ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ導入編

地上デジタル放送の役割

作成:2004年11月
更新:2008年04月

生駒山(大阪府/奈良県)送信所
生駒山テレビ送信所

地上デジタル放送の役割

 地上デジタル放送の役割は、アナログ放送(現在のテレビ放送)のデジタル化 です。つまり、通常のテレビにチャンネルを増やす衛星放送やCS放送とは 異なり、日本でテレビを視聴されている全国民が、デジタル放送に移行する 必要があります。また、1953年に開始されたアナログ放送は、2011年7月に 放送を終了する予定になっています。

 もちろん、地上デジタル放送には高品質な映像などの特長があるのですが、 現在のテレビに不満の無い方もいらっしゃるので、テレビの買い替えという 負担を全国民に背負わすことに賛否両論があります。

 しかし、テレビ放送は電波という有限な資源を使用しており、特に、近年の 我が国では、電波の使用状況が飽和してきています。例えば、1985年に登場 した携帯電話は、10年後の1995年には加入者数が780万台になり、さらに、 その10年後の2005年には9000万台と著しい増加があったことからも、理解 いただけるでしょう。

cdmaOneバルーン
           次々と登場する携帯電話方式の一例

 このような背景から、今のまま古いアナログ放送を継続しつづけるわけには いかなくなり、より少ない電波資源でテレビ放送が行えるデジタル放送への 移行が必要になってきました。

情報内容 リンク先
地上デジタルの放送エリア Dpa(デジタル放送推進協会)
地上デジタルって何? パーフェクトガイド(総務省)

※D-Paは2007年4月からDpa(デジタル放送推進協会)に変わりました。

アナログ放送の終了計画 (追記:2008年04月)

 現在のアナログ放送は、2011年6月30日に番組が終了します。それまでにも 段階的に終了を促す告知テロップが表示される予定です。

アナログ放送の終了計画
予定日 内容
2008年06月02日 ダビング10運用開始(アナログ出力の規制緩和)
2008年07月01日 アナログ放送画面に「アナログ」の表示を開始
2009年07月01日 番組+告知テロップの開始
2009年08月 簡易チューナー発売
2011年01月01日 番組+告知テロップの常時表示
2011年06月30日 アナログ放送の番組終了
2011年07月24日 アナログ放送の終了


アナログとデジタル


地上波デジタル放送

 アナログのテレビ放送は「地上波テレビジョン放送」と呼ばれていましたが、 デジタルの地上波放送では「波」が省略されて「地上デジタル放送」と名づ けられました。
 正式名称は、以下のとおり「地上デジタルテレビジョン放送」です。

名 称 地上デジタルテレビジョン放送 (地上デジタル放送)
方式名 ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)
規格名 ARIB STD-B31「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」



日本だけではない地上デジタル放送

 地上デジタル放送は世界各国で開始されています。日本独自の
ISDB-T方式の 他にも、欧州中心のDVB-T、北米中心のATSC、中国方式があります。
 日本方式は、ブラジルが日本方式をベースした方式を採用したことがきっか けとなり、南米を中心に広まっています。

各国の地上デジタルテレビ
方式 サービス開始 アナログ終了
日本 日本方式ISDB-T 2003年12月 2011年 7月
ブラジル 日本方式SBTVD-T 2007年12月 2016年
ペルー 日本方式SBTVD-T 2010年 3月 2020年
アルゼンチン 日本方式SBTVD-T 2010年 4月 未定
フィリピン 日本方式 未定 未定
北米 北米方式ATSC 1998年11月 2009年 6月
イギリス 欧州方式DVB-T 1998年 9月 2009〜2010年


ノイズの無い鮮明な画質

 アナログテレビ放送では、受信強度が60dBuVを下回るとノイズが発生し始め、 視聴に耐えれるのは40dBuV程度まででした。しかし、地上デジタル放送では 40dBuVを下回る35dBuV以下でも鮮明に表示することが出来ます。
 地上デジタル放送は、概ね25dBuV程度まで鮮明に受信することが出来ますが、 20dBuVを下回ると、突然、受信できなくなります。

アナログ放送とのノイズ比較
受信
強度
アナログ放送 デジタル放送
60dB
 uV
以上


35dB
 uV


20dB
 uV
以下

受信できません


VHFとUHFの周波数資源の違い

 アナログのテレビ放送では、VHFとUHF周波数帯を使用してきましたが、 主に使用してきたのは、VHF帯でした。
 地上デジタル放送ではUHFのみを使用するようになります。

VHF放送 VHF−L 90MHz〜108MHz (1ch〜3ch)
VHF−H 170MHz〜222MHz (4ch〜12ch)
UHF放送 470MHz〜770MHz (13ch〜62ch)

