ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ基礎編

電波と周波数

作成:2004年04月
更新2008年07月
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電波の放射

 ある空中の2つの点の間に電圧をかけます。このプラスとマイナス電圧が1秒間に例えば500000000回、入れ替わるとします。この入れ替わりの繰り返しは、水面に石を落とした時の波紋のように周囲に広がってゆきます。
 この広がりを電波の放射と呼び、光速3.0×10^8[m/s]の速度で空中を伝搬します。

電波の広がる様子


周波数

 1秒間に何回繰り返すかをHz(ヘルツ)と呼びます。また500000000回の「0」を6桁とったものをM(メガ)と表します。

500000000回 →  500MHz(メガヘルツ)

 NHK大阪総合局は1秒間に539142857回、電圧が入れ替わって送信しています。多くの場合は下6桁を省略して539MHzと呼んでいます。

物理チャンネルとリモコンチャンネル

 テレビには複数のチャンネルがあります。例えば、NHK総合は1chですが、NHK教育は2chとなっています。そして、このリモコン番号の一つ一つに対応した、それぞれ異なる周波数の物理チャンネルが存在します。

物理チャンネルと周波数(例)
リモコン番号 放送局 物理チャンネル 周波数
1chNHK総合24ch539MHz
2chNHK教育13ch473MHz
4ch毎日放送16ch491MHz
6ch朝日放送15ch485MHz
7chテレビ大阪18ch503MHz
8ch関西テレビ17ch497MHz
10ch読売テレビ14ch479MHz

※詳細なチャンネル(関東,近畿,東海)は「資料編-
物理チャンネル表」を参照

 物理チャンネルはアナログのUHF放送のチャンネル番号に一致します。地上デジタル放送ではアナログのUHF放送とほぼ同じ周波数を使用していますので、アナログUHF放送の13ch〜62chのチャンネル番号を、そのまま地上デジタルでの「物理チャンネル」と呼ぶことにしました。
 このため、現在のところ地上デジタル放送の物理チャンネル1ch〜12chは欠番になっています。(1ch〜12chのVHFは地デジ移行後はテレビ以外の目的で使用することになりました。)

 (例)
  物理チャネル13ch 中心473.142857MHz
  アナログUHF 13ch 映像471.25MHz 音声 475.75MHz

UHF周波数(UHF帯、UHF周波数帯)

 本来のUHF周波数とは300MHz〜3000MHz(3GHz)を指しますが、多くの場合は、この中の一部である470MHz〜770MHzのテレビのUHFを指しています。
 また、1.5GHzや2GHz、1.7GHzを使った携帯電話や2.4GHzの無線LAN等なども周波数としてはUHFなのですが、一般的にはUHFと呼びません。
 UHFという用語が元々は周波数帯を指していたにも関わらず、テレビのチャンネル帯としての認知が広まったことや、同じUHF帯でも1GHzを境に特性が大きく異なることが要因です。

UHF帯の定義とUHF周波数範囲
本来のUHF帯の定義 300〜3000MHz(但し、一般には1GHz未満)
一般的なUHF周波数 470〜770MHz (テレビのみを指す)

UHF周波数帯

 さらにテレビ用のUHF周波数である470〜770 MHzについては、非常に帯域が広いため、次のような3つに分けられることがあります。

テレビ用UHF周波数
UHF−L(ロー)13〜30ch470〜578MHz主に地上デジタル用
UHF−M(ミドル)31〜44ch578〜662MHz主にアナログ用
UHF−H(ハイ)45〜62ch662〜770MHz主にアナログ用
45〜52ch662〜710MHz2012年以降

※2012年7月25日以降、710MHz以上はテレビ用として使用できなくなります。

 携帯電話で使用している800MHz帯(900MHz帯)をUHFと呼ぶ場合もあります。次世代のZigBee等で用いられる915〜928MHzもその一つですが、これらの周波数帯はプラチナバンドとかサブギガバンドと呼んでいます。
 プラチナバンドと呼ばれる理由は約30cmほどになる波長に起因しています。靴のサイズに近い30cmという波長は人が生活する空間を行き来しやすい最短波長と言われています。このため、ビルや家屋といった屋内や車内でも電波が進行しやすく、しかも波長が適度に短いのでアンテナを小さくすることが出来ます。つまり、人間の住む社会で使用するには最も使いやすい周波数であり、この周波数帯の割り当ての争奪戦が繰り広げられている希少な周波数ということで、プラチナバンドと呼ばれています。
 これまではテレビのUHFとして使用してきた710MHz〜770MHzについても貴重なプラチナバンドです。したがって、710〜730MHz(715〜725MHz)を車の衝突回避用の通信に、730〜770MHzについては携帯電話などの移動体通信に利用される予定です。


