ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ報告編

Panasonic Blu-rayレコーダ DIGA DMR-BW800 (DMR-BW900,DMR-BW700)

              (更新:2007年11月14日)    地デジTopへ


Panasonic Blu-rayレコーダ DIGA DMR-BW800
  https://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=DMR-BW800

  本機は長時間録画AVC録画方式を搭載したハイビジョンBDレコーダーです。
  各社のレコーダーを比較し、本機がベストだと思って購入しました。
  実際に使ってみてとても満足のゆく製品でしたので、ここで紹介させていた
  だきます。               (BD=ブルーレイディスク)

    Panasonic DMR-BW800
           Panasonic DMR-BW800 (価格=¥)

  特長 ・ハイビジョン映像がBlu-rayディスク、DVD-RAMディスクに録画可能
      (従来のハイビジョンDVDレコーダでは出来なかったこと)

     ・裏表なしのWデジタルチューナー(地上,BS,CS110)
      (同時に2番組まで録画可能。裏表チューナを意識しない簡単操作)

     ・長時間録画AVC録画方式で長時間(約3倍)ハイビジョン録画が可能に
      (ビデオで言う3倍モードのようなものをハイビジョン画質で実現)

     ・i.Link TS入出力機能でハイビジョンレコーダからのムーブにも対応
      (SHARP機や一部を除くPanasonic機で録画した番組を本機に移せます)


競合他社製品との比較

  下表は競合製品との比較表です。Panasonic機は3機種ともに性能が良いので
  すが、価格面で劣っています。また、店舗で実機を見ると、値段は高いのに
  本体やリモコンが他社に比べて、安っぽい外観が気になります。
                   (見た目よりも、性能重視のようです)

競合する次世代DVDレコーダとの比較
メーカ 機種 概略価格 Blu
-ray
HDD容量 DVD
-RAM
i.Link
(TS)
長時間
H.264
BD-RE
1.0
Panasonic 13〜24万 250G〜1T ◎F-HD △再生
SHARP 8〜24万 なし〜1T △再生 × ×
SONY 11〜17万 250G〜500G × × ○HD △再生
東芝 10万 HD DVD 300G ○ベア ◎F-HD ×
                      (比較表=「資料編-レコーダー」)


概略

  Panasonic製 Blu-rayレコーダ DMR-BW900 DMR-BW800 DMR-BW700 の3機種が
  2007年11月1日に発売されました。本機には最新の45nmの超微細プロセスで
  製造されたUniPhierが搭載され、地上デジタル放送をフルハイビジョン画質
  長時間録画(約3倍)することが可能になりました。(H.264圧縮録画が可能な
  AVC録画方式を搭載)。Blu-rayディスクに約18時間、DVD-RAMに約1時間40分の
  録画がハイビジョン画質で行えます。
  (但し、AVC録画したディスクは従来のAVC非対応機器では扱えません)

AVC記録(ハイビジョン)の録画可能時間
モード 方式 レート 画質 録画可能時間
Blu-ray 2層 DVD-RAM 片面
DR TS 16.85Mbps





約6時間00分 録画不可
HG AVC録画 12.9Mbps 約8時間00分 約   42分
HX AVC録画 8.6Mbps 約12時間00分 約1時間05分
HE AVC録画 5.7Mbps 約18時間00分 約1時間40分

  映画の録画については、地上デジタル放送で放送されている多くの映画は、
  2時間以内です。元々、2層のBlu-rayには映画3本の録画が可能でした。
  本機では、容量が半分の1層のBlu-rayディスクにHXモードで3本の映画が
  保存できるようになります。1層ディスクと2層ディスクとの価格差が2倍
  以上あることを考えれば、シリーズ録画が手軽に行えるようになったと言え
  ると思います。また、映画番組のCMをカットすれば1時間40分程度以下
  になることも多いので、最も高圧縮のHEモードにて、より安価なDVD-RAMに
  ハイビジョン録画できる場合も多いでしょう。