 VHFも、UHFも、1つのチャンネルで使用する周波数の幅(帯域幅)は 約6MHzで同じです。しかし、周波数資源を表す比帯域は約3倍も違います。

比帯域(周波数資源)= 帯域幅 / 周波数

つまり、周波数をVHFからUHFに移行するだけで、約3倍(2〜5倍) の周波数資源の有効化が出来ることになります。地上デジタルでは、UHF を使用することで周波数資源の有効化を図っています。

周波数間隔の違い

 チャンネル帯域幅は6MHzと書きましたが、アナログ放送では、例 えば、8チャンネルの次は10チャンネルと、2チャンネル毎に割り付けられ ています。(地区によっては、3chと4chは隣接していますが、3chと4chだけ 周波数が離れています)
 これは、もし、9チャンネルで別の放送を行うと、テレビ側の8チャンネルと 10チャンネルに映像が映りこんでくるためです。したがって、アナログ放送では、実質6MHzの2倍の12MHz毎にしか 使用できませんでした。
 一方、デジタル放送では、隣接していても、受信が出来るため、これで2倍 の効率化ができることになります。

デジタル符号化による効率化

 周波数の違いと周波数間隔の違いで、合計6倍の効率化が出来るのですが、 さらに、これに加えて、一つのチャンネルで、3チャンネル分の放送を行う ことも出来るようになります。したがって、合計で18倍も有効利用が出来 る計算になります。ただし、1つのチャンネルに3チャンネル分の映像を入 れてしまうと、従来のテレビ放送の画質になっていまいます。つまり、あく まで「同じ品質の放送であれば」、18倍の効率化いうことになります。 (実際の放送は、ハイビジョン放送が主流になります。)

効率化で合計128MHzの帯域を開放

 地上波テレビ用に使用してきたVHFとUHFの周波数は、合計368MHzもありまし た。地上デジタル放送へ移行後は、VHF帯の合計68MHzとUHF帯のうち60MHzの 合計128MHzが開放される予定です。これにより、地上波テレビ放送が使用し てきた帯域の約35%にも相当する広大な周波数が他の用途に使えるように なり、これまで周波数資源の不足で導入が難しかった、災害時の被災を低減 する通信システムや、交通事故防止システム、さらには携帯電話向けのデジ タル放送や緊急放送など安全で豊かな暮らし支える用途に使われる予定です。

ケーブルテレビ(CATV)との違い

 ケーブルテレビ放送では、放送局から有線ケーブルで放送されるのに対して、 地上デジタル放送は電波を使って、送信所から無線で放送されています。

下図はケーブルの損失と電波の自由空間損失の一例を比較したもので、距離 が1kmを超えると電波は損失しにくくなり、2.5km付近からはケーブルよりも 有利になります。しかも、ケーブルは距離が離れるにつれて中継設備の数が 多くなりますので、範囲が広がるほど電波を使った放送が適しています。
 但し、広範囲であっても、住宅が点在しているような場合は、ケーブルの方 が有利な場合もあります。

電波とケーブルの減衰特性の違い
電波は1〜2kmを超えると減衰しにくくなる(詳細)


インターネット放送との違い

 インターネット放送とは、従来の放送の意味とは少し違っています。従来の放送は、一つの放送局が同じ情報を全受信機に送る(ブロードキャストの)ことですが、インターネット放送ではデーターが幾重にも複製して送信され、しかも、幾度にも中継されて送られて送られます。つまり、情報に「輻輳」が発生してしまいます。
 また、輻輳を避けるために、全ての受信機に同じ情報(ブロードキャスト)を送ろうとすると、全ての放送局からの映像データーを通信回線に流す必要があるので、現在の回線速度では大幅に不足してしまいます。
 このように輻輳が発生しないで、かつ、必要な受信機にだけ同じ情報を送信(マルチキャスト)する技術が課題になり、普及には、まだ時間がかかりそうです。
 CM収入が資金の民放や、全国民に受信料を徴収するようなNHKは、当面は、現在の電波による放送形態を中心に並行してゆくことでしょう。

 一方、「放送」ではなく「通信」と考えたオンデマンドテレビでは、従来の放送では真似の出来ない双方向性通信による番組ごとの視聴ができるようになります。そこで、当面は現在のスカパーのような有料放送がインターネット放送に移行してゆくと考えられます。
 CM収入を期待しているインターネット放送もありますが、従来のテレビ放送と対等の広告収入を得なければ、番組の質は向上しません。つまり、番組の多様化(量)で勝負しなければならず、一つの番組にかけれる経費は、ますます少なくなってきます。このように、いつまで経っても従来テレビとの一線を超えることはむづかしい為、インターネット放送が普及したとしても、地上デジタル放送のような従来のテレビの形態も、しばらくは続くでしょう。

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