周波数帯域幅

 周波数帯域幅とは、ある周波数から別の周波数までの連続的な区間を表します。
 例えば、UHF周波数帯域幅とは470MHz〜770MHzの300MHzの区間を指しています。そして、チャンネル帯域幅とは、例えば物理13chの場合470MHz〜476MHzの6MHzの区間を指します。この6MHzの意味を説明したのが、下図です。

周波数帯域幅

 物理13chは473MHzですが、その周波数は電波の中心の周波数を示します。実際の電波は上図のように5.6MHzの区間を持っており、この5.6MHzを占有帯域幅と呼んでいます。
 また、隣接するチャンネルの中心周波数の間隔は6MHzです。

 電波資源を無駄なく使うには、チャンネルの間隔を、極力、占有帯域幅に近づける必要があります。この6MHzの間隔をチャンネル幅やチャンネル間隔と呼んでいます。

実際の波形
地上デジタル放送の実際の波形

各放送の実際の波形

デジタル放送 アナログ放送


地上デジタル放送
地上デジタル放送
地上波アナログ放送
地上波アナログ放送

BSデジタル放送
BSデジタル放送
BSアナログ放送
BSアナログ放送


周波数間隔

 地上デジタル放送のチャンネル幅は6MHzです。地上アナログ放送では6MHz離れた隣のチャンネルを使用すると受信に悪影響を及ぼしてしまうので、放送波は2チャンネル分の12MHz間隔で放送されていました。これはアナログ信号のために完全な分離が難しかったからです。
 ところが、デジタル放送では6MHz間隔でも隣のチャンネルからの影響を受けずに受信することが出来ます。
 下図は実際に6MHzの間隔で5チャンネルを続けて放送している例です。

実際の波形
6MHz間隔で5つの放送波が隣接している例

 各放送局からの放送波の隔離幅は僅か400kHz程度しかありません。

実際の波形
各放送波の隔離幅は僅か400kHz程度

その他の地上波テレビとCATVの周波数

 テレビ周波数のチャンネル間隔は6MHz(一部に例外あり)で、以下の表のように割り当てられています。

その他の地上波テレビおよびCATVの周波数
帯域名チャンネル (数)周波数 (幅)主な用途
VHF−L1〜 3ch ( 3ch)90〜108MHz (18MHz)地上波TV(2011年迄)
MIDC13〜C22ch (10ch)108〜170MHz (62MHz)CATVミッドバンド
VHF−H4〜 12ch ( 9ch)170〜222MHz (52MHz)地上波TV(2011年迄)
SHBC23〜C63ch (41ch)222〜468MHz(246MHz)CATVスーパーハイB
UHF13〜 62ch (50ch)470〜770MHz(300MHz)地上デジタル
    ※1:MIDのC21とC22の間に2MHzの未使用部分あり
    ※2:VHF−Hの7chと8chの間に2MHzの重複あり
    ※3:SHBのC23とC24の間に2MHzの未使用部分あり
       また、C27chとC28chの間に2MHzの重複あり

地上波テレビ周波数の将来

 2011年に地上波アナログテレビは終了し、2012年7月より他の用途に再編されます。再編後は以下のようになる予定です。(VHF帯は2011年7月の予定)

現地上波テレビ周波数の将来
帯域名現ch現周波数将来周波数(幅)将来の用途
VHF-L 1〜 3ch 90〜108MHz 90〜108MHz (18MHz) 携帯向けデジタル放送
VHF-H 4〜12ch 170〜222MHz 170〜205MHz (35MHz) 災害対策用(自営)通信
(202.5〜207.5MHz) 与干渉制限(5MHz想定)
205〜222MHz (17MHz) 携帯向けデジタル放送
UHF 13〜62ch 470〜770MHz 470〜710MHz(300MHz) 地上デジタル放送
710〜715MHz (5MHz) ガードバンド
715〜725MHz (10MHz) ITS(高度道路交通システム)
725〜730MHz (5MHz) ガードバンド
730〜770MHz (10MHz) 携帯電話

 かつて地上デジタルラジオの実験放送で使用されていた188〜192MHz(VHFの7ch)はテレビやラジオでは放送できなくなります。地上デジタルラジオは90〜108MHzおよび205〜222MHzに移行する予定です。現在、発売されている地上デジタルラジオ受信機の一部では周波数が対応できないものもあるので注意が必要です。

