ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ対策編 - 相互変調
(作成:2003年10月) 地デジTopへ戻る
ブースタでの相互変調
ブースタを設置する場合は、基礎編に記したような相互変調に気をつけなけれ
ばなりません。アナログ放送では、UHFブースタに数波しか入っていません
でしたが、デジタル放送では10波前後が入ってくるので、相互変調の発生す
る可能性も高くなりますす。
ここでは、定格100dBu、DU比40dBのUHFブースタを考えてみましょう。
定格出力レベル(仕様) 100dBu(2波)
相互変調DU比(仕様) 40dB
10波のUHF波を定格出力のギリギリで受信していた場合を考えます。10
波の総出力を定格出力の100dBu(2波)に合わせると、1波あたりの出力は93dBu
になります。この時のブースタ出力での信号CNはDU比相当となりますので
上記の仕様からCN比=40dBとなります。地上デジタル放送は、CN28dB以上
で受信可能ですので、本条件では受信可能であることが分かります。
↓希望波(受信可能)
___93dBu
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↑
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |CN
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |40
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |dB
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↓
─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─
この状態から利得を6dB上げて99dBuにすると、相互変調による妨害波が増
大してCNが28dBに劣化してしまい、受信が不安定になります。
(計算方法は「基礎編-相互変調と混変調」を参照)
↓希望波(受信不安定)
___99dBu
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↑CN
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |28
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↓dB
相互→┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
変調波┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃
─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─
また、元の定格出力の状態に戻して、10波に隣接したチャンネルに他より
も12dB低い放送局があった場合も、相互変調による妨害波によって受信が不
安定になります。
希望波(受信不安定)
│ ___93dBu
↓ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↑
__ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |CN
CN↑| │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |40
28|| │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ |dB
dB↓| │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ↓
─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─
対策方法
相互変調による干渉を最も容易に改善する方法は、ブースターの利得を下げる
ことです。利得を下げることで相互変調波を大幅に低下させることができます。
・干渉波出力が1dB低下すると干渉波が3dB低下する
・定格出力よりも低い出力になりDU比が改善される
また、一部の放送波の受信電力が高い場合も、相互変調波の妨害で、いくつか
のチャンネルが受信できなくなる場合があります。
希望波
↓ | |←フィルタで減衰させる必要がある
| |
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │
│ ┃ │ │ ┃←相互変調波 │ │
│ ┃ │ │ ┃ │ │ │ │ │
│ ┃ │ │ ┃ │ │ │ │ │
─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─┸─
ただし、BEFフィルタの@減衰量とA減衰帯域幅に留意が必要です。減衰量
は説明も不要でしょうが、減衰帯域幅が、減衰させる周波数の帯域の幅です。
例えば、上図のように隣接した周波数では、非常に帯域の狭いフィルタが必要
です。帯域を狭くするには、フィルタ内に高インピーダンスで低損失のデバイ
スが必要になり、非常に高価になります。
自作で容易なコイルとコンデンサによるLC共振フィルタだと、30MHz〜100MHz
の帯域幅になります。(設計編-自作部品-BEF及びコイル参照)
自作部品で帯域を狭くするには、市販コイルを使用せず、自作コイルで製作す
るなどの工夫が必要です。
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