ボクにもわかる
IchigoJam+PanCake用
ワイヤレス表示モニタの実験

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 ゲーム用のコントローラはテレビから離れたところから操作するのが一般的です。ここでは、手元にIchigoJamを、テレビ側にPanCakeをおいておき、IchigoJamとPanCakeをBluetoothで接続する実験を行います。
 プログラミングや操作は手元で、ゲーム画面だけ大型テレビに映せるので、とても実用的です。


PanCakeにBluetoothモジュールとテレビを接続した例

構成と概要

 PanCakeはIchigoJam用のグラフィック&サウンド拡張シールドです。NaturalStyle社が開発し、PCNや秋月電子通商などでプリント基板とパーツセットのキットとして発売されています。


PanCakeのパーツセット(税別1500円)

 ここでは、PanCakeに子機(Slave)となるBluetoothモジュール RN-42XVPを接続し、テレビへ出力することで、ワイヤレスモニターを実現します。
 親機(Master側)には、こどもパソコンIchigoJamマイコンボードまたはCQ出版の雑誌「1行リターンですぐ動く! BASIC I/Oコンピュータ IchigoJam入門」の別売りパーツセットに含まれる「Personal Computer基板」などを使用し、子機PanCakeとBluetooth接続を行ってから、PanCakeに対応したゲームなどのプログラムを動かし、ワイヤレスモニターに画像や音(の制御データ)を送信します。

子機となるモニタ側の製作方法

 以下に子機用の部品リストを示します。この他にブレッドボードジャンパーなどが必要です。また、親機側にもBluetoothモジュールが別途必要になるので、お持ちで無い場合は2個を購入しておく必要があります。

子機となるモニタの製作に必要なもの
品名 型番 参考価格
税別
備考
PanCakeプリント基板キット PanCake 1,500 PCN,秋月電子通商などで販売
BluetoothモジュールRN-42XVP (AE-RN-42-XB) 2,000 秋月電子通商などで販売
モバイルパワーXBee変換モジュール MB-X 1,200 Strawberry Linux
ブレッドボード IEC-801, BB-801 200 各社
単3電池ボックス BH-311-1A 30 1本用または直列2本用
積層コンデンサ 0.1uF 10 各社

 部品が集まったら、ブレッドボードの配線を下図のように行います。電源ラインは3本を使用します。電池の+側と‐側、そしてMB-Xで昇圧後の3.3Vです。ブレッドボード上の左側2行目のMB-Xの3.3V出力を、一番、左の列に出力し、PanCakeの電源として、使用します。画像をクリックすると拡大図が開きます。


PanCakeにBluetoothモジュールとテレビを接続した例
(クリックで拡大)

親機となるIchigoJamパソコンの製作方法

 親機のハードウェアには、純正のIchigoJamマイコンボードもしくは、下記の雑誌の別売りパーツセントに含まれるPersonal Computer基板を使用します。後者であれば、RN-42XVPと接続するのが簡単です。
 純正のIchigoJamマイコンボードの場合は、ブレッドボードやXBeeピッチ変換モジュールなどを使用して、IchigoJamのRXDをRN-42XVPの2番ピンDOUTへ、TXDをRN-42XVPの3番ピンDINへ、GNDをRN-42XVPの10番ピンのGNDへ接続し、別途、3.3Vの電源を供給します(純正IchigoJamの3.3Vから供給することは出来ません)。


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IchigoJam入門

 ただし、この実験のためだけに本書やパーツセットを購入するのは、あまりにも高すぎます。目次などを確認し、興味をお持ちいただけた場合は、ぜひお買い求めください。下記のリンクからお買い上げいただけると当方はアフィリエイト収入を得ます。

それでは動かしてみよう

 親機には2つのプログラムが必要です。一つはBluetoothのペアリングを行うソフトです。これは、雑誌の付録のCD-ROM内の「3_4_BLUE2CN.txt」に収録されています。IchigoJamマイコンボードまたはPersonalComputer基板に転送し、「SAVE 1」などでマイコン内にファイルとして保存しておきます。
 また、PanCake用のプログラムも必要です。PCNのホームページにサンプルゲーム「りんごをさっちゃん」が掲載されていますので、そちらを転送し、先ほどとは異なるファイル番号で「SAVE 2」のように保存します。
 Bluetoothの接続を行うには、雑誌の説明に従って、「LRUN 1」などを実行し、Bluetoothのペアリングを行います。ペアリング後、「LRUN 2」などを実行し、PanCake用のプログラムを動かすと、以下のようなゲームをワイヤレスで楽しむことが出来るようになります。


ワイヤレス表示モニタの実験の様子
(左=PersonalComputer基板,右=PanCake)

 オーディオ端子(白)をテレビに接続すれば、ゲーム音を楽しむことも出来ます。上の例のテレビにはスピーカが搭載されていないので、小型スピーカを接続しました。

Key Pad Shield基板のキーを使用する

 キーパッドも使用しましょう。PanCake用のサンプルプログラムの行番号320の「K=INKEY()」を以下のように修正してください。合計容量は1016バイトになります。

「りんごをさっちゃん」を修正する
320 K=~IN()&#F:K=K+K>>1&4:K=K&7+27

考察

 実際に実験してみると、応答や操作の遅延は全く変わりません。この点はBluetooth方式を使った利点と言えるでしょう。実験なので乾電池を1本にしました。長持ちさせたい場合は、2本の直列にしても良いでしょう。新品の電池を直列にすると計4Vくらいになりますが、6VまではMB-Xが3.3Vに安定化してくれるので心配ありません。ただし、データの有無に関わらず常に通信状態となります。電池の消耗を抑えるには、こまめにBluetooth接続を切断したり、電源を切ったりする必要があります。

 この実験を通して、いろいろな発想も生まれてくると思います。なんといっても、PanCakeがひとつのIoTデバイスとなる可能性です。ここでは、Bluetoothを用いましたが、XBee Wi-FiやESP-WROOM-02を接続することで、LAN内の機器やインターネットから画像や音をテレビに送信することも可能になります(IchigoJamをIoT化する記事は「IchigoJam用ワイヤレス通信実験」を参照)。

 さらに、インターネットから天気予報を取得し、パソコンやRaspberry PiからBluetoothで情報をテレビに送信するという実用的なアイデアも考えられます。
 FaceBookのIchigoJam FANグループでは、IchigoJamをテレビに内蔵するという投稿がいくつかありました。この実験を通して、テレビに内蔵すべきはPanCakeの方だと確信することが出来たかもしれません。

 もし、将来、カラー出力対応ファームウェアを書き込んだESP-WROOM-02(勝手に「ワイヤレスPanCakeコア」と呼ぶ)が登場すれば、PanCakeがIoT表示用のデバイスとして成長し、面白いかと思いました。


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