ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ方式編 - 著作権保護

              (作成:2005年03月)      地デジTopへ戻る



著作権法と私的録画補償金制度

  テレビの場合の著作権とは、製作された番組(製作物)の権利をいいます。
  著作権は、著作権法によって、保護されており、違反すると刑事罰の対象
  になる場合もあります。したがって、「知らなかった」では済まされませ
  んので、十分に配慮しておかなければなりません。
  
  著作権法において、テレビ放送の録画やコピーを行うには、原則として、
  著作者(権利者)の承諾が必要です。
  しかし、これでは、不便ですし、個人や家庭のような「限られた範囲」で
  使用する場合は、録画やコピーを行っても著作者の権利や利益が大きく減
  少するわけではありません。
  そこで、「私的な利用目的」である場合に限って、著作権者の承諾を受け
  なくても、録画やコピーを行えるような仕組みが出来ています。それは、
  私的な利用であっても「私的録画補償金」を支払うことで、私的な範囲で
  のコピーを行なうことが承諾されることになっている私的録画補償金制度
  です。
  この補償金は、デジタル方式の録画機器やディスクなどの記録媒体の価格
  に含まれています。したがって、ディスクを買うたびに個人的に支払う必
  要はありません。補償金の金額は、消費者にとっては、ごく僅かな金額で
  あり、例えば定価300円のディスクであれば、僅か1.5円です。

    録画機器:定価の65%の1%(税別) 上限1000円
    ディスク:定価の50%の1%(税別) 

  また、集められた補償金は、権利者に分配されるようになっており、コピー
  が増加すれば補償金の総額も増加して権利者に還元される為、権利者の利益
  に損害が生じないように配慮されています。
  
  ただし、私的に使う目的でも、コピーガード(コピー防止信号)の回避機器
  (手段)を使って、コピーを行うと、違法になってしまいます。

  以上が、著作権法や私的録画補償金制度の概略ですが、分かりにくいので、
  どのような場合が、違法になるのかを、分かりやすくまとめました。

合法的なコピー(私的利用に限る)

  通常は、著作権保護に対応した機器やメディアを使用して、取扱説明書に
  記載の範囲で、かつ、私的利用の範囲のコピーは合法とみなされます。

  合法コピーの3要素
  
   (1) 私的な利用目的(個人や家庭)の範囲での利用である。
   (2) 著作権保護(CPRM CPS等)に対応した機器(レコーダ)である。
   (3) 著作権保護(CPRM CPS等)に対応したメディア(ディスク)である。

  合法コピーの具体例

   ○ CPRM, CPS等に対応したディスクにコピーワンス番組を録画
   ○ ムーブ機能を「利用」してHDDからDVD等に「ムーブ」

黙認されているコピー(私的利用に限る)

  黙認されているというのは、合法という意味ではありません。また、私的
  利用範囲であれば、明らかに違法というわけでもありません。今後の社会
  の動きやコピー保護の運用状況で、変わる可能性もあるグレーゾーンです。

  黙認コピーの具体例

   △ コピー制御信号のある放送を、信号を検出しない機器で録画や複製
   △ ムーブ機能を「利用」した「バックアップ」
   △ 放送を私的録画補償金の対象外であるデータ用ディスクに録画や複製
   △ CD等を私的録画補償金の対象外であるデータ用HDDやメモリーに複製

  ムーブ機能の利用については、ムーブそのものは合法ですが、ムーブ機能を
  利用バックアップについては、やや、グレーです。
  パソコンを利用した私的録画補償金を支払わない手段についてもグレーです。

違法な不正コピー

  違法コピーの具体例

   × 放送を録画したディスクを販売
   × 放送を録画したデータをWeb上に公開する
   × コピー防止信号のある放送をコピーガードキャンセラーで録画や複製
   × コピー防止信号のある放送や市販DVDの暗号を解除してのコピー
   × ムーブ機能を「悪用」した「複製」

  明らかに違法となるのは、不正コピー防止のための仕組みを改変してのコピー
  です。保護の方法には、コピーガード信号だけでなく、例えば、ネジによっ
  てメディアを保護している場合などもあり、このような場合はネジを外して
  コピーすると、コピー保護技術の改変と見なされ、違法行為になります。

調整機能としてのグレーゾーン

  最後に、我が国の法律では、私的録画についても著作者の権利が重んじられ
  ています。しかし、国によっては、私的な範囲での「コピーする権利」を
  重んじる国もあります。
  ところが、もし、私的録画での無限コピーを許せば、当然、違法コピーも増
  加することになります。結果的に、犯罪者が増加すると、ソフトの価格が上
  がってしまい、我々にとっても良いことではありません。
  これらのバランスを調整する可能性をもっているのが、法律のグレーゾーン
  部分なのかもしれません。