  国内ドラマ1シリーズを1枚のBlu-rayディスクに録画できる場合も多くなり
  ます。通常の1時間ドラマの放送回数は11回程度で、2時間スペシャルが
  あっても、12時間程度ですので、あまり画質の低下が感じられないHXモー
  ドで1枚のBlu-rayディスク(2層)に保存可能です。
  あるいはCMをカットすれば多くのドラマは約50分です。DVD-RAM片面に2話
  (両面で4話分)のドラマをハイビジョンで録画できる見込みです。

  さらに、新しいBD-R規格のVer1.2にも対応し、BD-Rへの高速ムーブが可能に
  なりました。DRモードで録画した地上デジタル放送を約8.5倍速でダビング
  出来るようになり、1時間の番組を約7分でダビングすることが可能です。
  しかも、AVC録画方式であれば、さらに高速なダビングが可能になります。
  但し、高速ダビングが可能な形式で録画すると他社機での再生互換性が低く
  なります。(音声モード設定が起因)

  対応メディアが多いことも特長です。カートリッジ入りDVD-RAMへの対応や、
  旧規格のBD-RE 1.0の再生にも対応しています。
  もちろん、DVD-R、DVD-R DL、DVD-RWにも対応しています。しかし、DVD-RW
  への録画は従来画質となり、ハイビジョンでの録画が出来ません。

BD-RE 2.1 DVD-RAM BD-RE 1.0
BD-RE 2.1 DVD-RAM BD-RE 1.0

  SONY、SHARPに比べて機種数が少ない点で、他社よりも高めの価格設定になっ
  てしまいました。しかし、(1)DVD-RAMに対応した唯一のメーカーであり、
  (2)DVD-RAMにハイビジョン画質で録画できる点で、2007年の冬期で一番の
  お薦めのBlu-rayレコーダです。


Panasonic ハイビジョンレコーダ

  Panasonicは、2001年の春に、他社に先駆けて、デジタンク NV-HDR1000 HDD
  レコーダを発売したハイビジョンレコーダの先駆者です。しかし、デジタン
  クはアナログチューナーしか搭載しておらず、デジタルチューナーをiLink
  接続して使用するものでした。翌2002年の春には、CS蓄積放送サービスに
  対応したEP-P100を発売しましが、Panasonicブランドではありませんでした。
  以降、長期に渡って、ハイビジョンレコーダは発売されず、この分野はSHARP
  の独占俵となていました。
  また、Blu-rayレコーダでは、2003年4月に発売されたSONY BDZ-S77から1年
  以上の遅れで2004年7月にDMR-E700BDを発売しましたが、その年末にはSHARP
  よりHDD内蔵のBD-HD100が発売され、Blu-ray市場でもSHARPが強い状況が続き
  ます。
  しかし、翌2005年7月にPanasonicにとっての初のハイビジョンDVDレコーダ
  DMR-EX300、DMR-EX100を発売してから、Panasonicもハイビジョン録画機器に
  本格的に参入し始めます。初めての人でも使いやすい点や、DVD-RAMに対応し
  たこと、さらに、テレビとの連携を図ったVIERAリンクにより、本2007年には
  トップシェアにまで至りました。
  しかも、2006年12月に発売したBlu-rayレコーダ DMR-BW200 は、Blu-ray機の
  中で60%もの高シェアを獲得し、現在、最も注目されているメーカです。



使ってみての感想 m(v_v)m

  以下は、実際に使ってみての率直な感想です。良かった点だけでなく、悪い
  と感じた点も書かせていただいています。内容について、十分に確認を行っ
  てから記載していますが、情報に勘違いや誤りがあるかもしれません。
  本情報によって、万が一、損害を被った場合であっても、当方は一切、責任
  を負いませんので、予め、了承ください。

