ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ導入編

B-CASカード(ビーキャス)

作成:2005年03月
更新:2013年03月
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B-CASカードの挿入

 地上デジタル放送の受信にはB-CASカードの挿入が必要です(地上RMP方式やCASチップ内蔵機器を除く)。チューナーやテレビ、レコーダーに下図のようなB-CASカードが付属していた場合は、B-CASカード用スロットに挿入してください。
 カードを固定するためのスイッチが装備されている機器の場合は、スイッチをロック側にスライドしておく必要があります。

B-CASカード表面 B-CASカード裏面

 B-CASカードは、株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(以下B-CAS社と略します)が発行している、地上デジタル放送やBSデジタル、110度CSデジタル放送を視聴する為に使用します。
 デジタル放送が受信可能なチューナーやテレビに利用許諾契約約款とともに付属しており、台紙を開封した時点で契約を締結したことになります。(必ず、利用許諾契約約款をお読みください)
 B-CAS社は、BSデジタル放送が開始される際にB-CASカードを管理する為にNHKやBSデジタル放送局、チューナ機器メーカなどが出資して、設立された会社です。B-CASカードの役割は主に以下のようなものがあります。

 ・ダビング10やコピーワンスの暗号情報管理
  (コンテンツ保護、限定受信、限定再生)
 ・有料放送(ペイ・パー・ビュー放送)の課金情報管理
 ・NHKのBS受信料支払いメッセージの表示情報管理
 ・双方向データサービスの個人情報の識別情報管理

B-CASカードがない場合

 通常のテレビやレコーダには、B-CASが付属しています(地デジ専用機器に用いられている地上RPM方式やCASチップ内蔵機器を除く)。
 テレビやレコーダを電気店に設置してもらった場合は、機器の取扱説明書でカードの挿入口の位置を調べて、中を確認してみてください。
 中古のチューナー等で付属していない場合はB-CAS社から再発行してもらう必要があります。再発行費用は2,160円(2019年10月)です。発行の対象はB-CASカードがもともと付属していた機種に対してのみ可能です。
 海外製品などで初めからB-CASカードが付属していない機器については、B-CASカードを装着してはいけません。初めからB-CASカードが付属していない製品はB-CAS社による認証が受けられていない製品ですので、B-CASカードを挿入することが禁止されているだけでなく、違法行為となる恐れもあります。
 B-CASカードは著作権保護を行っていますのでB-CAS社が認証していない機種でB-CASカードを使用すると、著作権保護システムの改変とみなされて違法行為になる恐れがあります。国内メーカーから発売されている機器はメーカーがB-CAS社に認証を受けているため問題ありません。また、初めからB-CASカードが付属している機種は海外製品であっても、認証が受けられていますので、問題ないでしょう。なお、B-CASカードが付属している機器の間では、B-CASカードを入れ替えて使用しても問題ありません。(但し、種類の異なるカードを入れることは、利用規約にて禁止されている場合があります。)
 友人に譲渡する場合やオークションに出品する場合も注意が必要です。B-CASカードの所有権はB-CAS社にあり、B-CAS社に無断でカードを譲渡したり転売することは出来ません。ただし、譲渡先の相手が明確に特定可能な場合は、B-CAS社へ名義変更の申請を行うことで無断の譲渡では無くなり、譲渡が可能になります。連絡は、新所有者が行うことになっています。
 カードが未開封の状態で当該カードが付属していた機器の付属品としての転売は可能です。ただし、カード単品での転売は、出来ません。

 以上は2005年3月時点での情報です。詳細はB-CAS社のウェブサイトで確認ください。(http://www.b-cas.co.jp/)

B-CASカードのユーザ登録


2011年3月31日にB-CASカードのユーザー登録は廃止されました。


参考:https://www.b-cas.co.jp/www/whatsnew/100705.html(B-CAS社発表・リンク切れ)

B-CASカードの種類

 B-CASカードには下表のように複数のカードがあります。地上デジタル放送は全てのカードで視聴することが出来ます。通常の機器には赤カードが付属しており、地上デジタル、BSデジタル、CSデジタルの各放送を受信することが出来ます。

B-CASカードの種類
カード色 赤カード 青カード 橙カード 白(青字) 白(赤字) 黄カード
イメージ
役割 3波共用
 (通常)
地上波
  専用
CATV
  専用
機器内蔵
   用
店頭展示
  専用
用途限定
 展示用
地デジ
BS・CS110
CATV
NHK表示
有料放送 ○(有料) ○(有料) ○(デモ)
用途 ←―― 一般向け ―――→ 組込 ←― デモ用 ―→

