、2〜2.5dB前後の雑音指数が確認できました。ただし、周囲環境のノイズが強い場合は、もっと悪くなるかもしれません。
 なお、金属ケースに入れた場合の雑音指数は1.5dB程度でした。


500MHzにおいて12dBの利得が得られた
自作ブースターの特性(例)

一部の受信できないチャンネルが受信できるようになった
自作ブースターの効果の一例

※本ブースターを実際の御家庭で使用する場合は、筐体に入れるなど安全性への配慮が必要です。また、金属ケースに入れることで、外来ノイズの影響を減らすことが出来ます。この場合、基板右上(表面から見て)の網状に配線したGND部の4隅をビスなどで金属ケースに接地することで、低雑音化が図れ、安定した特性が得られるようになります。

簡易アンテナ+ブースタ
室内アンテナと組み合わせた例

 ここで説明した2SC3355を使った自作アンプを簡単に製作するための書籍がCQ出版社より発売されています。3種類のプリアンプ(ブースター)基板が付属していて、自作部品での受信に挑戦することができます。
 ぜひ、お買い上げいただけるよう、お願いします。

  発行者:CQ出版社
書 名:地デジTV用プリアンプの実験
付属品:プリアンプ基板×3種類
    インジェクタ基板
    ディテクタ基板
    ※部品は別売り
著 者:国野 亘、鈴木 憲次 / 共著
発行日:2009年5月15日 初版発行
備 考:B5判 96頁
    ISBN978-4-7898-1254-2
    税込定価3,360円

自作アンプ(2) 東芝 TA4020FT UHFブースター


東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例

 東芝TA4020FTは、シリコンゲルマニウムの広帯域LNAが集積化されたICです。広帯域で、しかも雑音指数が1.0dB程度と低雑音です。
 部品のパッケージ大きさが1.2mm×0.9mmと、非常に小さいのですが、後述のNECのuPC3237TKと比べると、端子数が4本なのでユニバーサル基板への半田付けが、若干、容易になります。

 一般の電子工作のハンダ付けよりは、難しいレベルになります。

また、一つ約200円と、NEC製uPC3237TKの半額以下で手に入ることも長所の一つです。

 まずは、回路図を示します。

             ┌──────────∧∨∧─┐
      DC5〜15V IN |IN┌───┐OUT(3V) 1k Ohm |
        ○────●─┤AN8003├●──┐    |
             | └─┬─┘|  |10uF/16V|
             ┷  GND|  |+━┷━   ▽→
           0.1uF┯  ┯┿┯ | ━┯━   ┯ LED
             |      |  |    |
            ┯┿┯     | ┯┿┯  ┯┿┯
     電源回路           |   
     ………………………………………|…………………………
     増幅回路(チップ部品を使用) |
                    ●─┨┠─┐
━━┳━          1┌───┐4 | 0.01uF |
入力┠───┨┠─●─┨┠─┤○  ├─●─┨┠─●
━━┻┯   3pF | 47pF |東芝 |   100pF┯┿┯
   |     ∫    |TA4020|         ━┳━━
  ┯┿┯    ∫18 ┌─┤  FT├─┨┠─●─┨┠──┨出力
         ∫nH | 2└───┘3 27pF |  4pF ┯┻━━
         | ┯┿┯         ∫   ┯┿┯
        ┯┿┯            ∫27
                       ∫nH
                       |
                      ┯┿┯
東芝 TA4020FTを使ったUHFブースタ回路図の例

 このICは広帯域かつ高利得です。このため、とくに高利得となる低周波数で発振が起こりやすいので、整合回路はHPF型を用いました。

 以下に実際の製作例を示します。

東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例
東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例