     不適切な内容がありましたら、こちらから指摘ください:「掲示板

録画実行中の番組編集作業が可能に \(^_^)/

  録画実行中の番組編集作業が可能になりました。Panasonicの従来機種では、
  出来ませんでしたし、これまで録画中の編集が可能だったSHARP機でも、2
  つの番組を同時録画しているときは編集が出来ませんでした。ついに、本機
  では、2番組録画時であっても編集が可能となったのです。
  但し、録画中のダビングについては、他社よりも劣っている部分もあります。
  例えば、高速ダビング以外の等速ダビング中は、一切の録画が出来ません。
  また、録画実行中に高速ダビングを開始することも出来ません。他メーカの
  レコーダーの中には、1本のDR録画中にはダビングに制約が無い機種もあり
  ます。Blu-ray機ではHDDに録画した番組をダビングすることを目的で使わ
  れるだけに、本機のようなダビングの制約は残念です。

長時間録画AVC録画方式での録画と番組編集が可能に \(^_^)/

  地上デジタル放送を約3倍の長時間録画が可能になりました。しかも、この
  モードで録画した番組の編集も可能です。編集時の制約は、コマ戻しが出来
  ないことくらいです。正確にCMをカットしたい場合は、少し、作業に手間
  がかかります。また、再生時は、カットした部分で映像が一瞬だけ停止する
  場合があります。カット部分が短いと発生するようです。40インチ以上の
  大型テレビで視ていると、一瞬の停止で驚くことがあるかもしれません。
  また、W録画中、長時間録画のAVC録画は1本しか実行できません。
  誤って2本を予約したり、番組が延長されて後にAVC録画で予約していた別の
  番組と重なってしまった場合に、自動でDR録画に切り替わるような機能が
  無く、録画を失敗してしまいます。AVC録画での予約時は、注意が必要です。
  その代わりに、従来はエンコード録画(XP,SP,EP録画)中の再生が出来ません
  でしたが、本機ではAVC録画を含めてエンコード録画中であっても、録画
  済番組の再生が出来るようになりました。UniPhierがフルHD2番組までを
  同時に再生できるようになったために実現できた機能です。むしろ、これだ
  けの能力を持っておきながら、ダビング中の制約が多いのは不思議です。

長時間録画AVC録画方式でも画質はほとんど劣化しない \(^_^)/

  AVC録画の画質は、最長時間録画のHEモードであっても静止画像を見る限り
  元の映像との差は感じられません。動いている部分が不鮮明になる動きボケ
  やブロック状のノイズが見えてきますが、より高画質なHXでは動きに対し
  ても劣化が感じられなくなります。動画の画質を維持したい場合はHXモー
  ドが良いでしょう。地上デジタル放送を録画する限りは、より高画質なHG
  モードは使う必要が無いように感じます。HGモードは地上デジタル放送よ
  りも解像度の高いBSデジタル放送用に搭載されているようです。
  ボクが見る限りは、画質を落さずに長時間録画が可能になったような印象を
  受け、とても満足しています。(店頭で比較しても他社よりも鮮明です)
  しかし、従来の標準画質の映像の場合は問題があります。地上デジタル放送
  のハイビジョン映像は約3倍の長時間録画が可能になりますが、標準画質の
  映像は、元のサイズよりも大きくなってしまう場合があるのです。この為、
  AVC録画はハイビジョン放送専用で、従来画質放送は従来のSPモードなど
  で録画した方が良いでしょう。

長時間録画AVCREC方式でのDVD-RAMへの保存(実力105分) \(^_^)/

  概略で説明したとおり、ハイビジョン画質でDVD-RAMに保存することが出来
  ます。録画可能な時間(容量)はHEモードで約1時間40分です。
  DVD-RAMにハイビジョンのAVCREC録画を行う場合は、DVD-RAMをAVCRECフォー
  マットで初期化する必要があります。初期化後の容量は、若干少なくなり
  約4290MBとなります。HEモードの実測レートは5.65〜5.75Mbpsでしたので
  実際に録画可能な時間(容量)は1時間44分〜46分(実力)でした。

