目次
簡易測定に使用した機器等
以下の機器等を使用しました。
- 信号発生 日本コロンビア マイCDチェック CA-5006
- スピーカ ONKYO D-102EX
- マイクロホン primo EM158
- スマホ SHARP AQUOS Sense 3 plus
- ソフト Spectroid 1.1.1(Carl Reinke氏)
測定条件
測定時は、スピーカとマイクロホンの周囲から、反射物を遠ざける必要があります。目安として、スピーカとマイクロホンの距離の5倍、離すことで、反射波による影響度を1dB程度に抑えることが出来ます。スピーカとマイクの距離は、スピーカの大きさの3倍程度、離します。
大型のスピーカだと、こういった要件に合わせるのは、筆者のような一般の家庭では難しいです。今回は、小型スピーカを用い、ツイータ面から垂直に20cm離れた場所にマイクロホンを設置しました。経験上、家庭内での測定は20cm~30cm程度距離の場合に、再測定時の再現性が得られやすくなります。1m以上の距離で測る場合は、屋外で測るか、専用の設備(無響室)が必要でしょう。
信号発生にはオーディオ・チェック用CDを使用し、正弦波の周波数スイープ信号を出力しました。類似のCDは、秋月電子通商でも販売されています。
音量は、マイクロホンで約70dBの音圧が得られるように調節しました。正弦波の信号は、アンプやスピーカなどの機器や場合によっては聴覚を損傷させてしまうことがあるので、音量の上げ過ぎには十分に注意して下さい。
測定対象のアンプ
測定対象は、秋月で売られている4つのD級オーディオ・アンプです。詳細は、冒頭に記載したこれまでのブログ記事を参照ください。また、比較用に2台のアンプも用意しました。
- AE-TPA2006
- NJU8755
- PAM8012
- PAM8403
- ONKYO A-905TX(比較用)
- EK JAPAN TU-8100(比較用)
簡易測定による比較結果(スピーカ接続時)
以下にスピーカ接続時の比較結果を示します。筆者の聴感(主観)では、単一の歪み率で0.2%以上、合計0.5%以上で音に違いを感じたので、数字にマーカをつけました。ただし、特性はスピーカを含む簡易測定によるものにつき、各デバイスや機器の性能を示すものではありません。
デバイス・機器 | 周波数特性 | 歪み率(2次) | 歪み率(3次) | 歪み率(合計) |
AE-TPA2006 | 80~20kHz | 0.09% | 0.06% | 0.15% |
NJU8755 | 50~20kHz | 0.10% | 0.06% | 0.16% |
PAM8012 | 50~20kHz | 0.08% | 0.05% | 0.13% |
PAM8403 | 50~20kHz | 0.22% | 0.24% | 0.46% |
A-905TX | 50~20kHz | 0.11% | 0.06% | 0.17% |
TU-8100 | 60~20kHz | 0.22% | 0.10% | 0.32% |
以降のページで、それぞれの測定結果の詳細を説明します。
「秋月で売られている高音質D級オーディオ・アンプ4種類をコンポ用スピーカに接続して、比較してみた」への5件の返信
実に40年前に購入したアンプ付きスピーカーを久しぶりに引っ張り出したところ片側のアンプが壊れていることが分かり,D級アンプで簡単にレストアできないか探していてここに行きつきました.比較で良さそうなPAM8012を組み込んでみたところいい感じで鳴ってくれましたがドラムの音がおかしい感じがしました.調べたところ,説明書に音量に合わせてゲインコントロールが働いているとなっていましたのでこれをOFFにした(インプットコンデンサ2つの隣のチップコンデンサをショートした)ところ格段に音色が良くなりました.スピーカーの容量に余裕がある場合はオートゲインコントロールをOFFにした方が良さそうです.
最後にこのような比較サイトを作っていただきありがとうございました.非常に参考になりました.
コメントしていただき、ありがとうございました。
確かに、PAM8012ので音量を上げ過ぎると、自動利得調整機能の応動が間に合わず、大口径のスピーカの低音に異常をきたすことがありました。とはいえ、普段は気にならないので、すでに半年ほどメインで使用しています。
異音は、一度、経験するとアンプそのものが頼りなく感じると思いますが、いろいろ作ってみて、このアンプが一番、気に入っています。例えば、消費電力が0.05W(PAM8012を2個使用。製作品での実測。音量を上げれば、その分は増える)と小さいので、電気代を気にせずに使えます。
ところで、入力のコンデンサの容量は増強されているでしょうか?
https://bokunimo.net/blog/audio/1901/
もし、未増強だと低音の音域が出にくくなり、それが「おかしい感じ」になっていた可能性も考えられます。ご参考まで。
[…] […]
返信ありがとうございます.入力コンデンサは1μFのポリエステルフィルムコンデンサーに置き換えてあります.もっともスピーカーが5cmと小さい(マランツ ULS-5)なので低音は全く出ませんのでコンデンサ交換は意味があるのか分からないくらいですが.で,感じた違和感は低音ではなくスネアドラムやシンバルのアタック音の抜けの感じと言えばいいでしょうか.明らかに壊れていないもう1台の内臓アンプのスピーカーの方がいい音だったのが同等(高音の伸びはこちらが上)になりましたのでせっかくならばと思った次第です.データシートにもAnti-Saturationがどのレベルで効いてくるのか明記されていないのがこのICの残念なところかと思います.
ありがとうございます。なるほどです。シンバルは原理的に影響が出そうですね。また、5cmの小型スピーカとのことなので、スピーカユニットの感度を意図的(低音を出すため)に低めに設計して、小型化と高音質化の両立を図っている可能性が高そうです。もし、そうだった場合、アンプの所要出力が高くなるので、PAM8012ではドライブ能力不足気味になって、Anti-Saturationに影響するのでしょう。意外と小型スピーカ(低音の出せるタイプ)のほうが、影響を受けやすいのかもしれないですね。私も同じような口径のOntomoスピーカーOM-MF4(音圧83dB)というのを持っているので、機会があれば実験してみようと思いました。