 青カードは地上デジタル放送専用のカードです。青カードでBSデジタル放送を受信した場合は有料放送などの扱いに不具合が発生する場合があります。また規約上も「地上デジタル放送を受信するためのB-CASカードが同梱されていない機器での使用が禁止」とあります。赤のカードが付属している機器は、地上デジタル放送を受信する機器の範囲内ですので、青のカードを使用することは、明確には禁止されていません。しかし、カードによって約款が異なりますので、禁止されていると解釈することも出来ます。当サイトとしては、赤カードの付属した機器で青カードを使用することは推奨いたしません。(万一、使用して被害を受けられても、当方は責任を負いません。)
 橙色カードはCATVチューナー(セットトップボックス)専用です。地上デジタル放送が受信できないと誤解されがちですが、CATVチューナーに挿入することで地上デジタル放送を受信することが出来ます。(但し、CATV事業者によります)。また、規約上、橙カードをCATV受信機以外で使用することは「明確に」禁止されています。
 青字の白カードは機器に内蔵されていて取り出せないカードです。他にも、NHKの登録表示が出ない店頭展示デモ専用の赤字の白カードや、有料放送の視聴が可能な用途限定カードがあります。これらは、一般には市販されていませんし、特に有料放送が視聴可能な黄色カードは、万が一の盗難や不正使用に備えて、所有者とカード番号が管理されていています。さらに地デジ専用の開発向けの黒カードがあるそうです。

 なお下表はB-CAS社が推奨していない項目を「−」としています。実際は対応機に挿入すれば受信できるものもありますが、規約で仕様が禁止されている場合がありますので、正しいカードを使用してください。

B-CASカードの「おまけ」機能

 2005年11月以降のB-CASカード(3201番台)には、WOWOW等の有料放送を各1週間無料視聴が出来る特典がありました。B-CASカードを入れた状態で有料放送のチャンネルに合わせるだけで無料視聴が始まってしまいますので、その時点から7日間の期限となります。なお、無料視聴期間は、機器や視聴方法、録画方法によって有料放送視聴中にメッセージが表示されたり、録画した映像にメッセージが残ってしまう場合があります。録画時に映像を圧縮しないモードにするなどの工夫により、回避できることもあります。

コンテンツ権利保護専用方式(2013/3/27)

新着:地デジのコンテンツ権利保護専用方式の運用が全国で開始に

 新方式に対応した地デジ専用機器ではコンテンツ保護された地上デジタル放送のフルセグメント(主にハイビジョン)番組をB-CASカードなしで視聴できるようになりました。
 なお、BS放送やCS放送に対応したテレビやレコーダ機器、従来の限定受信方式の機器については、引き続きB-CASカードの挿入が必要です。

新コンテンツ権利保護専用方式
方式名 (従来の)限定受信方式 コンテンツ保護専用方式
(地上RPM方式)
ARIB規格 STD-B25 6.2版 第1部 STD-B25 6.2版 第3部
限定受信 ○限定 −−−
コンテンツ保護 ○保護 ○保護
B-CASカード ○必要 −不要



NHK受信料

 地上デジタルのNHK受信のために、新しく契約を変更する必要はありません。また、NHKへ追加で支払うような料金もありません。架空請求に注意してください。
 NHKとの受信契約には、主に下表のような2種類があります。多くの方は、すでに「地上契約(旧・カラー契約)」もしくは「衛星契約(旧・衛星カラー契約)」でテレビを視聴されていると思います。地上デジタル放送は、従来の「地上契約(旧・カラー契約)」に含まれているので、新たに契約を変更したり、受信料がアップすることはありません。また、これまでBS放送の視聴のための「衛星契約(旧・衛星カラー契約)」をしていた方も、引き続き同じ契約で、地上デジタル放送とBSデジタル放送を視聴することができます。

契約別NHKの月額受信料(2007年10月現在※)
契約のタイプ 月額
(円)
地上波
アナログ
地上
デジタル
BS
アナログ
BS
デジタル
地上契約(旧カラー契約) 1395円 × ×
衛星契約(旧衛星カラー契約) 2340円
特別契約 ※難視聴地域のみ 1055円 × ×
      ※2007年10月01日に白黒テレビの普通契約が廃止されました。