長時間録画AVC録画方式への変換機能 \(^_^)/

  長時間録画ではない通常のDR録画を行っておいて、後から長時間AVC録画へ
  変換することが可能です。これは予想以上に便利な機能に感じると思います。
  例えば、ディスクの空き容量が減ってきてから実行することだって出来るか
  らです。しかも、今すぐに実行するだけでなく、電源を切ってから実行する
  予約機能も搭載されました。しかし、長時間録画AVC録画方式で録画した番組
  やビデオカメラAVCHD方式の番組を予約変換することは出来ません。また、
  予約できるのは方式変換のみで、ダビング予約は出来ません。SHARP機では
  2002年に発売したハイビジョンレコーダからダビング予約を搭載し続けてい
  ることを考えると、ダビング予約も定着してきた機能の一つですので、今回
  の変換予約とともに本機にも搭載して欲しかったと感じました。

標準画質(XP,SP,LP,EP)のBlu-rayへのダビングは等速 (T_T)

  さらに、AVC録画方式以外の標準画質のXP、SP、LP、EPモードへの変換も可能
  です。ところが、これらのモード(XP〜EP)に変換するとBlu-rayディスクへの
  高速ダビングが出来なくなります。例えば、Blu-rayディスクには標準画質の
  LPモードで42時間の録画が可能ですので、1シリーズで24時間のドラマ
  を1枚のBlu-rayディスクにダビングできるだけの容量があります。ところが、
  高速ダビングが出来ないのでダビングにも24時間が必要になり、しかも、
  ダビング中は、一切の録画が実行できないので、丸々24時間の期間、予約
  録画が実行できないことになります。始めからXP〜EPモードで録画した番組
  も同様に等速ダビングになりますので、Blu-rayの大容量さが活かせない点で
  とても残念です。
  本機が、標準画質のAVC録画や、MPEG2-TS方式への変換に対応していないこと
  が原因です。標準画質のDVD-RAMはMPEG2-PS方式ですので、XP〜EPへの変換
  時はMPEG2-PS方式に変換します。ところが、Blu-rayはMPEG2-PS方式をサポー
  トしていないので、MPEG2-PSからMPEG2-TSに変換する必要があり、本機では
  この変換に、等速ダビングが必要になるのです。


HDビデオカメラAVCHD方式の番組編集が可能に \(^_^)/

  ハイビジョンビデオカメラで使用されているAVCHD方式の番組編集が可能に
  なりました。編集前に、ビデオカメラAVCHD方式で記録されたSDカードを本
  機機のHDD等にダビングしなければ編集は出来ませんが、カード内のオリジ
  ナルの映像を保護することを考えれば、ごく自然な方法と思います。
  さらに、前回の機種ではBlu-rayにAVCHD方式で記録するには、AVCHD専用の
  初期化が必要でしたが、普通に初期化したBlu-rayディスクや、テレビ番組
  を録画したBlu-rayディスクに、AVCHD方式で記録できるようになりました。
  また、HDDに取り込んだAVCHD番組をダビングすることも出来ました
  これらの機能は旧製品には搭載されていなかった機能で、やっとAVCHD方式
  も使えるようになってきました。AVCHD方式のハイビジョンビデオカメラの
  購入を考えられている方には、お奨めのレコーダーです。

ハイビジョンビデオカメラ Panasonic HDC-SD1 SDHC メモリーカード
ハイビジョンビデオカメラ Panasonic HDC-SD1 と
SDHCカード

  しかし、本機で作成したAVCHDのBlu-rayディスクは、旧機種では再生できな
  かったり、旧機種でAVCHDフォーマットしたBlu-rayディスクへは、本機では
  記録できなかったりと、旧機種との互換性の問題が発生しています。これは
  Blu-rayディスクのフォーマットの違いから発生する問題と思います。
  旧機種のAVCHDを本機に取り込むことは出来るので、旧機種での再生が不要
  な場合は、通常のBlu-rayフォーマットに移行することで解決できます。ま
  た、反対に旧機種で再生できなくなることが不自由な方は、旧機種のAVCHD
  フォーマットで残しておけば、本機での再生は可能となります。しかし、
  どちらの方法でも不都合が残ってしまいます。AVCHD機器はビデオカメラ、
  レコーダーともに高価な製品にも関わらず、HDV機器に比べて利用形態が制
  限されていました。この上、わずか1年で互換性の問題が発生しているよう
  だと、将来性に不安を抱く人も増えるかもしれません。本機と旧機種で相互
  に互換性がとれるようなアップデートを望みます。(せめて再生だけでも)
  カード挿入口にも課題があります。挿入口が本体の下の方でフロントパネル
  に接近しているので、カードの出し入れする際に、カードを上から押さえて
  しまうような力がかかってしまいます。十分に気をつけて丁寧に取り扱えば、
  問題がありませんが、頻繁に出し入れすることは想定されていないようです。
  また、長時間録画のAVC録画方式と同様に、編集でカットした部分は、一瞬、
  停止してしまうことがあります。

