ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ対策編

混合器(ミキサー)

作成:2004年01月

混合器とは(アンテナミキサーとは)

 混合器は、複数のアンテナからの同軸ケーブルを、1本の同軸ケーブルにまとめる役割を果たすアンテナ部品です。UHFだけでなく、VHFやBSも1本のケーブルにまとめることが出来ます。

┏━━━━━┓
┃アンテナ1┠───┐
┗━━━━━┛ ┏━┷━┓
        ┃混合器┠───┐
┏━━━━━┓ ┗━┯━┛   │
┃アンテナ2┠───┘   ┏━┷━┓
┗━━━━━┛       ┃混合器┠───………
┏━━━━━┓       ┗━┯━┛
┃アンテナ2┠─────────┘
┗━━━━━┛
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 同じ「混合器」と呼ぶ部品でも異なる役割の部品が、チューナー内部にありますので、区別したい場合は「アンテナ混合器」と呼びます。

混合器の問題

 地上デジタル放送では、混合器を多用すると問題が生じます。特に、UHFアンテナが複数ある場合は注意が必要です。
 例えば、UHFアンテナ1とUHFアンテナ2の2本のアンテナが設置されている場合で、アンテナ1が地上デジタル放送の送信所Dの方向を、アンテナ2は別の方向を向いている場合に問題が発生しやすくなります。

|     アンテナ1  受信点  アンテナ2    アナログ    
|           ┏━━━┓          送信所A | /\
△→→→・・・→||||┠─┨混合器┠─┨||||←・・・・・・←←← |/  \
|   3km      ┗━┯━┛        20km   / 山  
|デジタル         │               /
|送信所D         ↓チューナへ         /
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 上図のような場合、アンテナ2にはアナログ送信所Aからの電波だけでなく、デジタル送信所Dからの電波が、右側の山に反射してアンテナ2から入ってきます。この時、山までの往復の距離の分だけ遅延しているので、時間的な遅れによってデジタル信号が干渉してしまい受信できなくなるのです。
 受信できなくなる条件は、以下の2つの両方に該当してしまった場合です。

  @反射波の遅延量がガードインターバル区間を越えている
  A山までの往復の距離による減衰量がCN比(28dB)に満たない

 現在、放送されている地上デジタル放送は、約38kmまでの遅延があっても受信できるように設定されています。つまり、片道19km以内に山などがあっても問題は生じません。しかし、例図では受信点から20km離れたところに山があるので、片道19km以内の条件を満たさなくなります。

 遠い山からの反射波は弱まっているので、あまり問題にならないように思いがちです。ところが、いくつもの山が並んでいると、それぞれの山からの反射によって、悪影響を及ぼす場合があります。
 送信所Dから山に反射してアンテナ2までの距離は合計で43kmです。これは、デジタル送信所Dからアンテナ1までの3kmに対して約14倍となり、仮に全反射が起こった場合の電力の差は23dBとなります。つまり、電力差28dB以上の条件を満たさなくなります。

 このように@とAの条件を満たさなくなると、受信が出来なくなります。

対策方法

このような問題を対策する方法の一つは、問題となっているアンテナ2と混合器の間に、地上デジタル波を劣化させる減衰器(アッテネータ)やフィルタを挿入することす。

放   ━━━━━┓ ┏━━━┓ ┏━━━━┓ ┏━━━━━  
送 → アンテナ1┠─┨混合器┠─┨フィルタ┠─┨アンテナ2 ←
局   ━━━━━┛ ┗━┯━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━━  
    13〜23ch     │   アッテネーター  25〜62ch
             ↓           
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 一般的には、混合器にフィルタ機能がついているものを使用します。例えば、フィルタ入りの混合器で入力端子1が13〜23ch、端子2で25〜62chとなっているものでは、端子2は25ch〜62chだけを通して、13〜23chはフィルタによって減衰されます。したがって、アンテナ2をこの混合器の入力端子2に接続すれば、アンテナ2から13〜23chの電波が混入しなくなります。
 しかし、フィルタの減衰量は無限ではありませんので、必要な減衰量を満たさなければ、減衰量不足となる場合があります。受信レベルの簡単な方法として、アンテナ1だけの時とアンテナ2だけの時の受信強度をテレビ等の測定機能を使えば、必要な減衰量が求まるでしょう。但し、テレビ当の通常のアンテナレベル表示は、CN値と強度の両方の影響を示しているので、受信レベルが正しく測れません。パナソニックやシャープのテレビを使用して、受信電力指標(Panasonic)やAGCレベル(SHARP)で確認してください。

