目次
仕様
旧製品Zero Wとの違いはプロセッサです。従来は、シングル・コアの32ビット ARM11を使用していましたが、Zero 2Wでは4コアの64ビットのARM Cortex-A53へと、コア数、ビット数ともに性能アップしました。プロセッサ以外の仕様は同じです。
Model | 発売 | 価格 | 無線 | プロセッサ | DMIPS | RAM | USB | HDMI | 拡張 GPIO |
Raspberry Pi Zero 2W | 2021年 10月 | $15 | 〇 | 64bit ARM Cortex-A53 | 9,200 | 512 MB | Micro 1 port | Mini | 40 Pin |
Raspberry Pi Zero W | 2017年 2月 | $10 | 〇 | 32bit ARM 1176 | 1,250 | 512 MB | Micro 1 port | Mini | 40 Pin |
Raspberry Pi Zero | 2015年 11月 | $5 | × | 32bit ARM 1176 | 1,250 | 512 MB | Micro 1 port | Mini | 40 Pin |
見た目の比較
プロセッサとRAMが搭載されていると思われる黒色のパッケージ(中央)と、金属シールドで覆われた無線部と思われるモジュール(中央からやや右)の2つの主要部品が旧製品よりも大型化していました。各コネクタ、SDカードスロット、GPIO、ビス固定用の穴、基板サイズなどは変わっていないので、従来のケースがそのまま使えそうです。
起動速度の比較結果(実測)
まず、はじめに起動速度を比較してみたところ、旧製品Zero Wに比べ約2.6倍に高速化が図られてました。条件を合わせるために、Raspberry Pi OS Desktop 2021-05-07をインストールした同じマイクロSDカードを使い、OSの初期インストール後、Wi-FiとBluetoothを無効に、USB端子にはUSBハブ経由でイーサネット・アダプタ、キーボード、マウスを、HDMI端子にはモニタ(フルHD解像度)を接続した状態で測定しました。
起動速度の比較
Model | 起動時間 |
Raspberry Pi Zero 2W | 40 秒 (約2.6倍速) |
Raspberry Pi Zero W | 102 秒 |
消費電流比較結果(実測)
次に消費電流を測定してみたところ、旧製品Zero Wよりも30%ほど増えていることが分かりました。OSには、前記のテスト時よりも軽量なRaspberry Pi OS Lite 2021-05-07を使用し、Wi-FiとBluetoothは無効、起動時はUSB端子にUSBキーボード、HDMIにモニタを接続しましたが、測定時はUSBとHDMIを外し、10秒ほど待ち、消費電流が落ち着いた時の値を記録しました。
待機時の消費電流の比較
Model | 消費電流(待機時) |
Raspberry Pi Zero 2W | 105 mA (約30%増大) |
Raspberry Pi Zero W | 80 mA |
使用しないまま数分が経過すると、さらに消費電流が10mAほど下がるようですが、これは、普段、使用しているときの待機状態ではなく、不在時の待機状態と思われます。
さらに、何もしないループ処理を繰り返すだけのプログラムをPythonで実行したときの消費電流を比較してみたところ、こちらも旧製品Zero Wよりも35%ほど増えていました。
動作時の消費電流の比較
Model | 消費電流(動作時) |
Raspberry Pi Zero 2W | 195mA (約35%増大) |
Raspberry Pi Zero W | 145 mA |
最後は、電源OFF時のスリープ時電流です。シャットダウン実行後に測定しました。
電源OFF時の消費電流の比較
Model | 消費電流(スリープ時) |
Raspberry Pi Zero 2W | 53 mA (約45%増大) |
Raspberry Pi Zero W | 37 mA |
最近のモデルとしては、電源OFF時の電流が大きいです。例えば、Raspberry Pi 4 Model Bでも22mAです。個体差かもしれないですし、ファームウェアの更新などで、今後、改善されるかもしれません。
電波法に関するご注意
現時点で購入できるRaspberry Pi Zero 2Wは、電波法に関する工事設計認証が得られていません。下図の上側の旧製品Zero Wには〒マークと認証番号が印刷されていますが、下側のZero 2Wには印字されていません。このままの状態で使用すると、仮に無線機能がOffであっても、電波法に違反する場合があります。無線機器として使えない状態に改造するか、技術基準適合証明を受けるか、認証が得られてから認証済みの製品を購入してください。
むすび
消費電流が30%ほど増大しましたが、その一方、処理性能については、コア単体性能で約2倍、さらにコア数が4倍になり、デスクトップ環境での操作性や、複数の処理を同時に実行したときの処理速度の向上などが期待できます。
今回、実測した起動速度(2.6倍)は、総合的なパフォーマンスとしても、同じくらいの向上があると考えて良いでしょう。
他のRaspberry Piのモデルとの比較は下記を参照ください。
https://bokunimo.net/raspi/index.html#specification
by bokunimo.net
「Raspberry Pi Zero 2W の消費電流と起動時間 ~ Zero Wとの比較 ~」への3件の返信
[…] Raspberry Pi Zero 2W の消費電流と起動時間 ~ Zero Wとの比較 ~ […]
余計なお世話かと思いますが…
電波法についての記載がありましたので少し補足をさせていただこうかと思います。
認証されていない機器(無線局)を開設した場合に電波法に抵触するのですが、「無線局の開設」というのは無線機能使用の有無では無く、無線局を設置することを指します。
よってその機能(Wi-Fiなど)をオフにしただけでは電波法をクリアすることはできません。
技適対応マークの無い無線設備に関しては電波を送出する回路の物理的な撤去等、完全に電波が出せないよう対策を講じられませんと無線局が開設されていることになり電波法第4条に抵触し、電波法違反となりますのでご注意ください。
多少手間となりますが電波暗室にてご利用されるか、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」をご利用頂くことをお奨めいたします。
教えていただき、ありがとうございました。
無線機能のOFFだけでは、電波法に抵触する可能性があるとの指摘を反映しました。