衛星放送(BS・CS)の周波数

 衛星放送は12GHz(12000MHz)付近で放送されています。この周波数を同軸ケーブルに流すと非常に減衰が大きいことから、受信アンテナ部で周波数を変換しています。この変換部をBSコンバーター、LNB(Low Noise Block)等と呼んでいます。通常、衛星放送用のパラボラアンテナの先端などに取り付けられていて、チューナーに接続した同軸線から電源を供給しています(BSコンバーター用電源・15VのDC電源)

BSアンテナ
デジタル放送に対応したBS・110°CS対応アンテナ
左側の同軸端子のついている部品が周波数を変換するコンバータ


 LNBは局発(Local Frequency)と呼ばれる変換用周波数を持っており、通常は10.678 GHzに設定されていて変更できません。例えばBS放送の場合、下式のように、衛星アンテナで受信したBS周波数は局発周波数を減算したBS-IF周波数に変換してから同軸ケーブルに出力します。
 このためチューナーの受信周波数はBS-IF周波数となります。

 (式) BS周波数 − 局発周波数 = BS-IF周波数
 (例) 11.996 GHz − 10.678 GHz = 1.318 GHz (1318 MHz)

衛星放送(BS・CS)概略
放送方向偏波チャンネル間隔用途
BS東経110度右旋BS-1〜BS-15 (8ch)38.36NHK、民放、WOWOW、STAR
CS110東経110度右旋ND-2〜ND-24 (12ch)40.00スカパー!110、WOWOW+
CS東経124/8垂直K-1〜K-27 (14ch)40/30スカパー!
CS東経124/8水平K-2〜K-28 (14ch)40/30スカパー!


衛星放送(BS・CS)の周波数(各チャンネルの中心周波数)
放送方向偏波BS周波数局発BS-IF/CS-IF
BS東経110度右旋11.72748〜11.9960010.6781049.48-1318.00 MHz
CS110東経110度右旋12.291 〜12.73110.6781613.00-2053.00 MHz
CS東経124/8垂直12.268 〜12.71810.6781590.00-2040.00 MHz
11.2001068.00-1518.00 MHz
CS東経124/8水平12.288 〜12.73310.6781610.00-2055.00 MHz
11.2001088.00-1533.00 MHz


衛星放送(BS)のチャンネル(2011年10月〜)
物理ch
BS周波数 放送事業者 チャン
ネル
リモ
コン
スロット
BS-1 11.72748 GHz BS朝日 151 5 24
BS-TBS(旧BS-i) 161 6 24
BS-3 11.76584 GHz WOWOW 191 9 24
BSジャパン 171 7 24
BS-5 11.80420 GHz WOWOW LIVE 192 - 24
WOWOW CINEMA 193 - 24
BS-7 11.84256 GHz スターチャンネル2(プラス) 201 - 13
スターチャンネル3(classic) 202 - 13
BSアニマックス 236 - 16
ディズニーチャンネル 256 - 6
BS-9 11.88092 GHz 日本ビーエス放送(BS11) 211 11 18
スターチャンネルHV 200 10 15
World HV CH (TwellV) 222 12 15
BS-11 11.91928 GHz BS-FOX 238 - 16
BSスカパー! 241 - 16
放送大学学園 231〜3 - 16
BS-13 11.95764 GHz BS日テレ 141 4 24
BSフジ 181 8 24
BS-15 11.99600 GHz NHK BSプレミアム 103 3 21.5
NHK BS-1 101 2 23
ウェザーニューズ 910 - 1.5
D-Pa(衛星アップデート) 929 - 2
BS-17 12.03436 GHz 地デジ難視聴地域用
(2015年迄)
291
〜298
- (48)
BS-19 12.07272 GHz グリーンチャンネル 234 - 16
J sports 1 242 - 16
J sports 2 243 - 16
BS-21 12.11108 GHz 洋画★シネフィル・イマジカ 252 - 16
J sports 3(ESPN) 244 - 16
J sports 4(Plus) 245 - 16
BS-23 12.14944 GHz 釣りビジョンHD (BS-F) 251 - 16
日本映画専門チャンネル 255 - 16
ディズニー Dlife 258 - 16

関連ページ

基礎編 -
電波伝搬
     自由空間損失 大地反射波 奥村カーブ

資料編 - 物理チャンネル表
     UHF周波数(関東,近畿,東海エリア)

導入編 - 地上デジタルの役割
     周波数資源 VHFとUHF 周波数間隔

導入編 - チャンネル表示
     3桁番号 リモコン番号 編成 枝番


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