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ESP8266+ESP32+RISC-V

失敗続きのESP32を使った長時間動作実験 TI製DCDC TPS61020編

Espressiff 製 Wi-FiモジュールESP-WROOM-32(以下ESP32)を使い、アルカリ乾電池による長時間動作の実験を行っています。
今回は、TI製の昇圧DCDCコンバータ TPS61020を使って実験してみました。
TPS61020はわずか25μA(Typ)で動作可能な昇圧型DCDCコンバータです。入力電圧0.9V~6Vに対して定電圧(3.3V)で最大800mA(最小電圧時200mA)の出力を行うことができます。降圧時はレギュレータとして動作します。
30分ごとに温湿度を送信するESP32搭載Wi-Fiセンサを用い、単4電池2本で何か月の動作が可能かを実験してみました。
想定した条件で試算すると、単4電池2本で4か月(単3電池2本だと10か月間)の動作が可能です。
しかし、実際には70日(2.3か月)しか持ちませんでした。

ESP-WROOM-32に単4アルカリ乾電池2本を接続

単4アルカリ乾電池2本で4か月の動作を見込んで製作したWi-Fi温湿度センサ(センシリオン製SHT31使用)だが、実験の結果、2.3か月しか持たなかった。DCDC出力には1000μF+330μFのコンデンサを実装した。
ハードウェアの構成は以下の通りです。
Wi-Fiモジュール:Espresiff製 ESP-WROOM-32
昇圧DCDC電源:TI製 TPS61020
温湿度センサ:センシリオンSHT-31
電源用コンデンサ:330μF+1000μF
アルカリ乾電池:モノタロウ製 単4乾電池 2本
使用した昇圧DCDC電源TPS61020のモジュールはストロベリー・リナックス製です。
モバイルパワーXBee変換モジュール 「MB-X」
https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12041
測定データは、IoTセンサのグラフ表示が可能なクラウドサービスAmbientへ送信しました。
Ambient (チャネル141)

測定結果の詳細:レギュレータからDCDC動作へ変わるようす

測定完了後にダウンロードした電池電圧の測定結果を以下に示します。縦軸は電池電圧、横軸は1目盛1週間の経過時間です。
最初の1週間から10日ほどは、レギュレータとして動作し、その後、数日から1週間ほどで、DCDC動作へ切り替わる様子が分かります。
電池電圧の変化の様子(縦軸=電圧V)
2018年6~8月(図・上段)と、2018年4~6月(図・下段)に実験を行った。横軸の目盛は7日毎で、最初の1.5週間ほどは電源ICがレギュレータとして作用し、その後、DCDCへ徐々に切り替わり、2週間目からDCDC動作となったことが分かる。電池末期の終止電圧は1.3~1.4Vだった。
レギュレータ動作時は、電池の内部抵抗による電圧の下がり具合が大きいことから、電源ICの効率が悪いことが覗えます。しかし、その後、電圧が上昇していることから、徐々にDCDC動作が主体となりました。
電池寿命の末期となる終止電圧は1.3~1.4Vでした。ESP32の起動時の突入電流の影響で、電源IC仕様の0.9V動作までは引き出せませんでした。終止付近でのグラフの変化が急襲なので、もし、0.9Vまで動いたとしても、あまり変わらないと思います。

単3電池2本で目標 6~8 か月間

試算値と実験結果とでは、たいてい齟齬が発生します。とくにESP32では、その齟齬が大きく、これまでも苦戦しています。その原因は、起動時の突入電流です。突入電流によるエネルギーは電池容量に比べて十分に小さいものの、大電流が流れることによる電池への負担や電源回路への影響が出ているものと考えています。
今回は単4アルカリ乾電池を使用しましたが、容量が2倍となるの単3アルカリ乾電池へ変更した場合、以下のとおり、6か月以上の動作時間が期待できます。また、単4に比べると、電池の内部抵抗も半分になるので、試算の齟齬は少なくなると予想しています。
単4アルカリ乾電池2本 試算値 4か月  → 実測2.3か月(今回の実験結果)
単3アルカリ乾電池2本 試算値 10か月 → 推測5.8か月(これからの実験予定)
経験上、電池寿命の末期が冬季になると、推測値を下回ることが多くありますが、春に差し掛かれば伸びる傾向があります。このため、ちょうど今から開始すれば、8~9か月間くらいの動作が出来る可能性もあります。
以上から、最小目標6か月、最長8か月を目指し、単3アルカリ乾電池での実証に着手しようと思います。
また、すでに2年に渡り、様々な形態で実験を行っており、条件は異なりますが、単3アルカリ乾電池2本で2017年12月から8か月以上の動作しつづけているサンプルもあります。こちらについても、終了した時点で、報告したいと思います。
ボクにもわかるESP-WROOM-32
by ボクにもわかる電子工作
https://bokunimo.net/

失敗続きのESP32を使った長時間動作実験 TI製DCDC TPS61020編」への3件の返信

参考になりました。
私はESP32CAMでやってるんですがバッテリーがどうしてもネックになるんですよね。
使い捨て前提なら単4乾電池とかの方がいいかもしれませんね。

コメントは受け付けていません。

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