資料編-受信品質確認方法

 もし、フィルタの減衰量が不足している場合は、フィルタのために混合器を追加します。混合器の不要な端子にダミー抵抗をつければ、フィルターとして使用できるのです。もちろん、単品のフィルタでもかまいません。

混合器フィルタの特性

 混合器のフィルタの特性は、チャンネル毎に正確に減衰させるといったものではありません。例えば、13〜23chの23chまでを減衰させるフィルタの場合、24chについても、減衰させてしまう場合があります。
 フィルタは、下図のように傾斜をもって特性が変化するので、チャンネル(周波数)の変わり目では、特性が劣ってしまうからです。

                 ___________
通┃              /  
過┃             /←─通過減衰量(25ch)
↑┃            /|
 ┃     阻止減衰量→/┃|
↓┃      (23ch) /|┃|
減┃         /→├╂┤←─推移領域(23〜25ch)
衰┃________/  |┃|
 ┗━┿━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━┿━━
   13ch         24ch          62ch

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市販のフィルタ入り混合器

 各地域の専用UU混合器として、八木アンテナ株式会社やマスプロ電工から、以下のような製品が発売されています。特性が合えば表示地域に合わなくても使用できます。また、使用しない端子にダミー抵抗を取り付けることで、フィルターとしても利用できます。

八木アンテナ

主な地域 | 型名  |入力1(ch)  |入力2(ch)
─────┼─────┼───────┼──────
関東圏など| UDM-135 |13〜16、20〜28|18、30〜62
     | UDM-133 |13〜35、47〜62|42 
─────┼─────┼───────┼──────
近畿圏ばど| UDM-262 |13〜24    |21〜62
     | UDM-263 |13〜23    |25〜62 
─────┼─────┼───────┼──────
中京圏など| UDM-211 |13〜25、35  |29〜30、37 
     | UDM-231 |13〜23    |25〜62 

マスプロ電工

主な地域 | 型名    |入力1(ch)  |入力2(ch)
─────┼───────┼───────┼──────
全国   |UU7FLH(29,47) |13〜29    |47〜62 
中京圏など|UU7FLH(23,25) |13〜23    |25〜62 
岐阜地区 |UU7F-GI    |13〜25、35  |29〜30、37〜39
三重地区 |UU7F-TU    |13〜23、35  |27〜33、44 
京都地区 |UU7F-KY(分配型|13〜34    |13〜62 

混合器のアナログ放送の課題

 以上は、地上デジタル放送が混合器で受信できなくなる問題について説明してきましたが、ここでは地上波アナログ放送の混合器による問題について、説明します。
 地上デジタル用のアンテナを混合器を使って追加設置した場合、地上デジタル用のアンテナに地上波アナログ波が混入してしまうことがあります。この場合、元々のアナログ放送のアンテナからの電波と混合されて、ゴーストと呼ばれる2重映りが生じる場合があり、特に大型のテレビではゴーストが目立ちます。

ゴースト
アナログ放送のゴースト

 最近のテレビには、ゴーストリデューサ(GR)機能がついている場合があります。ゴーストリデューサは、ゴーストのあるアナログ信号からゴースト成分を除去する機能です。例え、混合器に問題があったとしても、テレビやチューナのゴーストリデューサ機能をオンにすることで、対策が出来る場合があります。
 もちろん、フィルタ等での対策も可能ですが、既に放送終了が近づいていることから、ゴーストリデューサでの対策をお奨めします。

低損失な混合器

 同一周波数が混合できる混合器は、混合器を通過すると、電力が半分以下になってしまいます。およそ4dBの損失が生じるのです。しかし、LPFとHPFのフィルタを結合した混合器を使用すると、混合する周波数が異なるため、あまり電力を損失させずに混合することができます。
 つまり、フィルタ機能つきの混合器は、損失も少ない無い利点があるのです。ただし、前述のとおりフィルターの特性は傾斜をもっています。このため、周波数の離れたVHFとUHFの混合器であれば、十分に周波数が離れているので良好な特性が得られますが、同じUHF同士の13〜23ch/25〜62chのように周波数が近接している場合は、損失が増加してしまいます。

