KORG Nutube と Sansui トランスで作る真空管オーディオ・アンプ (FET版)

緑色に光る KORG Nutube を使って真空管の音色が楽しめるオーディオ・アンプを製作します。出力にSansuiのトランスを使うことで、真空管アンプらしい音色(筆者主観)を引き出します。

第1章 真空管アンプの設計
(3ページ中1ページ目)

これまでの実験と今回のアンプ製作

前回は、ブレッドボードで0.03W出力のオーディオ・アンプを試作しました(詳細は、本ブログの末尾の参考文献をご覧ください)。しかし、楽しめる楽曲のジャンルに制限があったので、パワーアップしてみます。

今回は、前回の回路をベースに電源電圧を39Vまで昇圧しました。また、部品をユニバーサル基板に実装し、実用的なオーディオ・アンプに仕上げました。さらに、ミニ・コンポ用のスピーカを接続し、デスクトップで真空管の音色を楽しめる程度の音圧が得られることを確認しました。音圧と音質(目安値)についても、後述します。

製作した真空管オーディオ・アンプ

下図は、今回、製作したアンプの完成例です。39Vの高い電圧を扱うので、万が一、回路が発熱しても発火しにくいポリカーボネート製のケース(西務良製 No.140、秋月電子通商で購入)に入れました。

39Vの高い電圧を扱うので、万が一、回路が発熱しても発火しにくいポリカーボネート製のケース(西務良製 No.140、秋月電子通商で購入)に入れた真空管オーディオ・アンプの完成例

ピッタリ合うケースが売られていなかったので、空きスペースが目立ちます。今後の改良や機能追加を考え、写真の左側にも同じ基板が入るように配置しました。電線には耐熱電線を使用し、絶縁にはポリイミドテープを使用しました。

この記事の制約事項

本記事では、真空管のみで電圧増幅を行いますが、電流の増幅にFETを使用します。簡単なソースフォロワ回路のため、低い出力(0.06W)程度から歪み率が著しく増大します。とはいえ、真空管の音色を楽しむには、十分な出力です(後述)。
別途、オペアンプを使った記事も紹介予定ですが、本稿(FET版)のほうが、実際の真空管アンプに近い鳴り方をします(筆者主観での比較)。

オペアンプ使用OPA版(2022/9/10):https://bokunimo.net/blog/information/2314/

Nutube + トランス回路 (FET版)

前回(末尾の参考文献参照)と同様に、電圧増幅はNutubeのみで行い、スピーカ駆動に必要な電流をトランスで取り出します。真空管アンプらしさを引き出すのが狙いです。電源や出力部のコンデンサには耐圧50V品を使用します。出力部のC2はオーディオ用の手持ち品が無かったので、今回は一般用コンデンサ10uF/50Vを使用しました。

製作した0.1W出力 Nutube真空管+トランス駆動オーディオアンプの回路図を以下に示します。

電圧増幅はNutubeのみで行い、スピーカ駆動に必要な電流をトランスで取り出す構成とすることで、真空管アンプらしさを引き出す試みを行った

39V出力DCDCコンバータ部

24Vよりも大きなACアダプタは、あまり売られておらず、またDCプラグやジャックも高耐圧の部品が必要になります。そこで、ACアダプタは6V出力の一般的な製品を用い、DCDCコンバータで昇圧することにしました。出力電圧は、下図のR1とR2で設定します。設計上の出力電圧は40Vですが、抵抗の製造ばらつきで1V(2.5%)低い39Vの出力が得られました。

24Vよりも大きなACアダプタは、あまり売られていないので、DCDCコンバータを使って、ACアダプタの6V出力を39Vに昇圧した

なお、製作した回路では、コンバータ用の周波数を設定するCtの値を小さくすると、スピーカから約140Hzの発振音が鳴ることが分かりました。33pFだとマイクロホンで拾えないレベル(通常、聞こえないレベル)に低減できましたが、出力を直接測定すると残留しています。また、メーカーの推奨範囲外です。想定していない不具合(例えば電流制限回路が必要な時に動作しない)が発生するリスクがあるかもしれません。

真空管の特性を引き出す

Nutubeの最大出力は1.7mWです。このギリギリを狙い、負荷抵抗R8を220kΩとし、自然な状態で真空管の特性を引き出すよう試みました。本稿では、エフェクタや真空管プリアンプではなく、Sansuiのトランスを含めて真空管アンプの本来の原理で動かしたいと考えました。もちろん、良し悪しは別ですし、電流増幅をFETが担って0.1W出力を得ている点で、本来の真空管アンプとは異なります。

Nutubeの最大出力1.7mWのギリギリを狙うことで、自然な状態で真空管の特性を引き出す試みを行った。

上図のように入力バイアス電圧を2.0Vに設定するには、可変抵抗VR1を調整します。調整時はFET出力のDC電圧が22.8Vになるようにしたほうが、上図に近い動作になります。実際に組んだ回路では、設計時ほどの出力は得られず、Nutubeの個体差やFETに流れる電流で、低めの出力になるからです。

なお、220kΩ以下の抵抗を用いたり、39V以上の電圧を用いたりすると、Nutubeの寿命を低下させる原因になります。電圧を上げたい場合は抵抗を大きくして、Nutubeの最大出力を1.7mW以下に抑えてください。

次ページ(ユニバーサル基板への実装例)に続く

「KORG Nutube と Sansui トランスで作る真空管オーディオ・アンプ (FET版)」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。