「こどもパソコンIchigoJam」の原点であるブレッドボード版の互換ボード(マイコンを実装する配線ボードの互換品)を作成した記事(https://bokunimo.net/blog/ichigojam/144/)を公開しましたが、今回は、その改良版です。プリントアウトした配線図を、両面テープでブレッドボードに貼り付けて、その上にジャンパ線や部品を実装してみました。
ぜひ、教室などで活用していただければ嬉しいです。
タイトルに関しての注意たった10個:実装する電子部品の数です(モジュール品1個とカウント)互換ボード:配線ボードの互換品です(後述)
目次
製作の背景
完成品のIchigoJamを用いることで、プログラミングの楽しみが広がります。また、その容姿から回路に対する興味をもってもらうことも出来るでしょう。ところが、自分で組んだ回路が動いた時の喜びを感じることは出来ません。
一方、IchigoJamのキットは、半田付に時間がとられたり、やけどの心配もあります。また、会場によっては半田ごてが使えない場合もあるでしょう。
そこで、IchigoJamのブレッドボード版を、教育専用に手直ししてみました。
ご注意:
・「互換」という言葉は不適切に解釈される懸念があります。ここでは、jig.jp社のブレッドボード版IchigoJamに対する「配線ボード」の互換品という意味で使用しています。また、IchigoJamはjig.jp社の登録商標です。本情報を展開される場合は、ご注意ください。
・Facebook のIchigoJam FANグループの書き込み(https://www.facebook.com/groups/ichigojam/703624059777350)を参考にしました。
製作方法
まずは、配線図を、下記からダウンロードして、原寸大で普通紙にプリントアウトして、ブレッドボード上に両面テープで張り付けます。
両面テープの貼り付け位置は、図の左右の両端など、部品を挿入する端子を避けたほうが良いでしょう。
その上から、ジャンパ線(EIC-J-L)、抵抗(100Ω×1本、470Ω×2本)、セラミックコンデンサ(1uF)、小信号ダイオード(1SS178)、LEDを実装します。リード線が細い場合や、マイコンのようにピン数の多いには、予め穴をあけておくと良いでしょう。LEDとダイオードには極性があります。LEDについては、図の左側がカソード(部品の根元に切欠きがある方)です。ダイオードは、上側がカソード(緑と黒の帯がある方)です。
上の例では、USBシリアル変換アダプタ(600円)を使用しています。この部品のコストが高いので、下の例のように、「ブレッドボード用マイクロBメスUSBコネクタDIP化キット AE-USB-MICRO-B-D 」に置き換えることも可能です(シリアル機能なし版)。
シリアルなし(DC版)の配線図
接続が完了したら、念のために、ジャンパ線の色(長さを示す)や部品の位置を再確認してください。
間違いが無ければ、各モジュール部品とICソケットを接続します。この時も、向きや位置に注意してください。
USBシリアル(USB版)の完成例
写真のPS/2端子について
PS/2端子(ミニDINコネクタピッチ変換キット)を保有していなかったので、この写真のPS/2端子は合成です。また、PS/2キーボードでの製作確認・動作確認はしていません。
電源を入れる前に
USBをACアダプタやパソコンに接続すると電源が入りますが、電源を入れる前に、テスターで電源がショートしていないかどうかを確認してください。
導通テスターは、完成品の純正IchigoJam Uにジャンパー線を接続するだけ(追加部品不要)で製作することもできます(https://bokunimo.net/ichigojam/checker.html )。
その他の省略した回路やパターンに関して
電源回路や、電源スイッチ、クリスタル、ボタン機能、GNDの配線パターンなど、純正IchigoJam Uに比べて、回路を省略していますので、動作が不安定になる場合があります。当方、4種類の異なるロットのマイコンに、IchigoJam BASIC Ver 1.1.1のファームウェアを書き込み、室温17℃の環境で、動作確認しました。しかし、他のロットや他のバージョン、極端な室温によっては動作しない場合があるかもしれません。
またクリスタル(水晶振動子)を使用していないため、テレビへの表示については乱れる場合があります。
教室などで使用する場合は、必ず事前に動作確認を行い、必要に応じて、純正IchigoJam Uの回路などを参照して部品を追加してください。当方、一切の責任を負いません。
部品リスト(カッコ内は参考価格)
- ブレッドボードEIC-801(270円→200円くらいの安価品も販売されている)
- ジャンパ線 橙色5本、黄色7本、緑色3本(USB版)/2本(DC版)、紫色1本(USB版)/0本(DC版)、灰色1本
- IchigoJam BASICファームウェアを書き込んだマイコン
- セラミックコンデンサ 1uF RD15F105Z1HL2L 1個(10円)
- 小信号ダイオード1SS178 1個 (5円)
- LED 1個(10円)
- ICソケット 28p 600mil(20円)
- RCAジャックDIP化キット 1個(100円)
- ミニDINコネクタピッチ変換キット 1個(150円)
- 超小型USBシリアル変換モジュール1個 (600円 または AE-USB-MICRO-B-D 200円)
参考情報・注意
- 価格は参考の値です。調達先や方法で大きく異なる場合があります。
- ジャンパ線は、単線リード線を加工して作成すれば安価に製作することが出来ます。
- ファームウェア書き込み済みマイコンは秋月電子通商などで販売されています。
また、jig.jp社のライセンスの範囲で自分でファームウェアを書き込むことも可能です。 - 各モジュールキットの半田付けが必要です。あらかじめ、主催者側で半田付けしておくか
部材を調達する時に完成品で調達する方法が考えられます。 - 「SLEEP」コマンドによる長時間のスリープは故障の原因になるかもしれません。
使用後は必ず、USBからの給電を止めてください。 - マイコンに加わる電源電圧が4.0~4.2Vくらいになります。絶対定格の範囲内であり、
また当方にて十分な試験を行ってはいますが、ご心配な場合は、ダイオードの代わりに
レギュレータを使用ください。
電圧を下げるだけであれば、LEDを使う方法も有効です。パイロットランプを兼ねることができます。
詳細情報 = https://bokunimo.net/blog/ichigojam/141/
あるいは、ダイオードを2本、直列につなぐ方法も面白いでしょう。
(4/4 IchigoJam FANグループのImakiさん、名畑さんからのアドバイスに基づいて追記しました) - 紙はプリント基板に比べて、引火しやすい材質です。
実験が終わったら、必ず電源を切っておくようにご注意願います。 - この回路は、教室などで手軽にIchigoJamを組んで、その喜びを感じてもらうことを目的と
したものです。恒久的、持続的に使うことは想定していません。
(4/4 誤解の無いよう、念のため、追記いたしました。)
完成例(PS/2端子なし・USBシリアル版)
ポイントは持ち帰っても外れにくいこと
このボード案の特長は、教室が終わって、自宅に持ち帰るときにジャンパーワイヤーなどが外れにくいように考慮したことです。具体的には、長さが固定された硬いジャンパー線を使用しました。
また、各モジュールを角に配置することで、モジュールが外れても、戻しやすくしました。
このホットメルトで接着するのも容易でしょう。
また、各モジュールを角に配置することで、モジュールが外れても、戻しやすくしました。
このホットメルトで接着するのも容易でしょう。
部品点数についても、IchigoJam業界最小構成※(ビデオ出力・USB電源対応品として)だと思います。
by ボクにもわかるIchigoJamマイコンボード