カートリッジ入りBlu-ray \(^_^)/

  DMR-BW200同様、DVD-RAMカートリッジに入れたBlu-rayディスクが使用でき
  ました。もちろん、旧規格BD-RE1.0もBDカートリッジのままで、再生が出来
  ます。(旧規格のBD-REへの録画は出来ません。)
  カートリッジに入れたメディアは取り扱い時に、あまり注意しなくて良いの
  で、小さな子供やお年寄りの方でも扱いやすいと思います。早く、新規格の
  カートリッジ入りBlu-rayディスクが登場して欲しいところです。

DVD-RAMカートリッジに入れたBlu-rayディスク

ディスクトレーを押して閉じにくい (~、~)

  Panasonicのレコーダの多くがディスクのトレーを押してのトレー閉じに
  他社よりもチカラが必要です。カートリッジ対応のディスクを挿入する際
  に、その力でトレーが閉じないようにしている為だと思います。
  トレーを押して閉じることに慣れている方には違和感があるかもしれませ
  ん。もっとも、カートリッジ入りのメディアは、ディスクの扱いに神経を
  使う必要がありませんので、トレーの不便さ以上に使い勝手は良いと思い
  ます。

i.Linkムーブ \(^_^)/

  DMR-BW200同様、SHARP機からのi.Linkムーブに対応していました。しかも、
  Panasonic同士の、例えば DMR-XW31からムーブする際は、ムーブ開始時に
  再生機の巻き戻しを実行してくれるので番組の先頭の一部が消えてしまう
  問題を回避できています。

i.Linkケーブル

番組表がフルハイビジョンに \(^_^)/

  従来機種では番組表の解像度がハイビジョン画質でしたが、本機では高精細
  なフルハイビジョン画質になりました。PanasonicはGガイド番組表を採用し
  ている関係で番組表の表示エリアが狭い問題がありますが、番組表の表示が
  フルハイビジョンになって小さな文字でも読みやすく表示できるようになり、
  情報量が増加しました。もともと、ハイビジョンでフルハイビジョン並みの
  情報量を表示するように狭い表示エリアを工夫して表示していましたので、
  それと相まって、表示エリアの狭さを克服しています。しかし、大きな文字
  が細くなってしまって従来機種よりも見えにくくなっていますので、視力が
  極端に悪い人には、より大型のテレビが必要かもしれません。
  また、他社は既にメインメニューなども含めてフルハイビジョン化していま
  す。本機のフルハイビジョン表示は番組表、録画予約のリストなど文字表示
  の多い部分に限られている点で、次機種への改良の余地が残されています。

クイックスタート時の待機電力 (^_^;)

  待機電力は、DMR-BW200の15.6Wから9.8Wに改善されました。8年間で約1万
  5千円に相当します。(待機電力とは、本機を使用しなかった場合に消費する
  電力のことで、本機を使わないでも発生してしまう電気代が1万5千円です)
  環境保全の点では、まだまだ改良が必要ですが、DMR-EX100の待機電力によ
  る電気代が3万円、BW200が2万4千円だったことを考慮すれば、大きな改善が
  図られていることが分かります。一方で、クイックスタートに設定しなけれ
  ば使えない機能も増えてきていますので、今後のモデルでの課題となるでしょ
  う。