 但し、これまで「地上契約(カラー契約)」の方で、地上デジタルの受信機を導入された際にBSアンテナを設置した場合は、「衛星契約」に変更する必要があります。また、マンションで予めBSアンテナが設置されいる場合も、「衛星契約」に変更する必要があります。衛星放送を見る/見ないに関わらず、受信することのできるテレビやチューナが使用できる状態であれば、支払いの義務が生じます。
 地上デジタル放送に対応した、ほぼ全てのテレビがBSデジタル放送にも対応しているので、衛星放送を視聴したくない方は、「BS受信不可能な状態」にしておく必要があります。受信不可能な状態とは、BSアンテナを設置していない場合や、故障している場合などです。分波器を所有していない場合であっても、ケーブルを直接、接続すれば受信できるので受信可能と見做されます。テレビ購入時にアンテナ・ケーブルのBS側を接続しない状態で設置してもらうことも可能ですが、ケーブルの接続だけで受信できる場合は、受信可能と見なされる場合があります。
 インターネットを検索すると「放送受信機廃止届」を届ける方法が散見されますが、もし放送が視聴できる状態にもかかわらず、受信機廃止の届出を行ってしまうと、虚偽と解釈され、大きな不利益を被ることにもなりかねません。届出を行う前に、居住地のNHK営業サービスに連絡して、状態の報告と正しい手続き方法を確認してください。
 なお、受信契約に関する情報についても当方は一切の責任を負いませんので、NHK受信規約を参照いただき、自己責任で対応ください。

NHK受信規約:
http://www.nhk.or.jp/eigyo/kiyaku/kiyaku_01.html

NHK受信料の割引

 NHK受信料には、いくつかの割引制度がありますので、簡単に紹介しておきます。

口座振替(50円)
振込用紙による支払いよりも50円が減額されます。なお、訪問集金は、2008年10月に廃止されました。

前払い(地上370円/BS650円)
6か月、12か月の前払い割引があります。口座振替・6か月の前払いの場合、地上契約で420円、衛星契約で650円が割り引かれます。割引率の高い12か月の前払いもあります。

家族割引(半額)
学生や単身赴任者用の割引があります。同一生計である証明が必要です。基となる契約は通常料金で、追加分が半額となります。

免除(半額免除〜全額免除)
世帯主が身体障害者手帳をお持ちの場合など、受信料の半額または全額が免除される場合があります。(程度や条件によります)

NHK受信料の公平化と公共放送のあり方(ボクの所見)

 NHKは日本のテレビ放送の基盤づくりを手がけており、民放も含めたテレビ放送業界全体に欠かすことの出来ない協会です。放送基盤の中でも、とくに重要なのが、放送の公共性です。日本では、国民が受信料を支払うことで(他の出資によらない)公共放送を実現しています。
 もし、国や企業が運営するようになれば、テレビ放送の公共性は低下してしまい、運営者による情報操作が可能になってしまいます。日々、見聞きしている情報が、国や企業が操作できるようになれば、我々は適切な情報かどうかを判断することが難しくなるでしょう。しかも、インターネットによる映像配信サービスやSNS等の定着によって、公共性の高い情報の価値は、高まる一方です。
 技術的にはインターネットを利用して公共性を保つ手段や、公共性の高いサービスが登場しています。しかし、その一方で、一部の企業や日本以外の国による情報操作も可能です。インターネット上のサービスで公共性を実現するには、技術、運用、普及がバランスを取りながら徐々に高めてゆく必要があり、進化の早いインターネットであっても、実現には、年月を要します。例えば、Wikipediaは、インターネット上で公共性を維持したサービスの在り方の一つです。実現には、多くの人の労力と年月が費やされていますが、公共性の高い情報サービスだと思います(日々のニュースのようなリアルタイム性の高い情報については対応できない、公共性や信頼性の低い情報が混じってしまう点はある)。
 将来、テレビ放送がインターネットに置き換わったとしても、NHKはインターネット上で公共性のより高い情報提供を維持する役割が残ると思います。一方で、全国民がサービス料を支払う趣旨を維持することが重要だと思います。
 ただし、衛星契約については、例えばNHK−BSに視聴制限を行ってもNHKの公共性が低下することは無いと考えられます。また娯楽番組についても公共性の重要度は低いと思います。受信契約に関わるトラブルも増加しているようなので、受信契約のあり方を見直す必要があるでしょう。
 公共性が重要となるニュースや、地方ニュースに対して、全国民が受信料を払うことは賛同を得やすいと思います。
 気になるのは民放が放送する番組とかけ離れた制作費による娯楽番組です。教養や歴史、文化、技術といった趣旨が明確な番組はあるものの、これらを民放と同レベルの品質に落としたところで、公共性が損なわれるとは思えません。実際、肝心の内容の方は現代に合わせて本来の歴史や文化を崩した作りとなっているように見えます。
 公共放送の理想は明確です。しかし、人によって趣味嗜好が異なるので、そもそも番組によって賛否が分かれるものです。理想と現実のギャップが大きい性質のものだからこそ、そのギャップを埋めてゆくのが重要と思います。

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