ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ基礎編 - アンテナ
(作成:2004年04月) 地デジTopへ戻る
(更新:2005年09月)
電波の放射
復習になりますが:ある空中の2つの点の間に電圧をかけます。この電圧の
プラスとマイナスが繰り返し入れ替わります。この繰り返しが、周囲に広がっ
てゆくことが、電波の放射となります。この繰り返し電圧を「高周波信号」
とか、「RF信号」と呼んでいます。RFは Radio Frequencyつまり、放射
する周波数という意味です。
アンテナの原理
ある空中の2つの点の間に電圧を与える装置が送信アンテナです。最も、基
本的なダイポールアンテナを下記に示します。
|←──────空中の2つの点─────→|
○━━━━━━━━━┐┌━━━━━━━━━○
+/− ││ −/+
┠┴┨
┃同┃
┃軸┃
┃ケ┃
┃│┃
┃ブ┃
┃ル┃
┃ ┃
送信アンテナは、上図のように同軸ケーブルなどで送信機に接続されていま
す。プラス/マイナスの繰り返し電圧である高周波信号が同軸ケーブルから
アンテナに給電されると、アンテナの両端にプラス/マイナスの繰り返し電
圧が生じます。これにより、空中の2点間に繰り返し電圧を生じさせること
が出来、電波が放射されるのです。
または、両端に電圧を生じさせる為にアンテナ線を電流が流れて電波が放射
するともいえます。
なお、上図の同軸ケーブルには2本の線が入っており、1本はケーブルの中
心に、もう1本は、その中心を覆うような構造になっています。一般的に、
中心にある線を「中心導体」とか「芯線」と呼んでおり、中心導体を覆って
いる線を「外部導体」とか「網線」と呼んでいます。
送信機は、この2本の線に電圧をかけ、交互に電圧を入れ替えることで、高
周波信号を発生させています。
以上が送信アンテナの原理なのですが、受信は送信の反対で、空中の2点間
に生じている電圧を受け取るのが受信アンテナです。動作は全く反対ですが、
送信アンテナも受信アンテナも全く同じものが使用できます。
アンテナの利得
ところで、我が国には八木秀次という博士が世界的な発明をされたことを、
ご存知でしょうか?
八木博士は、彼の研究室の宇田博士ともに、八木・宇田アンテナを発明しま
した。これが、現在、世界中の家の屋根の上に設置されている八木アンテナ
です。
さて、ダイポールアンテナは、アンテナの原理そのもので、空間に電圧を与
える働きをしていました。八木アンテナでは、単に空間に電圧を与えるので
はなく、ある特定方向だけに電波を飛ばすことが出来るのです。
しかも、他の方向には電波が出ないことで、出なかった電波が放射方向に集
められて放射されますので、電波を強める働きがあるのです。
この強める度合いを利得と呼びます。また、ダイポールアンテナには利得が
ありませんので、八木アンテナがダイポールアンテナに比べて、どれだけ強
められたかを、ダイポール利得と呼び、[dB]もしくは[dBd]で表します。
絶対利得
ここでは電波の放射の原理として、2点間に電圧を生じさせた例で説明して
きましたが、実は、この方法だと、ある2方向にだけ電波が放射しません。
それは、ダイポールアンテナのアンテナ軸方向です。アンテナ軸の方向から
アンテナを見ると、プラスとマイナスの変化が見えなくなるのです。
○
○── ──○ → / → ◎
/
○
正面から見ると 方向を変えてゆき 軸方向から見ると
両端が見える 両端が重って見えない
したがって、この軸方向には、電波が出ない為、その分の電波が正面方向が
強められて放射します。八木アンテナに比べれば、少ないですが、ダイポー
ルアンテナにも利得が生じているのです。
そこで、全方向に放射するアンテナがあったと仮定します。もちろん、電波
の発生原理から考えて、このようなアンテナは存在しませんが、この全方向
アンテナの利得を、絶対利得と呼び、[dBi]で表します。
また、ダイポールアンテナは、全方向アンテナよりも利得が2.15dBだけ高く
なりますので、以下のようになります
0 dBi = -2.15 dBd 0 dBd = 2.15 dBi
つまり、8dBiのアンテナは、実は約6dBdしか無いことになります。もちろん、
単位だけの問題で、アンテナの性能は8dBi、6dBdともに、同じです。
ただし、単にアンテナ利得を[dB]と表記されいる場合もあります。[dB]だけ
の表示の場合、通常はダイポール利得を示しますが、絶対利得である場合も
ありますので注意が必要です。
関連ページ
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設計編 - アンテナ測定 アンテナ利得の測定方法
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