ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ方式編 - コピー保護/規制緩和

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コピーワンスの規制緩和(更新:2008年02月)

  デジタルハイビジョン放送は、2000年06月にBSデジタル放送、2003年10月
  に地上デジタル放送が開始されました。どちらも放送開始時点では、コピー
  フリーで放送されていましたが、2004年4月より、コピーワンス規制が導入さ
  れ、コピーが制限されるようになりました。
  しかし、映画会社にとってハイビジョンでの映画放送がコピーされてしまう
  のは死活問題であり、当初、一部の映画のハイビジョン放送の許可がもらえ
  ない状況が発生しました。このため、コピーワンス導入したのですが、従来
  のアナログ放送には無かった制限だけに、デジタル放送の普及の妨げになる
  懸念がありました。当サイトでも2004年以来「0世代方式」を提案していま
  したし、2005年には「EPN」方式の導入による規制緩和の検討が始まりま
  した。、2005年12月までに規制緩和方法をまとめる予定で進められてきまし
  たが、無制限にコピー可能な方式は認められませんでした。そして、2006年
  末になって、地上デジタル放送の全国サービスがスタートし、ハイビジョン
  レコーダーの普及が始まりました。しかし、アナログ放送用のレコーダーと
  比較して様々な機能や使い勝手が制限されるようになり、レコーダーの普及
  とともに、コピーワンスに対する苦情や不満が増加してしまいました。政府、
  メーカー、放送業界の3陣が議論を繰り返しながら進めてきたものと思いま
  すが、既に、検討を開始してから2年を経た2007年4月に、やっとダビング10
  による規制緩和の仕様策定が進められることになり、2008年6月の運用開始が
  決まりました。実に3年以上の長い期間を経て策定されたことで、多くの消
  費者に不満を与えた結果となってしまいました。

  コピー可能回数の9回については、十分な利便性の向上になるでしょう。
  デジタル放送の視聴形態は多様化してゆきます。将来性を考えると、コピー
  回数が多いほど利便性が向上することは確かですが、著作権保護の観点でも
  きっちりと将来を見通さなければなりません。既に、個人の誰でもが簡単に
  商品を売買できる世の中で、Wチューナ搭載のレコーダー1台で20枚もの
  番組を複製したディスクが製造可能になるのです。著作権に無知な個人が、
  これを販売してしまったり、教室で配布してしまったりといった犯罪は十分
  に考えられるようになるでしょう。このような犯罪は組織犯罪よりも人数が
  多くなる可能性があり、著作者にとって大きな損失になる懸念があります。
  違法コピーが増えると、テレビ放送の番組の質がどんどん低下してしまい、
  我々、視聴者にとっても大きな損失になることに変わりありません。
  市販DVDソフトが1度もコピーできないことから考えても、9回のコピー
  (20枚の複製物)は非常に大きな緩和であり、我々ユーザーの著作権保護
  に対する認識と健全な利用を期待されて設定されたものと思います。

  コピーワンス問題の最後の課題は、2006年以前の過去のレコーダーでは、
  ダビング10に対応できないことでしょう。
  もっとも、当初からコピーワンスしか無かったのであれば、誰もが新方式を
  歓迎するでしょう。ところが、2004年04月以前はコピーフリーで放送されて
  いた点、2005年7月頃には、コピーワンス緩和の検討が始まっており、当初、
  2005年12月までに規制緩和方法がまとまる予定だったにも関わらず、それが、
  大幅に遅れて、ダビング10非対応のレコーダーが普及してしまった点、さら
  に、デジタル放送の仕組みとして当初よりEPN方式が実装されていたにも
  関わらず、EPN方式を採用しなかった点、これらを考えれば、少なくとも
  コピーワンス緩和の検討が始まった2005年の秋以降に発売されたレコーダー
  を所有しているユーザーにとっては、大きな不満となっていまいます。
  この問題を最小限に留める為には、できるだけ多くのレコーダーでのアップ
  デート対応を行うなど、現行製品のユーザーに対しても新方式のメリットを
  もたらす必要があると思います。



コピーワンスの規制緩和(更新:2005年07月)

  2005年7月現在、コピーワンスの方式の規制を緩和する方向で検討が進められ
  ています。具体的な内容は、2005年9月〜12月にまとめられる予定です。
  緩和方法は、以下のような方法があります。