 増幅ICが小さいので空芯コイルだと、あまりにも接近しすぎてしまうため、電源以外の増幅回路部は、コイルを含めて全てチップ部品を用いました。

 現状、チップインダクタが手に入るショップは非常に少ないですが、本ICを販売しているようなショップであれば、たいてい入手可能です。なるべく、直流抵抗が数Ω以下、自己共振周波数が2GHz以上のもので、サイズは1608か、1005サイズが良いでしょう。また、15nH、18nH、22nH、27nHの4種類を購入しておくと、製作後に値を調整することが出来ます。
 通常、100個単位などの数量が必要ですが、最近は20個などの少量でも扱われ始めており、例えばチップワンストックでTDK製のMLK1005シリーズが20個230円で売られていました。東芝TA4020FTと合わせて買えば良いでしょう。

東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例(基板裏面)
東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例(基板裏面)

東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例(拡大図)
東芝 TA4020FT UHFブースターの製作例(拡大図)

 ICは、裏面の4つのランドにハンダ付けします。ちょうどの位置に固定することが出来れば、4端子とも容易にハンダ付けすることが出来ます。
 ハンダが付いているかどうかは、テスターのダイオードVF測定機能を用いて確認します。(アンプの電源はオフの状態のままで測定します。)
 GNDに対して0.8〜1.2Vくらいの結果が出れば正しく接続されています。
 IC4番ピンは、レギュレータが接続されていると、IC4番ピンが接続されていなくても、1.5Vくらいを示します。正常時は1.0V前後なので、1.2Vを超えているようだと、レギュレータへのラインを切断して再測定します。
 また、1番ピンと3番ピンが0Vで、4番ピンが1.5Vを示す場合は2番ピンがハンダ不良になっていると判断することが出来ます。
 一部の端子がハンダ付けされていなかった場合であっても、細いリード線を使用すれば、簡単に修復することが出来ます。

半田不良時の修復方法

 リード線の準備は、直径0.2mm程度の細いメッキ線を、先端から約5mmを十分に半田メッキしておき、ユニバーサル基板のランドにはボール状のハンダを乗せておきます。ハンダ付けは、ユニバーサル基板のランドを半田コテで熱 したまま、メッキ線の先端がランドからICの端子に接触するように挿入します。メッキ線の切断はハンダが冷えて固まってから行います。メッキ線を少し、引っ張りながら、ハンダ付け部を起点に大きく左右や縦横や回転方向に何度も動かしていると、そのうちハンダ付け部の部分で切断されます。
 一見、荒っぽい方法に思えるかもしれませんが、仕上がりが綺麗になる上、ニッパーで切断した場合のように、リード線の余分が残らないので、他の部分にショートする心配がありません。

 IC4番ピンの100pFコンデンサは、IC2番ピンとの間に最短で接続できるように、基板の表面のハシゴ状の一部に、斜めに取り付けています。
 表面のハシゴ状のパターンはGNDです。信号線を中心に橋渡しするように配線しています。裏面がGNDの部分は表面とリード線で接続しています。
 この部分にシールドテープを使用してもかまいません。

 以上のように製作したTA4020FT回路の利得と雑音指数の測定結果の一例を、下図に示します。利得は20〜22dB程度、雑音指数は1.0dB程度でした。

東芝 TA4020FTブースタ 利得測定結果の一例
東芝 TA4020FTブースタ 利得測定結果の一例

東芝 TA4020FTブースタ 測定結果の一例
東芝 TA4020FTブースタ 雑音指数測定結果の一例

 念のため、整合回路が正しく動作しているかどうかも確認しました。

東芝 TA4020FTブースタ 測定結果
東芝 TA4020FTブースタ 反射損失(入力側)測定結果例

東芝 TA4020FTブースタ 測定結果
東芝 TA4020FTブースタ 反射損失(出力側)測定結果例

 入力側、出力側ともに、おおむね10dB以上を満足しており、整合回路が正しいことが確認できました。測定は簡易測定器によるもので、測定結果の黄色のラインが75Ωのダミー抵抗を測定した場合の参考値(測定下限値)です。

