カテゴリー
ESP8266+ESP32+RISC-V

空気亜鉛電池 PR44 P675を使った ESP8266搭載Wi-Fiセンサで1週間動作

小型で大容量の空気亜鉛電池を使ってESP-WROOM-02を1週間、動かすことができました。
アルカリボタン電池といえば、 LR44 が有名ですが、同じ大きさの空気亜鉛電池が登場しています。今回、空気亜鉛電池 PR44  (P675)を使ったワイヤレス通信の実験を行ってみました。
なお、初めての実験だったため、開始時に電池を消耗しています。おそらく、1週間以上、動くでしょう。

また、送信中は電池の仕様である標準電流(2mA)を大幅に超え、70~80mAに達します。このあたりが安全かどうか分からないので、十分に注意してください。
ドイツ製の空気亜鉛電池(亜鉛-空気電池)PR44 (P675)。この小さなボタン電池一つで 600mAh以上の容量を持つ。
空気亜鉛電池のことを、あまり知らなかったので、まずはWikipediaを読んでみました。「燃料電池の一種」とのことなので、化学変化により発電する仕組みのようです。
空気亜鉛電池(くうきあえんでんち、英語:zinc–air battery)は、燃料電池の一種で単に空気電池とも呼ばれる。現在では主にボタン型電池として利用され、使用時には電極に張られているシールを剥がして用いる。一度剥がしたシールを貼り直して保存することはできない。正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使用するものを言う。電解液にはアルカリ金属水酸化物が使われるが、現在では水酸化カリウムを用いるものが主流。ドライタイプとウェットタイプ(現在はドライタイプのみ)がある。
Wikipediaより
上記の説明の通り、電極のプラス側にシールが貼られていました。剥がしてから約30秒後に電圧が生じます。
電極にシールが貼られている。これを剥がすと、化学反応が始まり発電する。剥がした状態の写真は、実験後に撮影予定(剥がした状態だと、電池が消耗するので)。
次に、同じ大きさのアルカリボタン電池 LR44 の仕様と比較してみました。
下記はネット検索で得た一般的な仕様値です。写真のものと一致しているかどうかは分かりません。
およそ容量が5倍で、値段も5倍です。
電圧は、1.4Vと、やや低下しますが、標準電流が10倍に増えており、ESP-WROOM-02などで使用した場合の電池寿命が、容量比の5倍以上に得られそうに感じられました。
                          アルカリ      空気亜鉛
                          ボタン電池    ボタン電池
                  型番       LR44       PR44
                  電圧       1.5V         1.4V
                  標準電流    0.1mA       2.0mA
                  容量       120mAh      600mAh
                  価格       10円        50円
早速、ブレッドボード上を製作してみました。下図は通常のアルカリ電池を使った比較実験用の製作品です。
ボタン電池を搭載したワイヤレス機器。10分ごとに電池電圧を測定し、クラウドサービスAmbientへ送信する。(ただし、写真はアルカリ電池を使った動作確認の様子)
アルカリボタン電池での動作確認が完了したら、空気亜鉛電池へ置き換えますが、ひとつ注意事項があります。アルカリボタン電池と同じように電池を直列に密着させると、空気穴が塞がってしまい、放電することが出来ません。そこで、電池と電池の間にピンヘッダのピンを挟んで、電池の空気口を塞がないようにしました(下図)。
まずはESP-WROOM-02を取り付けない状態で、空気亜鉛電池PR44の保護シールを剥がし、電池をブレッドボードへ装着して、電池電圧を測定してみましょう。始めは、3直列で1Vくらいしか出ません。徐々に化学反応により電圧が上昇するでしょう。4.2V(1.4V×3個)まで上昇したら、準備完了です。
この状態で、ESP-WROOM-02を取り付けてみたところ、適切に動作し、Ambientへ電池電圧値を送信しました。ところが、得られた電池電圧値は約2.0Vと、著しい電圧降下が発生することが分かりました。
また、ディープスリープに入っても、すぐにはコンデンサへ充電されず約30秒くらいかけて4.2Vまで戻ることが分かりました。使用開始時の空気亜鉛電池の内部抵抗は、アルカリ電池に比べて、高いようです。
空気亜鉛電池を取り付けて実験開始。あまりにも電圧降下が大きかったため、レギュレータをNJU7223F33へ変更した。また電池と電池の間にピンヘッダのピンを挟んで、電池の空気口を塞がないようにした。
今回の実験では、ESP-WROOM-02が電池電圧を測定し、測定値をAmbientへ送信します。下図は実験を開始した直後の様子です。

実験開始直後の様子。30分後には、切れているかもしれないと不安でしかたなかった。
ESP-WROOM-02は、起動時した瞬間に大きな電流が流れ、その時に一定の電圧が確保できていれば、おおむね動作します。それでも、新品の電池を入れた状態で2.0Vまで下がってしまうようだと、あまり電池が持たないのは明らかです。電圧が低く、いつ停止しても、おかしくない状態でした。

ところが、しばらく動作させていると、電圧が上昇しはじめます。約半日ほどをかけて、2.7Vまで上昇しました。。シールをはがしてから半日くらいは待ったほうが良かったのかもしれません。
その後、5日ほど一定の電圧で放電し、6日目から電圧が下がり始めました。下図は、1週間の動作試験後の様子です。


こんな小さな電池で、1週間以上、動作した。小型化が図れる点で、様々な用途が考えられる。ただし、安全性については未検証につき、活用時は製造元に確認するなど、十分な注意が必要。
Ambientからダウンロードしたデータをエクセルで表示させてみた。電池の放電特性とは思えない。
以上のように、空気亜鉛電池を使ったESP8266搭載ワイヤレスセンサで、1週間以上の動作が可能であることが分かりました。また、空気亜鉛電池の使い方に関する理解が少し深まりました。
ボクにもわかるESP-WROOM-02
by ボクにもわかる電子工作
https://bokunimo.net/
 - 
Chinese (Simplified)
 - 
zh-CN
Chinese (Traditional)
 - 
zh-TW
English
 - 
en
French
 - 
fr
German
 - 
de
Italian
 - 
it
Japanese
 - 
ja
Korean
 - 
ko
Russian
 - 
ru
Spanish
 - 
es