起動時間 (T_T)

  まだまだ、クイックスタート時の待機電力が大きいので、環境保全の観点で
  は、クイックスタートをオフした方が良いのですが、この場合の本体の起動
  時間は旧機種(DMR-BW200)よりも長くなってしまいました。

           電源起動から再生(HDD)までの時間比較

   機種名       |HiDR|ON〜表示|ON〜再生       遅い →
   ──────────┼──┼────┼────┬─┬─┬─┬─┬─
   Panasonic DMR-BW800 | ○ | 47秒 | 48秒 |==================
   Panasonic DMR-BW200 | ○ |  7秒 | 33秒 |=============
   Panasonic DMR-EX100 | ○ | 27秒 | 29秒 |===========
   Panasonic DMR-E200H | − | 14秒 | 19秒 |=======
   Panasonic DMR-E80H | − | 12秒 | 16秒 |=====
   Panasonic DMR-HS1  | − |  8秒 | 11秒 |===

  このグラフを見ると、見事に新しい機種ほど起動時間が長くなっています。
  年々、悪化している傾向は、起動時間についての意識が薄れてきているよう
  にも感じられます。新世代チップを開発しておきながら、このような不具合
  を置き去りにしてゆく点には不満が残ります。

ディスクの認識時間 (~、~)

  ディスクの認識時間は旧機種(DMR-BW200)とあまり変わらないようです。

           ディスク挿入から再生までの時間比較

   機種名       |DISC|DISC認識|DISC挿入〜再生    遅い →
   ──────────┼──┼────┼────┬─┬─┬─┬─┬─
   Panasonic DMR-BW800 |BD| 22秒 | 27秒 |==========
   Panasonic DMR-BW200 |BD| 23秒 | 27秒 |==========
   Panasonic DMR-EX100 |RAM| 36秒 | 40秒 |===============
   Panasonic DMR-E200H |RAM| 14秒 | 20秒 |=======
   Panasonic DMR-E80H |RAM| 25秒 | 27秒 |==========
   Panasonic DMR-HS1  |RAM| 18秒 | 20秒 |=======

  しかし、多くの番組(例えば100以上)を記録した追記型のBD-Rの認識には
  数分以上もかかる場合があり、このあたりは改善されていないようです。

リモコンのフタの内外 (~、~)

  番組のタイトル入力の一連の動作の中で、フタの中と外の両方のボタンを
  使用する場合があります。この場合に、フタの開閉の手間が、とても不便
  です。携帯電話に似たテンキーによる文字入力が可能となっており、携帯
  電話の文字入力に慣れている多くの人にとって使いやすい方式なのですが、
  「テンキーはフタの中」で、「漢字変換ボタン(再生ボタン)はフタの表」
  にあるのです。このため、単語を入力する度に、きっちりとフタを閉めて、
  漢字変換をして、また、フタを開けるという繰り返しになります。
  幸い、画面に表示される50音表上でカーソルを動かして選択してゆく方
  法で入力する場合は、このような手間はかかりません。
  ボタンの使用頻度だけで、フタの中と外を分けてしまっているようなの
  ですが、フタを開けた状態での操作を考慮していなかったようです。
  少なくとも、フタを開けてからの一連した操作は、フタを開けたままでも
  実行できるべきだと思います。(4色ボタンを漢字変換に充てるなど)
  従来のクルクル機能は省略されました。本来なら、メニューも平面配置に
  戻した方が使い勝手が向上すると思うのですが、メニューはクルクル機能
  に合わせた方式のままです。

安っぽい本体に安っぽいリモコン (T_T)