 下図は、設計上のインピーダンスです。反射損失の値は製作や測定等の要因によって、測定結果とは一致しない部分がありますが、整合状態の周波数やその範囲などは良く一致しており、設計どおりに製作できていることが分かりました。

東芝 TA4020FT 入出力インピーダンス
東芝 TA4020FT 75Ω整合後の入出力インピーダンス(設計値)

 なお、電源電圧は5V〜15Vの範囲で動作しますので、一般のブースター用15V電源やBSコンバーター用電源の他、USB端子の電源などを使用して動作させることも可能です。
 但し、製作例の回路には電源の保護回路が入っていませんので、ヒューズを追加するか、供給する電源側に過電流保護回路が入っている必要があります。


自作アンプ(2-b) 東芝 TA4020FT 広帯域LNA

 ここでは前節と同じ東芝 TA4020FTを使用した広帯域LNAの製作例を示します。前節では75Ωに整合するための整合回路を付加していますが、本節のアンプは、下図の回路図のとおり整合回路を省略しています。

          ┌──────────∧∨∧─┐
   DC5〜15V IN |IN┌───┐OUT(3V) 1k Ohm |
     ○─〜〜─●─┤AN8003├●──┐    |
      ヒューズ| └─┬─┘|  |10uF/16V|
          ┷  GND|  |+━┷━   ▽→
        0.1uF┯   |  | ━┯━   ┯ LED
          |  ┯┿┯ |  |    |
         ┯┿┯     | ┯┿┯  ┯┿┯
                 |   
       100pF        ●─┨┠─┐
━━┳━   (Chip) 1┌───┐4 | 0.01uF |
IN→入力┠────┨┠──┤○  ├─●─┨┠─● ━━┻┯  or 47pF  |東芝 |   100pF┯┿┯    |       |TA4020| 33pF(Chip)  ━┳━━    |     ┌─┤  FT├──┨┠─────┨出力→OUT    |GND    | 2└───┘3 or 27pF   ┯┻━━ ┯┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯
東芝 TA4020FTを使った広帯域LNA回路図の一例

 チップの入出力のコンデンサは1608サイズのチップコンデンサを使用しています。メーカーは、入力に47pF、出力に27pFを推奨していますが、製作時に手持ちが無かったので、それぞれ、100pF、33pFを使用しました。

 実際の製作例を下図に示します。IC4番ピンの2つのコンデンサは、2番ピンのGNDに接続するために斜め方向に取り付けています。

東芝 TA4020FT の実験基板(表面)
東芝 TA4020FT 広帯域LNAの製作例(表面)
東芝 TA4020FT の実験基板(裏面)
東芝 TA4020FT 広帯域LNAの製作例(裏面)

 以下に利得の測定結果を示します。

東芝 TA4020FT 利得測定結果
東芝 TA4020FT広帯域LNA 利得測定結果

 測定結果から、約30MHzから1GHz以上にわたって利得があることが確認できました。また、500MHzでの利得が約20dBと高いことも特長の一つです。
 しかし、200MHz付近にノッチのような利得の変化が見られました。念のために、入力を終端した状態での出力も確認しましたが、明確な発振はしていないようでした。しかし、何らかのきっかけで発振する可能性があると思います。例えば、問題の周波数は、シールドを取り付け前は180MHzだったのですが、シールドを取り付けると220MHzに移動しました。GNDの状態によっては発振してしまうかもしれません。
 このような利得の変化が、利得の高い部分で発生している場合は、好ましくありません。
 原因として考えられるのは、インピーダンス不整合による影響や、4番ピンに接続した2つのコンデンサの共振などによる影響などが考えられます。
 念のために、ICを別のものに交換してみましたが、同じように発生していました。