  補足:
   ここで記載しているグレーゾーンとは、あくまで、著作者と我々が合意できるゾー
   ンのことであり、著作者に不利益を与えるようなものは、除外すべきです。また、
   パソコンでのCDコピーの氾濫で、一時期、コピーコントロールCDが登場しまし
   たが、このような、両者にとってマイナスになるような方法は講じるべきでは無かっ
   たでしょう。当時、電車の車内でWalkmanを聴いている人が減少してゆく中、一部の
   CDコピーを防止したところで、減少を食い止めることが出来ないことは、誰もが
   予想していたことと思います。Walkman離れの原因がケータイであることは間違い無
   く、この隙間と、著作権保護のグレーゾーンの隙間に侵入してきたiPodの普及を阻止
   できなかったことは、我が国の恥ずべき事態だったと思います。

   
      iPodに対応したMacintosh用ネットラジオチューナソフト iTunes 2.0
       (CDをコピーしたりMP3に変換できる無料ソフトとして広まった)

   一方、調整機能となりうるグレーゾーンとは、このiPodを含めたMP3プレーヤーが、
   まさに、その一例です。
   例えば、インターネットラジオのチューナソフトであるiTunesは、本来のラジオと
   してよりもむしろ、CDをコピー可能なソフトとして広まり、コピーした音楽を聴く
   ためのiPodが誕生し、最近ではiPodの管理ソフトとして普及しています。
   CDからMP3プレーヤへのコピーは、一部で、独自の著作権保護技術を搭載している
   場合もありますが、法律のグレーゾーンを狙った商品だったのです。
   MP3プレーヤは、事実上は、音楽CDをコピーして再生しますが、公には、音楽用プ
   レーヤでは無く、パソコン周辺機器の一部として販売されています。これは、2005年
   4月現在、私的録画補償金の対象が音楽用MDや音楽用CD-R、録画用DVDなどに限られて
   おり、パソコン用HDDやパソコン用フラッシュメモリーは対象外のためです。つまり、
   コピーされるデータは、あくまで、パソコンのデータの一部と解釈されているのです。
   一方で、CDからのデジタルコピーは、ほぼ無劣化であるため、著作権の権利者に
   とっては、コピーの増加が利益の減少に繋がっている問題があります。
   このように、とてもグレーな存在ではありますが、Walkman離れ、音楽を聴く人口の
   低下を食い止めた事は、事実であり、MP3プレーヤの普及によって音楽CD購入に
   結びついている事例が増加し、結果的には、MP3プレーヤ普及の方が、収益が増加し
   ているのでは無いでしょうか。

    コピーコントロールCD  利用者減少 & コピー制限 → 利益減少(!?)
    MP3プレーヤ普及    利用者増加 & コピー増加 → 利益増加(!?)

   また、既に、CDは、インターネットや放送からダウンロード購入する時代に変わ
   りつつあります。CDからのデジタルコピーはグレーでしたが、インターネットや
   放送からダウンロード購入は、権利者を特定できる上、コピー可能回数なども権利
   者が設定できる為、著作権の意図しないようなコピーは、完全に無くなります。
   つまり、権利者にとっては、私的録画補償金の対象外であったとしても、何ら問題
   が無くなるのです。(このような背景を含めて、私的録画補償金のあり方が見直され
   ようとしています。しかし、誰もが自己の利益を優先して、まとまらない状況です。)

   最後にまとめると、@ユーザの利便性や楽しみ方が膨らむようなプラス志向のグレー
   ゾーンを積極的に利用することで普及を促進する、A権利者の利益を確保するための
   新しい収益構造を埋め込む、B最終的な普及によって権利者の利益に繋げる、といっ
   た、ステップが著作権保護により権利者の利益確保になると思います。
   つまり、放送においてもコピー制御でユーザの利用形態を制限するのでは無く、グレー
   ゾーンによるコピー機能を有効利用し、新たに利益を生むような仕掛けが重要です。

                         (ダビング10に関連情報)

本ページ記載事項に関して(ご注意)

  本ページは、著作権保護に対する理解を深めること目的としています。
  合法/違法を問わず、著作物のコピーを推奨しているわけではありません
  ので、以上の情報によって、いかなる損害が発生した場合でも、一切、責
  任を負いません。

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