ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ方式編 - OFDM
(作成:2004年09月) 地デジTopへ戻る
(更新:2005年03月)
シンボル間干渉
まず、シンボルレート6Mspsのデジタル信号を電波で送ろうとした場合につい
て考えて見ます。この場合のシンボルの長さは、僅か0.17usです。
ここから、僅かに遅延した電波が混入したとします。この場合、下図のよう
にシンボルの一部が干渉してしまいます。
| | |0.17us| | | | |
| | | | | | | |
放
送 / ̄ ̄ ̄\___/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\___/ ̄ ̄ ̄\___/ ̄
| | | | | | | |
遅
延 →/ ̄ ̄ ̄\___/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\___/ ̄ ̄ ̄\___/
(1/4)
| | | | | | | |
合
成 ×× ̄ ̄××__×× ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄××__××__××__××
一般に、この干渉はシンボルの長さの1/4まで許容できる場合が多いので、
干渉波の遅延は、以下のようになります。
許容遅延距離 = 光速 × シンボル長 / 4
= 300[Mm/s]×0.17[us]/ 4
= 12.5[m]
つまり、放送波と遅延波に12.5m以上の差があれば、シンボル間干渉が発生し
電波を受信しても、正しいデータが復調できなくなるのです。
放送局からの距離を考えれば、12.5mの耐干渉能力は、全く、意味が無いこと
が理解できると思います。
マルチキャリア伝送
シンボルレートを下げる方法の一つとして、マルチキャリア伝送があります。
これは、情報を1つのキャリア(電波)で送るのではなく複数のキャリアで送
る方法です。例えば、6Mspsの情報を6000個のキャリアに分けた場合、一つの
キャリアは1Kspsのシンボルレートになり、75kmもの遅延が許されるのです。
直交周波数多重変調(OFDM)方式の原理
マルチキャリア伝送の中で、キャリアの周波数間隔を最小かつ、互いのキャ
リアが干渉しない間隔にしたものを直交周波数多重(OFDM)といいます。
この干渉しない最小間隔とは、キャリアのシンボルレートに一致します。
つまり、上記の例では、1KHz間隔になりますので、マルチキャリアの合計の
帯域幅は6MHzとなります。
シングル ┌────────────────┐
キャリア │ │
(例) │ │
───┴────────────────┴───
| |
|← 6MHz →|
マルチ |||||||||||||||||| 6000本の
キャリア │||||||||||||||||| マルチキャリア
(例) |||||||||||||||||| (図の都合で数は省略)
───┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴───
| |
| |
|← 1kHz×6000=6MHz →|
復調方法
復調とは、OFDM信号内の情報を取り出すことです。
説明を分かりやすくするため各キャリアが0の時は消えて1の時に現れると
します。つまり、1シンボルで6000ビットが送れることになります。
上図のような周波数でイメージすれば、0と1は明確ですが、実際の信号は、
1の信号の周波数の波形を全て合算したものになり、0と1を明確に取り出
すことが出来ません。しかし、周波数では、0と1が明確なわけですから、
実際の信号を周波数に変換してやれば、上図のようなイメージの信号が出て
くることになります。
つまり、OFDMの復調は、OFDM信号を周波数領域に変換することで、
復調が可能になるのです。この時、周波数変換は、各キャリアが分別できる
よう1シンボル区間を6000ポイント分割して6000ポイント分をFFTと呼ば
れる高速フーリエ変換を行えば、6000キャリア分の0と1の信号が取り出せ
ることになります。
サブキャリアの変調方式
地上デジタル放送のOFDMのサブキャリアは64QAMで変調されます。詳しく
は、「方式編-変調方式」で説明しています。
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