コピーワンスの規制緩和方法(案)
方式 利点 課題
EPN方式 コピー制限なし(ネット配布は制限) 海賊版メディアの流出
0世代方式 オリジナルのコピー回数制限なし 同上(但し個人に限定)
同時録画方式 コピーワンス方式維持(権利者保護) コピー回数に制限

  EPN方式は、
前ページで説明していますが、EPN対応の機器とCPRMや
  CPSに対応したメディアでの組合せでしかコピーできない方式です。この為、
  インターネットへの不正な配布を防止することが出来ます。
  0世代方式(仮名,GZ:GenerationZero方式)はHDDの1世代目コピーの解釈を
  変更した規制緩和方式です。下図のように、放送からHDD内蔵チューナに録
  画した番組はコピーではなく、オリジナルとして取り扱います。録画したオリ
  ジナルは、コピーワンスでの世代として0世代目としているのでオリジナルか
  ら無制限のHDDもしくはCPRM対応DVDやCPS対応BDにコピーでき
  ます。但し、コピーされたHDDからは、現在と同様にムーブしか出来なくな
  りますので、組織的な海賊版の製作に制限を与えることが出来ます。

   ┏━━━┓0世代┏━━━━┓ 1世代┏━━━━┓2世代┏━━━━┓
   ┃放送○┃──→┃HDD○┃┬──→┃HDD△┃──→┃DVD1┃
   ┗━━━┛コピー┗━━━━┛|コピー┗━━━━┛ムーブ┗━━━━┛
           (オリジナル)|     ↓
                 |   (3世代目のムーブ後に消去)
                 |
                 |1世代┏━━━━┓2世代┏━━━━┓
                 ├──→┃HDD△┃──→┃DVD2┃
                 |コピー┗━━━━┛ムーブ┗━━━━┛
                 |     ↓
                無制限  (3世代目のムーブ後に消去)

  これにより、ムーブ失敗によるオリジナルの損失が防止できます。また、今後
  録画したものを携帯電話やモバイルAVプレーヤで再生する場合、これまでは
  ハイビジョン画質で録画したものをDVDやSDカードに画像を劣化させて保存
  させたとしてもオリジナルが残りませんでした。上記の方法は、オリジナルが
  残る為、新しい用途展開が可能になります。

  また、家庭内ネットワーク上で自由な録画や再生が出来る方法も検討されてい
  ます。具体的には、DLNAをベースに著作権保護を埋め込み家庭内であれば、
  第1世代目のコピーや、第2世代目のムーブに対応し、さらに、外出先からも
  再生できるような仕組みづくりです。

  なお、上記の内容は、あくまで考案レベルであり、実際の内容とは相違がある
  ものとして、参考程度として、ご理解いただけるよう、御願いいたします。


  以下は、総務省がコピーワンスの規制緩和の検討を開始する前に当ウェブページ
  で記載していた内容です。但し、これらは、コピーワンス規制そのものを緩和す
  るのでは無く、メーカーの運用方法の緩和として記載しておりました。
  現在は、ルールそのものを見直しておりますが、以下のような内容を取り入れる
  可能性もあります。



コピーワンスの運用緩和(更新2004年12月)

  現在(2004年12月)は、コピーワンスを導入したばかりで、最も厳しい状況下で、
  実使用上の使い勝手を確認している時期だと考えています。ここでは、コピー
  ワンスの規制を維持したまま、コピー制御の運用を緩和してゆく方法について、
  検討してみました.(考案レベルです)

  例えば、放送を同時録画すれば、コピーワンスであっても、複数のディスクを
  作ることが可能です。しかも、1台のチューナに複数のHDDを接続して同時
  録画できる機種も発売されています。この場合、2台のHDDに、それぞれ、
  ムーブ可能な映像が録画されますので、DVDが2枚まで作成できることにな
  ります。

      ┏━━━┓1世代┏━━━━━┓2世代┏━━━━┓
      ┃放送○┃──→┃HDD1△┃──→┃DVD1┃
      ┗━━━┛コピー┗━━━━━┛ムーブ┗━━━━┛
                |
                |iLink同時録画
                ↓
              ┏━━━━━┓2世代┏━━━━┓
              ┃HDD2△┃──→┃DVD2┃
              ┗━━━━━┛ムーブ┗━━━━┛

