出力にオペアンプとSansui製トランスを使った低消費電力な真空管アンプに、Raspberry Pi Picoで作ったピーク電圧レベルメーターを接続した実用的なオーディオ用アンプの製作方法について説明します。
目次
特長
トランスを使用した Nutube 真空管のみで電圧増幅するオーディオ・アンプです。一般的な真空管アンプに比べて1/10~1/100の消費電力で動作するので、電気代を気にせずに、ながら聴きが出来ます。
- KORG Nutube 真空管+Sansui トランスを使用
- ながら聴き向けの低消費電力(1W以下)動作
- 音量の調整に実用的なアンプ出力レベル・メーター
- 小型サイズ(秋月Cタイプ基板×2枚分の回路)

ピーク電圧レベルメータ
下図のピーク電圧レベルメーターは、Nutube 真空管の電圧増幅によってオーディオ信号が歪まないように音量調節するときに使用します。スケールは32dBです。10dB毎に主目盛、2dB毎に補助目盛を表示します。

構成
以下の主要部品で構成します。秋月電子通商で販売されているユニバーサル基板のCタイプを2枚使用しました。
- 基板1. 真空管アンプ部
- KORG Nutube 6P1 真空管
- Sansui ST-32 トランス
- MUSES8820 オペアンプ(インピーダンス変換用)
- 基板2. レベルメーター部
- Raspberry Pi Pico マイコンボード
- AQM1602Y-NLW-BBW 液晶ディスプレイ

製作 1.アンプ部
アンプ部の製作方法は、下記の過去のブログ記事を参考にしてください。
製作 2.電源・メーター部
電源部とメーター部の回路図は下図の通りです。低消費電力化のために33V出力と5V出力のDC/DCコンバータを使用しました。33V出力の回路図は、前述のアンプの製作に記載のとおりです(NJM2360Aで構成)。5V出力には、RECOM製のR-78E5.0-0.5を使用しました。

オーディオ入力(7.0VRMS)には、アンプ部の出力トランスの入力側を接続しました。アンプ部のオペアンプとトランスの間のオーディオ信号です。この信号はインピーダンス変換用なので、メーター部の真空管の出力の電圧を測ることが出来ます。
メーター部のソフトウェアなどについては、下記をご覧ください。
製作 3. ケース
製作した基板2枚を下図のようなケース(西務良製 No.140)に収容しました。
通常の電子工作よりも高い電圧(33V)を使用するので、回路が発熱しても発火しにくいポリカーボネートのケースを使用し、基板が接近する底面にはポリイミドテープを貼りました。

それぞれの基板の前面に液晶ディスプレイ(下図・左)、真空管パネル(下図・右)を取り付けることで、音だけでなく目でも楽しめるように配置しました。

なお、Raspberry Pi Pico上のLED(GP25に接続)は、オーディオ信号レベルに応じて輝度が変化します。プログラム内のLED 初期化処理(led = PWM(Pin(25, Pin.OUT)))の25を他のGPIO端子に変更し、真空管アンプの裏側のLEDに接続すれば、より趣きを楽しむことも出来るでしょう。
似た色味の表示
本ディスプレイは、文字色が白色、背景が黒色です。ディスプレイ全体にポリイミドテープを貼って、文字色を黄色に近づけました。青緑色に近くなったので、真空管の発光色にも似た色味になりました(偶然)。

液晶ディスプレイの視野角
しかし、上からのぞくと、文字色が黒色、背景が黄色に反転してしまいます。離れた場所から見る場合は、ほぼ正面方向から見ることになるので支障ありませんが、机の上で使う場合は液晶の視野角によって見えにくくなります。

アンプを使い分ける
下図は、上から順にA.市販のアンプ(キット)、B.今回の製作品(真空管アンプ)、C.デジタルアンプ(NJU8755V)です。大音量で音楽を楽しむときは市販のAを、ながら聴きには今回のBを、映画などを楽しむときはCを使っています。

高解像度写真
インスタグラムに高解像度写真を投稿しましたので、ご覧ください。
https://www.instagram.com/p/Cls6mnOrkwh
by bokunimo.net