前章では、バッテリ搭載M5Cameraのディープ・スリープ(Deep Sleep)を使用することで、バッテリ動作時間を約5倍まで伸ばすことが出来ました。
しかし、カメラ内蔵のカラーバランス機能や露出調整機能が動作すると、撮影のたびに色味や明るさが変動してしまいます。
本章では、マニュアル設定による長時間撮影を行う方法について説明します。
日中の雲の動きを観測する定点カメラ映像
下記の映像は、日中の約12時間分の雲の動きを撮影したものです。 フェードイン/フェードアウトは、映像編集ではありません。日の出と日没によるものです。
カメラM5Cameraの製作方法
前章のM5Cameraを使用します。未製作の場合は、下記を参照してください。
スケッチのダウンロード:
https://github.com/bokunimowakaru/m5camera/archive/master.zip
事前のM5Camera設定と、事前確認
Arduino IDEでファームウェアを書き込む前に、CameraWebServer.inoを開き、使用する無線LANアクセスポイントのSSIDとパスワードを#define WIFI_SSIDとWIFI_PASSWDに設定し、またディープスリープ時間を#define SLEEP_P 15*1000000ulに設定してください。
ディープスリープ時間はマイクロ秒単位です。15*1000000ulで15秒、50*1000000ulで50秒になります。大きい方がバッテリが長持ちしますが、撮影枚数が減ってしまいます。12時間分の映像であれば、15秒~50秒くらいに設定すれば良いでしょう。
また、事前にArduino IDEのシリアル・モニタに表示されるM5CameraのIPアドレスを確認しておいてください。下図では、192.168.1.6が表示されました。

マニュアル(手動)調整設定の要否
冒頭に記したように、カメラ内蔵のカラーバランス機能や露出調整機能が動作すると、撮影中の環境の変化で、色味や明るさが変動することがあります。
動画にしたときに変動が気になる場合や、空の明るさから雲の厚さや天候状態を観測したい場合は、マニュアル(手動)調整に設定した方が良いでしょう。また、自動調整機能をOFFにすることで、調整のための待ち時間が減り、バッテリの持続時間が長くなる効果もあります。
自動調整機能 | ON(自動) | OFF(マニュアル) |
色味や明るさ | 撮影環境によって変化する | 撮影環境による変化がない |
被写体の鮮明さ | 自動的に鮮明化される | 撮影環境によって不鮮明になる |
バッテリ持続時間 | 調整待ち時間のため短くなる | より長時間の撮影が可能 |
M5Cameraの設定画面の表示方法
M5Cameraを起動し、Wi-Fi接続後20秒以内に、M5Cameraと同じLAN内のパソコン又はスマートフォンのインターネット・ブラウザからM5Cameraにアクセスすると設定画面が表示されます。
例えば、IPアドレスが192.168.1.6の場合、http://192.168.1.6/にアクセスしてください。
操作しない状態で、20秒以上経過するとLEDが消灯し、ディープ・スリープに入り、設定ができなくなります。本体側面のリセット・ボタンで再起動してください。
M5Cameraのマニュアル(手動)調整方法
下図の画面で、AWBホワイト、AWB自動調整、AEC自動調整、AGC自動調整、人感センサ、UDP送信をOFFに設定し、「写真撮影」または「ビデオ撮影」で、画像を確認しながら、手動露出調整などを調整し、調整が完了したら右下の「設定保存」ボタンをクリックしてください。

設定を保存すると、再設定するか、Arduino IDEでプログラムを書き換えるまで、(電源を切ったりリセットを行っても)設定が保持されます。
なお、必ずしも全ての項目をマニュアル(手動)にする必要はありません。多少、色や明るさが変動しても、その都度、最適化した方が綺麗な映像に仕上がるからです。
by bokunimo.net
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余談
ノイズだと思ったら、鳥だった。

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