  次世代ディスクのBlu-rayレコーダーに夢を期待している方も多いと思い
  ますが、本機(DMR-BW800)は価格の割には見た目が安っぽく感じます。
  特に、上部に貼られている金属色のプラスチックのシールは、この価格帯
  では考えられないほどの安っぽさ。金属色の塗装の方がマシなくらいに感
  じます。前面パネルを開くと、プラスチックの表面加工にも高級感は無く、
  しかも、5個しかない操作キーは、表示部と同じプラスチック上に配置さ
  れていて、操作すると指紋が残ってしまいます。
  他社品と比べても、売値は高く、どちらかと言えば性能面に値段がかかっ
  てしまったものと思います。他社に無いカートリッジ式DVD-RAMへの対応
  には、Blu-rayドライブそのものにコストがかかっているでしょうし、DVD
  メディアへのAVCRECではDVDでの複数フォーマットが必要になるなどのコ
  スト要因が考えられます。
  しかし、DMR-BW800が16〜18万円で売られている点で、まだまだ高級機の
  位置づけですので、このような安っぽい本体には愛着や信頼感を見た目で
  感じることが出来ず、残念でなりません。
  リモコンも、新しいDVD用と色違いですが共通部品で作られています。
  クルクルが無くなった分、カーソルの操作性が向上していますが、本体の
  メニューは、先に述べたとおり、クルクル機能に合わせたメニューのまま
  です。メニューの選択が上下のみで、クルクルを採用していなかった時や
  他社のような上下左右から選択を行う方式よりもキー操作が増えてしまい
  ます。リモコンのコストを下げるためにクルクルを廃止したのに操作方法
  は変えなかったようです。
  実際のリモコンは、写真よりも大きく感じます。ボタンの大きさやボタン
  に印刷された文字が大きいので、子供やお年寄りの方にも使いやすく配慮
  されている反面、大振りな感じが安っぽく感じます。



ブラックボックス技術 (~、~)

  PanasonicのUniPhierチップの開発背景には、技術のブラックボックス化
  があります。単に、分解しても内部が分からないだけでなく、UniPhier
  チップを競合メーカーに外販することで、チップの大量生産によるコスト
  低減を狙っているものと思います。
  さて、実際に本機を分解して見ると、肝心のUniPhierチップが見当たりま
  せん。どうやら裏側に実装されているようで、動作中の信号なども取り出
  せないようにしているのでしょう。
  分解した状態で電源を投入したり、各基板間などを接続しているケーブル
  を安易に外してしまうと、コンテンツのコピー保護の為に次回の起動時に
  HDDを消去したり、電源を投入しても、動作しなくなるような仕組みが
  入っている場合があります。また、分解を黙認しているパソコンと異なり、
  危険部分が保護されているわけでもありませんので、漏電による事故の危
  険もあります。絶対に分解しないよう、ご注意ください。
  本機で使用しているUniPhierチップはPH1-ProIIと呼ばれるチップで、型番
  は、MN2WS0038となっています。本チップは、フルHD映像を2画面同時に
  処理できる能力と、MPEG4-AVC(H.264)の録画にも対応しています。
  しかし、DMR-BW800には、UniPhierチップPH1-ProIIに加えて、Marvell社の
  フルHDビデオスケール変換器が搭載されていました。UniPhierだけでも
  処理できるはずなのですが、例えば、エンコード録画中のフルHD再生と
  いった負荷の重い処理中に、能力が不足しているために追加されたものと
  思われます。
  それでも、従来機DMR-BW200では、National Semiconductor 社のデジタル
  信号処理LSIや、SIGMA DESIGNS社のH.264デコーダといった他社のコア
  チップが使われていたことを考えると、ほとんどのコア部品が自社に置き
  換わったことに大きな進歩を感じます。さらに、HDMI制御チップについて
  も、従来のSilicon Image社のチップから、自社製チップに変更になって
  いました。
  このように、Blu-rayドライブ、主要チップと自社製の比率を高めており、
  こういったコア部品の開発に大きなコストがかかてしまった結果、今回の
  ような、見た目が安っぽい機種になってしまったのかもしれません。
  但し、コア部品が自社製であることから将来的なコスト競争に強みがある
  と思いますので、引き続き、高いシェアを確保し続けれれるものと予想さ
  れます。


関連ページ

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  方式編 - Blu-rayディスク     Blu-ray (BD-RE,BD-R,BD-ROM)
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