  ここで、将来、1台のレコーダに2台のHDDを入れれば、上記と同じ構成に
  なるので、同じ映像を同時録画しても良いことになります。あるいは、1台の
  HDDであっても、2台分のHDDが入っている構造(フォーマット)にしてお
  くと、同じ映像を2つ分、録画することも実現される可能性があります。

  また、最近は、アナログではWチューナ搭載機種も増加しております。将来、
  デジタルWチューナの機種が登場すれば、前述のようにHDDを分けることなく、
  同じ番組2本を同時録画することが出来るようになる可能性があります。

      ┏━━━┓1世代┏━━━━━┓2世代┏━━━━┓
      ┃放送○┃──→┃──→1△┃──→┃DVD1┃
      ┗━━━┛コピー┃     ┃ムーブ┗━━━━┛
              ┃同一HDD┃
      ┏━━━┓1世代┃     ┃2世代┏━━━━┓
      ┃放送○┃──→┃──→2△┃──→┃DVD2┃
      ┗━━━┛コピー┗━━━━━┛ムーブ┗━━━━┛

  以上のようなレコーダが登場すれば、1つのチューナ、1つのHDDであって
  も、複数本を同時録画することと同様の動作を行ったことにして、HDD内に
  複数本の同じ番組を録画する機種も登場するかもしれません。

      ┏━━━┓1世代┏━━━━━┓2世代┏━━━━┓
      ┃放送○┃──→┃┬─→1△┃──→┃DVD1┃
      ┗━━━┛コピー┃|    ┃ムーブ┗━━━━┛
              ┃| HDD┃
              ┃|    ┃2世代┏━━━━┓
              ┃└─→2△┃──→┃DVD2┃
              ┗━━━━━┛ムーブ┗━━━━┛

  実は、コピーワンスの導入期に販売されていたHDD付デジタルチューナの
  中には、次のようなコピーワンスを導入しているメーカもありました。
  それは、1回目のHDDへの録画は「コピーでない」という解釈によるもの
  で、HDDに録画した内容を保持したまま、さらに「もう1度だけ」コピー
  が出来るというものです。したがって、事実上、無数のコピーを作れてしま
  います。現在は、このようなコピーワンスを導入しているメーカは、ありま
  せんが、コピーワンスが不便だという意見が多ければ、このような解釈での
  機器が復活するかもしれません。無数に複製が出来るとはいっても、マスター
  となる映像は1台目のHDDから移らない点で、全くの無制限では無いから
  です。

       あるHDD付デジタルチューナ(生産終了品)

   ┏━━━┓1世代┏━━━━┓ 2世代┏━━━━┓3世代┏━━━━┓
   ┃放送○┃──→┃HDD○┃┬──→┃HDD△┃──→┃DVD1┃
   ┗━━━┛コピー┗━━━━┛|コピー┗━━━━┛ムーブ┗━━━━┛
                 |     ↓
                 |   (3世代目のムーブ後に消去)
                 |
                 |2世代┏━━━━┓3世代┏━━━━┓
                 ├──→┃HDD△┃──→┃DVD2┃
                 |コピー┗━━━━┛ムーブ┗━━━━┛
                 |     ↓
                無制限  (3世代目のムーブ後に消去)

  以上は、あくまで、現行のコピーワンスが不便だという声が多く、かつ、
  コピーワンスの効果によって、違法コピーが無くなった場合の話です。
  もし、ハイビジョン機器でも違法コピーの手段が出来てしまったら、メー
  カーは、より厳しい制限を導入せざる得なくなり、緩和どころではなくなっ
  てしまうでしょう。

コピーによる増益

  次に、少し、違った視点でコピーを考えたいと思います。それは、コピーに
  よる増益です。従来のコピー保護は、著作権によって増益する挑戦的な仕組
  み作りではなく、権利を流出しないように保護する仕組み作りでありました。
  一方で、テレビやラジオ放送は、コンテンツを権利者が意図的に流出させて
  広告収入で利益を得る仕組みであり、CDやDVDとは全く異なります。
  むしろ、インターネットを利用した新しいビジネスモデルで増益に繋げる可
  能性が高い分野であると思います。

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