自作アンプ(3) NEC uPC3237TK 広帯域LNA

 次に、NEC製の集積ICアンプμPC3237TKを使った場合の製作例を紹介します。本アンプもシリコンゲルマニウムの広帯域LNAが集積化されたもので、雑音指数が1.5dBと低く、しかも、始めから50Ωに整合されていて、とても魅力的です。(LNA=ローノイズアンプ、低雑音増幅器)
 しかし、部品が小さいので、ハンダ付けに工夫がいる点と、一つ450円とそこそこの高価品であることから、製作には、多少の覚悟が必要です。
 下図の鉛筆の先にある黒くて四角い粒がICで、端子数が6ピンなのですが、写真では端子が見えませんし、肉眼でも、光が反射しないと見えないくらいです。
 現物を見ると、製作の意欲を無くしてしまいますが、実際の寸法は、1.5mm×1.1mmで、端子間隔も0.48mmくらいです。面実装部品の経験があれば、それほどハードルが高くないサイズだと思います。不安に感じた場合は、サイズや端子間隔の寸法を自分に言い聞かせれば、多少は落ち着いて作業が行えるかもしれません。

 ※但し、一般の電子工作と比較して、極めて難しいレベルです。

高性能だが、すごく小さいNEC uPC3237TK
とても小さいNEC uPC3237TK
まずは回路図を示します。今回はICの特性を測定するために製作したので、 入出力インピーダンスはICの50Ωのままです。

DC IN   ┌──────────∧∨∧─┐
5〜15V  |IN┌───┐OUT(3V) 1k Ohm |
○─〜〜─●─┤AN8003├●──┐    |
 ヒューズ| └─┬─┘|  |10uF/16V|
     ┷  GND|  |+━┷━   ▽→
   0.1uF┯   |  | ━┯━   ┯ LED
     |  ┯┿┯ |  |    |
    ┯┿┯     | ┯┿┯  ┯┿┯
            |                  
         1000pF| 4┌───┐3        ━┳━━
         ┌┨┠●─┤uPC  ├──┨┠─────┨入力←IN
         |    5|3237TK|2  100pF    ┯┻━━
        ┯┿┯ open>┤   ├─┐(Chip)   |
   ━━┳━       |   | |      |
OUT ←出力┠────┨┠──┤  ○├─●      |
   ━━┻┯   100pF 6└───┘1 |      |
      |GND (Chip)        |GND     |GND
   ┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯
NEC uPC3237TKを使ったLNA回路図の一例

 この回路図は、出力が左に、入力が右に書かれているので注意してください。また、uPC3237TKの5番ピンはGNDに接続することになっているのですが、製作の都合でopen(何も接続しない)にしてみました。
 ハンダ付けに自身のある方は、5番ピンもGNDに接続した方が良いでしょう。

 次に、この回路をユニバーサル基板を使って、比較的、簡単に製作する方法についてて紹介します。

 前述のとおり、6ピンのうち5ピンをユニバーサル基板にハンダ付けします。まず、縦横に隣接した4つのランドの中心にICを乗せて、それぞれのランドにICの1、3、4、6番ピンをハンダ付けします。
 次に、直径0.2mm程度のメッキ線などを用意し、先端から5mmくらいを十分に半田メッキしておきます。ICの1番ピンのランドを半田コテで暖めながら、メッキ線を2番ピンに接続し、ハンダが冷めてから、余分なメッキ線を切断します。
 なお、ICが小さいので熱によって壊れやすくなっていると思いますので、この部分のハンダ付け前に、ICなしで十分に練習したうえ、短時間で作業したほうが良いでしょう。下図は、実際に製作した基板です。

NEC uPC3237TK の実験基板(表面) 表面

NEC uPC3237TK の実験基板(裏面) 裏面
NEC uPC3237TK の実験基板

 表面は、ヒューズ(リセッタブル)、3端子レギュレータ(低ドロップタイプ)、LED、抵抗が各1点と、電源用のコンデンサ3個が取り付けられています。
 ハシゴ状の部分は裏面の入力ラインのGNDで、ラインに沿って8箇所からリード線を貫通させて表面で接続しています。
 裏面は、uPC3237TKと、100pFのチップコンデンサが取り付けられています。
 少し、見えにくいですが、中央付近の黒い部品がuPC3237TKで、その左下と右上の白い部品がチップコンデンサです。

