本日、東芝がHD DVD事業を終息する発表がありました。
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2008_02/pr_j1903.htm
HD DVDプレーヤー及びレコーダーの新規開発と生産は直ちに中止し、PC用、ゲーム用も量産を終了する方向で調整するようです。
メディア(HD DVD-R)は継続的に何らかの形で供給されるようですし、修理用の部品も、他のレコーダーと同様に製造打ち切り後8年間は保有するようです。ですから、HD DVDレコーダーを買った人の被害は、ほとんど無いでしょう。
市販ソフトについては、新規リリースが無くなると思います。残念ではありますが、このところの、市販ソフトのリリース状況や入手性から考えて、国内でHD DVDレコーダーを所有されている方の多くは、Blu-ray機も所有されていると思います。HD DVDレコーダーをSHARP BD-AV1にi.Linkで接続して、Blu-rayの再生&外付けBlu-rayレコーダとして使用している方も多いようなので、問題ないでしょう。
ニュース等では、「ベータの二の舞い」などとの報道がされていますが、普及する前に撤退したことや、2方式の競争がSONY等のBlu-rayの低価格化や普及に拍車をかけて次世代ディスクの普及を促進したことを考えれば、今のタイミングでの撤退は、ちょうど良い状況だったように思います。
将来的に問題となるのは、HD DVD-Rに録画したメディアの再生環境です。コピーワンス放送を録画したHD DVD-Rのディスクは、Blu-rayへムーブできませんし、8年後は修理も出来なくなる可能性があり、再生環境が無くなってしまいます。ただ、HD DVD-Rは有機色素のディスクなので、ディスクの記録保持期間も10年以上が目安でした。不幸にして、レコーダーが壊れてしまった場合は、ディスクが劣化して読めなくなったのと同じように考えて、諦めるしかないでしょう。
東芝にとっての痛手は、撤退費用が数百億円とも言われていることでしょう。しかし、撤退をすぐに報道発表したことは、企業の透明性を感じさせられ、また、同時に発表されたNANDフラッシュ工場への投資やSanDisk社との新合弁会社設立についても、次世代ディスク競争が「ディスクvsメモリー」のステージに移ったかの印象を受けました。既に、東芝は、最先端の56nmプロセスで製造した16GBのSDHCカードを発売しており、近日中に32GBのSDHCカードを発売する予定です。16GB、32GBと言えば、HD DVD-Rの1層が15GB、2層が30GBですので、Blu-ray機にSDHCレコーダーで反撃してくる可能性もあるでしょう。このように、東芝が強みある事業に集中することは、SED撤退、SHARPとの提携など、一貫した方向が示されているように見受けられ、実に、宣戦布告的な発表に思いました。
「方式編-blu-ray]