不感対策/災害時

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不感対策とは、主に地下街や電波が伝搬してこない場所でも放送を受信できるようにする対策です。
総務省は、研究会を発足し、携帯電話事業者や放送事業者、地下鉄道事業者とともに取り組んでいます。対策にはギャップフィラー装置と呼ばれるワンセグ放送の再送信設備を導入してゆくのですが、様々な課題があります。
技術面では、他の通信機器との干渉と装置の小型化です。地下街や地下鉄のトンネル内には、地下環境を維持する為の設備や、鉄道運行のための重要な通信回線といった即人命に関わるような設備が、天井裏や床下に収められています。しかも、地下空間のスペースは希少なため、重要な設備だけでも、隙間無く詰込まれていて、このような既存設備の隙間に再送信設備を入れるのは、極めて困難であると言われています。また、24時間営業に限りなく近い状態の地下街では設置の工事だけでも大きな負担です。このように希少な空間であるため、スペースを借りるとしても巨額の設置費用が発生しますので、設備を導入するための資金の提供者を得ることも困難です。
そこで、各テレビ放送局からのワンセグ放送だけでなく、地下街などの自営の放送を含めた形で、再送信を行う方法が検討されています。自営放送では各店舗の宣伝などを取り入れた番組を流すことで収入を得ることが出来るからです。

この他にも、総務省が不感対策の研究会を発足した背景の一つに、大規模災害時の利用があります。
阪神大震災では一般の電話が使えなくなりましたが、多くのエリアでは携帯<電話が利用できた為、人命救助や支援活動に大きく寄与しました。現在では、携帯電話の普及によって、大規模な災害時には携帯電話の回線もパンクして使用できない可能性がありますが、阪神大震災の教訓として、新しい技術を大規模災害に役立てるという「働きかけ」を起こした事例となっています。
大規模災害時の情報伝達手段としては、放送が最も重要な役割を果すといわれています。それは、危機的な状況を「瞬時に」「大勢に」伝達することができ、特に、受信者がどれだけ増加しても輻輳(大勢が同じ回線に集中)することが無い点です。例えば、iモードなどのウェブでは、同じサイトに大勢がアクセスすると通信回線やサーバーに過大な負荷がかかってしまいますが、放送では、受信エリア内にさえ居れば、受信の人数に関わらずに情報を伝達することが出来るのです。
多くの人が肌身離さずに所持している携帯電話に放送受信機能が付加されてゆく傾向もあり、「国民の安全安心にもつながる施策」と位置づけられています。


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