 製作したμPC3237TK基板を50Ωでゲインを測定した場合の特性を下図に示します。30MHzあたりから1GHz以上にわたって、広帯域に増幅できることがわかりました。

NEC μPC3237TK 測定結果
NEC μPC3237TK 測定結果

 下図は50Ωに対する本アンプ入力と出力の整合状態を示す反射損失の測定結果です。
 入力側の反射損失は10dBくらいで、出力側に比べると劣っていることが分かります。入出力ともに、通常の使用では十分な整合状態が確保できています。
 雑音指数は、仕様どおりの1.5dBでした。

NEC μPC3237TK 測定結果
NEC μPC3237TK 反射損失(入力側)測定結果

NEC μPC3237TK 測定結果
NEC μPC3237TK 反射損失(出力側)測定結果

NEC μPC3237TK 測定結果
NEC μPC3237TK 雑音指数測定結果
(500MHz付近以外は測定系の誤差が含まれます)


 今回は、ICが高価だったことと、製作に自信がなかったので、ICを一つしか購入していませんでした。したがって、μPC3237TKそのものの特性測定を主とし、SMAコネクタを使用した場合の50Ωでの製作と測定を行いました。

 始めからブースター用に製作する場合はF型コネクタを使います。整合回路を付加するかどうかは悩むところですが、このICは非常に広帯域なので、強い低周波の妨害波の影響を低減するためにもHPF型の整合回路を付加した方が良いと思います。
 μPC3237TKのデータシートに記載の入力インピーダンスから整合回路を設計すると、下図のようになります。この整合回路は、地デジ周波数の500MHz付近の整合を適正化しつつ、低周波を低減するHPFの機能も有しています。
 製作時は、C1とL2は、なるべくICの近くに配置します。

                     75Ω ア
┏━━━━━┓3 ┏━━┓      ━┳━━━━ ン
┃ uPC3237TK┠─┨C1┠─●─────┨同軸線  テ
┃     ┠┐┗━━┛┏┷┓  ┌━┻━━━━ ナ
┃    ○┠● 47pF ┃L┃  │       へ
┗━━━━━┛|   27┃2┃  │       
       |   nH┗┯┛  │GND
     ┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯┯┿┯┯ ※電源重畳厳禁
uPC3237TKの整合回路の一例

※本整合回路の実験による検証は未実施です。
※設計上の検証を行っているので問題ないと思いますが、場合によっては、
 変更が発生するかもしれません。

 より簡単には50Ωの同軸ケーブルを使用する方法もあります。前者よりも整合度は劣りますし、HPFが無いので、低周波数の妨害波に弱くなる欠点があります。コイルが無いので製作は簡単です。

             50Ω 3/4λ  75Ω ア
┏━━━━━┓3 ┏━━┓ ━┳━━━┳─┳━━━ ン
┃ uPC3237TK┠─┨C1┠──┨同軸線┠─┨同軸線 テ
┃     ┠┐┗━━┛┌━┻━━━┻─┻━━━ ナ
┃    ○┠● 100pF │            へ
┗━━━━━┛|    │GND
   ┯┯┿┯┯┯┯┿┯┯┯┿┯┯
同軸ケーブルを使った整合回路の一例
※本整合回路の実験による検証は未実施です。
※設計上の検証を行っているので問題ないと思いますが、場合によっては、
 変更が発生するかもしれません。

 3/4λは約45cmに相当しますが、ケーブルの波長短縮分を考慮します。例えば、波長短縮率が0.67のケーブルであれば、30cmにします。

 フィルタ機能だけでも付加したい場合は、
インピーダンス変換器を入れることで、多少の整合の改善と、強い低周波の入力による性能の劣化を防止することが出来ます。

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