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ハイグレード楕円レコード針 ATN3600LE で高音質化

audio-technica製ハイグレード楕円レコード針 ATN3600LE で手持ちのレコードプレーヤーの高音質化を図ってみたレビュー記事です

ハイグレード交換針ATN3600LE

ATN3600LE は、audio-technica 製カートリッジ AT3600L 用のハイグレード交換針です。同社製レコードプレーヤー AT-LP60X などをグレードアップできます。

型番の末尾の「E」は楕円(Ellipse)を意味し、標準グレードの ATN3600L に比べて、高音質化が図られています。

標準グレードの交換針ATN3600L(左)と楕円(Ellipse)針のハイグレード交換針ATN3600LE(右)
標準グレードの交換針ATN3600L(左)と楕円(Ellipse)針のハイグレード交換針ATN3600LE(右)
人気のaudio-technica 製レコードプレーヤー AT-LP60X
人気のaudio-technica 製レコードプレーヤー AT-LP60X

楕円接合針を搭載

ATN3600LE は、針先の前方と後方に研磨が施され、平らな面が形成されています。

ATN3600LEの針先の針の前方と後方には研磨により平らな面が形成されている
ATN3600LEの針先の針の前方(写真・左)と後方(写真・右)には平らな面が形成されている

このような加工を行うと、針先の幅を維持したまま両脇が薄くなります。断面は下図のように横長の楕円状になります。

針先の断面図。針幅を維持したまま横長の楕円状になる(説明のために研磨部を強調)
針先の断面図。針幅を維持したまま横長の楕円状になる(説明のために研磨部を強調して作図)

トレース性能が向上する楕円針

楕円針を用いると、レコード盤の溝との接触点が減り、より細かなオーディオ信号のトレースが可能になります。

下図は、楕円針が細かな凹凸に入り込む様子を示す説明図です。オーディオ信号は溝の中の凹凸で表現されています。針は、この凹凸に応じて、溝の奥に入ったり溝の手前に押し出されたりします。溝の幅が広いときに、楕円針はより深い溝まで追従でき、正確なトレースが可能です。

楕円針を使うと、より細かな凹凸のトレースが可能になるイメージ図
楕円針を使うと、より細かな凹凸のトレースが可能になるイメージ図(説明の為に凹凸の変化を強調して作図)

ただし、ダイヤモンド針は固くて小さいので、研磨加工にはコストがかかります。下表のように定価で1.9倍もの差があります。

型番価格(JPY)針先
ATN3600L\3,300接合丸針
ATN3600LE\6,380接合楕円針

レコード針の交換方法

針の交換は簡単です。取扱説明書にしたがって、元の交換針を取り外し、ATN3600LE を取り付けます。

針の交換は簡単(取扱説明書参照)

調整不要

ATN3600LE の推奨針圧は標準グレードの ATN3600L と同じ3.0~4.0g(標準3.5g)です。交換しても針圧を変更する必要がありません。オーバーハングや高さの変更も不要です。

ATN3600LE 推奨針圧で再生する場合は、オーバーハングや高さの変更も不要

質量は約500mg程度でした。標準品よりも数10mg程度だけ軽くなっているようです。

質量は約500mg。標準品より数10mg軽いが針圧に影響ない程度(上図の測定は簡易な方法)

グレードアップ感

ATN3600LE に交換するだけで音質のグレードアップを楽しむことができます(個人差あり)。

ATN3600LE に交換するだけで音質がグレードアップする(個人の私見)

高音に注意して聞いてみると、実際の楽器に近いリアルな音色に変化していることに気づきます。一方で、全体的なメリハリ感は少し控えめになります。どちらかと言えば、ノリノリな楽曲よりも、じっくりと聴きたい落ち着きのある音楽に向いているように思います(筆者個人の私見)。

周波数特性の一例

下図は、校正されていない簡易な機器を使った周波数特性の測定結果です。標準のATN3600Lは赤色の破線で、ハイグレード品のATN3600LEは青色の実線です。測定値には誤差やノイズの影響が含まれます。

簡易測定によるATN3600LEの周波数特性(目安値)。標準のATN3600Lは赤色の破線で、ハイグレード品のATN3600LEは青色の実線
簡易測定によるATN3600LEの周波数特性(目安値)

メリハリ感を増強する方法

ATN3600LE ではメリハリ感が少し控えめです。これは、上図の低音と高音の強調が控えめになったことからも分かります。

そこで、針圧を低めの2.5gに設定してみました。下図の水色(薄い青色)のグラフが針圧を2.5gに設定した時の特性です。

針圧を低めの2.5gに設定すると、低音と高音の出力が上昇し、メリハリの利いた音質が得られた

針圧を2.5g~3.0gにすることで、高音と低音が増強されるようです。実際に聞いてみても、標準の ATN3600L に近いメリハリのある音質が得られました。ただし、出力だけでなく歪み音も増加します。また、AT-LP60X には針圧調整機能がありません。

標準針圧の3.5gのまま、楽曲に合わせて ATN3600LE と ATN3600L を付け替えながら楽しむのが良いでしょう。

なお、針圧調整機能がついたレコードプレーヤーであれば、下図のような交換針を使い分けることも出来ます。

左から ATN3600L (適正針圧3.5g) 、rega Carbon MM (適正針圧2.5g) 、ATN91R (適正針圧2.0g)。

ATN3600LEの主な仕様

対応プレーヤーは、 AT-LP60X AT-LP60XBT AT-SB727 AT-SB2022 AT-LP300 などです。以下に主な仕様を記します。

項目仕様
型番VM型 交換針 ATN3600LE
メーカー希望小売価格¥6,380
推奨針圧3.0〜4.0g(3.5g標準)
スタイラス接合楕円針
寿命(目安)約300時間
適合機種AT-SB727 YL/BK
AT-SB727 WH
AT-SB2022
AT-LP60X
AT-LP60XBT GBK
AT-LP60XBT WW
AT-PL300
AT-PL300USB
AT-PL300USBII
AT-PL300BT
各社 AT3600L 搭載モデル
メーカー公表値及び取扱説明書などから転記

レコードプレーヤーで音楽を楽しもう

最後に、レコードプレーヤーの選び方の説明記事を紹介します。

下図のリンクは、過去に本ブログサイトで紹介した「ボクにもわかる風」のレコードプレーヤーの選び方です。レコードプレーヤーに関する必要な情報をまとめてみました。レコードプレーヤーは、その要否やお奨め機種の順位を簡単に理解できるものではありません。面倒かもしれませんが、ぜひ、お読みください。

by bokunimo.net

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