    ┏━━━━┓     ┏━━━━┓ 
入力1→┨ LPF ┠──●──┨ HPF ┠←入力2
    ┗━━━━┛  |  ┗━━━━┛
     13〜23ch   │   25〜62ch
            ↓出力

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混合器の設計


 下図は、入力1にBPF、入力2にBEFを使用した混合器です。LCによる共振周波数は、入力1から出力に通過します。しかし、入力2からは阻止されます。LCの共振特性にもよりますが、阻止できる周波数幅は、およそ15〜20チャンネル分(約100MHz程度)です。入力2のBEF側のインダクタLもしくは、コンデンサCのどちらかに可変の部品を使用すると、阻止周波数の微調整が可能となります。
(「設計編-
アンテナ部品」参照)

入力1      BPF   BEF┏━━┓     入力2
━━━━┳━ ┏━━┓┏━━┓  ┌┨L1┠┐ ━┳━━━━
 同軸線┠──┨L1┠┨C2┠●─●┗━━┛●──┨同軸線
━━━━┻━┐┗━━┛┗━━┛| │┏━━┓│┌━┻━━━━
      │        | └┨C2┠┘│
      │        |  ┗━━┛ │GND
    ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┯┐|┌┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯
              ┃|┃
              ┣┷┫  周波数  |L1|C2
              ┃同┃ ──────┼──┼──
              ┃軸┃ 485MHz(15ch)|12nH| 9pF
            出力┃線┃ 513MHz(20ch)|12nH| 8pF

        図:BPF+BEFの混合器

 また、両方をBEFにて構成する方法もあります。入力1で通したい周波数をL2とC2で阻止し、入力2で通したい周波数をL1とC1で阻止します。
 LかCのどちらかに可変の部品を使用することで、製作後の特性の調整が可能です。

入力1     ┏━━┓   ┏━━┓     入力2
━━━━┳━ ┌┨L1┠┐ ┌┨L2┠┐ ━┳━━━━
 同軸線┠──●┗━━┛| |┗━━┛●──┨同軸線
━━━━┻━┐│┏━━┓│ │┏━━┓│┌━┻━━━━
      │└┨C1┠┴●┴┨C2┠┘│
      │ ┗━━┛ | ┗━━┛ │GND
    ┯┯┿┯┯┯┯┯┐|┌┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯
            ┃|┃
            ┣┷┫  周波数  |Ln |Cn
            ┃同┃ ──────┼──┼──
            ┃軸┃ 485MHz(15ch)|12nH| 9pF
          出力┃線┃ 513MHz(20ch)|12nH| 8pF

       図:BEF+BEFの混合器

 同電力での混合器は「対策編-分配器」で紹介している分配器と同じ回路なので省略します。分配器の入力を混合器の出力として、分配器の出力を混合器の入力として使用してください。

━━━━┳━  ┏━━┓
 同軸線┠───┨L1┠─┐
━━━━┻━┐ ┗━━┛ │
━━━━┳━┘ ┏━━┓ │      ━┳━━━━━
 同軸線┠───┨L2┠─●───────┨同軸線
━━━━┻━┐ ┗━━┛┏┷┓    ┌━┻━━━━━
      |     ┃C┃    |
      │     ┃3┃    │
      │GND  ┗┯┛    │
    ┯┯┿┯┯┯┯┯┯┿┯┯┯┯┯┿┯┯

        L1=22nH L2=22nH C3=3.9pF
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 フィルタ入りの混合器の入力と出力を入れ替えると、分波器としても使用することが出来ます。所要の周波数帯域の特性が同じであれば、混合器を分波器として使用したり分波器を混合器として使用したりすることがあります。
 但し、市販品の混合器は防滴仕様になっていて、屋外で使用できるタイプが多いです。一方、分配器や分波器は屋内向けで防滴仕様になっていないタイプのものが多いです。屋内向けを屋外で使用してしまわないように、御注意ください。

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