ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ資料編 - 受信感度比較

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受信感度性能比較

  チューナの受信性能を比較する為に、下図のように、アンテナとチューナの
  間に減衰器を挿入し、その減衰器の減衰量が何dBまで上げれるかで、性能を
  比較しました。ただし、Panasonicチューナには他の機器へ接続する為のア
  ンテナ出力端子がありませんので、Panasonicのチューナには、2分配器を
  挿入し、片側にダミー抵抗を接続しました。
  SHARPのチューナのアンテナ外部出力端子にもダミー抵抗器を接続しました。

  接続図(Panasonic TU-MHD500)

    ┏━━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━━━━━━┓
    ┃アンテナ┠→┃分配器┠→┃減衰器┠→┃チューナ (Panas)┃
    ┗━━━━┛ ┗━━┯┛ ┗━━━┛ ┗━━━━━━━━┛
              |  ┏━━━┓
              └─→┃終端器┃
                 ┗━━━┛(ダミー抵抗器)

          

  接続図(SHARP DV-HRD20)
                        アンテナ出力
    ┏━━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━━━━━━┓ ┏━━━┓
    ┃アンテナ┠→┃減衰器┠→┃チューナ (SHARP)┠→┃終端器┃
    ┗━━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━━━━━━┛ ┗━━━┛
                           (ダミー抵抗器)
    

  
  このテストによる測定結果は下表のとおり、2分配機の損失と同等の3〜
  4dBの差が得られました。

  測定結果

  チューナ |ch| エラーフリー |ブロックノイズ|  映像断
  ─────┼─┼───────┼───────┼───────
  Panasonic |16| 34dB  | 35dB  | 36dB
  SHARP   |16| 37dB  | 38dB  | 40dB
  Panasonic |24| 29dB  | 30dB  | 31dB
  SHARP   |24| 33dB  | 34dB  | 35dB

  相対的な比較測定なので、測定誤差は、ほとんどありませんが、全くの
  同一時刻に測定しているわけではありません。およそ、±1dB程度は
  変動していると思います。

  測定結果の差が分配器の損失と同等なので、デジタル専用のアンテナを
  設置していて、デジタルチューナ1台しか接続しいない場合は、差が無い
  ということになります。

  PanasonicとSHARPチューナの性能に関して「チューナの受信特性」でも
  触れており、所要CNRを同一とした場合は、以下のとおりです

      チューナ |受信感度 |備考
     ──────┼─────┼───────────────
      Panasonic | -80.6 dBm|Panasonic NF仕様 + SHARP CNR
      SHARP   | -82.6 dBm|SHARP 技報より

CNR比較

  以上の測定や検討結果では、PanasonicとSHARPの違いが、NFにあるのか、
  CNRにあるのかが、分かりません。
  これを切り分ける実験としては、減衰器とチューナの間にブースターを、
  挿入すれば、チューナのNFによる劣化が見えなくなり、CNRだけを比較する
  ことが可能になります。

    ┏━━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━━━━┓
    ┃アンテナ┠→┃減衰器┠→┃ブースター┠→┃被測定対象┃
    ┗━━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛

  今回の測定結果では、PanasonicおよびSHARPのチューナで、完全に一致
  しました。したがって、チューナの所要CNRという点では、全く、同一の
  性能であることが分かりました。

  測定結果                (前記の測定とは別の日)

  チューナ |ch| エラーフリー |ブロックノイズ|  映像断
  ─────┼─┼───────┼───────┼───────
  Panasonic |16| 38dB  | 39dB  | 40dB
  SHARP   |16| 38dB  | 39dB  | 41dB

  つまり、PanasonicおよびSHARPのチューナには、総NFに違いがあることに
  なります。

強入力特性

  測定の接続方法は、CNR比較と同じ測定方法ですが、減衰器の値を低くして、
  チューナーに大きな受信波を入れた場合の特性が強入力特性です。
  以下のように、Panasonicが、SHARPよりも6dBも良い結果が出ました。

  測定結果

  チューナ |ch| エラーフリー |ブロックノイズ|  映像断
  ─────┼─┼───────┼───────┼───────
  Panasonic |16| 11dB  | 10dB  |  9dB
  SHARP   |16| 17dB  | 16dB  | 15dB

  したがって、SHARPのチューナを使っている方で、受信レベルが極端に高い
  にも関わらず受信が不安定な場合は、強入力特性による劣化が考えられます。
  このような場合、アンテナ入力に減衰器を挿入する必要があります。

  なお、今回の測定では、デジタル波よりも強いアナログのUHF波の混入して
  いたり、ブースタでの歪みなどの要因があるため、本来のデジタル波のみの
  強入力特性とは異なる場合があります。(実使用状態での評価結果です。)

  追記:
  この強入力特性の測定結果は、やや信頼性にかけることが判明しました。
  おおむね、Panasonicの方が、良い傾向にありますが、別の日に測定すると、
  例えば、15chでは、Panasonicの方が悪い結果が出ることもあります。
  アナログ波が混入しており、テスト方法に課題があるようです。

耐瞬時ノイズの比較

  復調器の性能を試す為に、瞬時ノイズの耐久度を試験しました。瞬時ノイズ
  を発生するために、同軸線上に、下図のような2連スイッチを挿入し、スイッ
  チの切り替える際に、一瞬だけ、電波が停止するようにしました。

          ┌───┐  |IN ┌───┐
          │   │  │  │   |
          │ ┏━○━━○━━○━┓ |
          │ ┃  ̄ ̄ ̄ ̄    ┃ |
          │ ┃ ____    ┃ |
          │ ┗━○━━○━━○━┛ |
          │   │  │  │   |
          └───┘  |OUT └───┘

  このテストは、定量的な測定が容易では無いため、テレビを2画面表示にし
  て、何度も、スイッチを切り替えて、両チューナの映像を比較しました。
  これにより、同条件でのテストが可能になり、以下のようにSHARPの方が強い
  結果が出ました。

  測定結果

  チューナ |瞬間切り替え|通常切り替え|低速切り替え|鈍足切り替え
  ─────┼──────┼──────┼──────┼──────
  Panasonic |○ノイズ  |△画像舜停 |×黒表示  |×黒表示
  SHARP   |○ノイズ  |○ノイズ  |△画像舜停 |×黒表示

まとめ

  以上のテスト結果をまとめると、以下のようになりました。

    使用状況\チューナ    |Panasonic | SHARP 
                 |TU-MHD500 | DV-HRD20
   ──────────────┼─────┼──────
   地上デジタル専用アンテナ※ |  ○  |  ○
   ブースタ使用時/共同受信  |  ○  |  △
   瞬時ノイズ(工場、線路沿い等)|  △  |  ○
   チューナの価格       |  ◎  |  △

        ※デジタル専用アンテナを分岐せずにチューナ1台のみに接続

  SHARPのチューナーには、分配器が内蔵されていますが、これによるNFの劣化
  が見られません。したがって、分配器の前に低雑音のアンプを挿入するなど
  総NFを良くする技術が投入されていると思われます。
  一方、Panasonicのチューナーは、少なくともSHARPよりも幅広い入力レンジ
  を確保しています。これは、通常の地上波受信だけでなく、ケーブルテレビ
  での利用も想定されているためと思われます。

  今回は、低価格なチューナ単体と、高価なHDD搭載機との比較であり、各社の
  技術力の差を比較したものではありませんので、ご留意ください。

  また、通常は、製品を選択される基準は、チューナの受信特性以上に、HDD
  内蔵であるとか、Blu-ray搭載であるとか、あるいは、使い勝手の良し悪し
  の方が、重要であると思います。機能面については、こちらをご覧ください。

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