ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ報告編 - AQUOS LC-20AX5
(作成:2005年11月13日) 地デジTopへ
過去(2005年時点)の古い製品の情報です。
執筆時点で広告としての意図はありませんでしたが、実質的に1製品の特長を
紹介していますので、読み手にとっては広告になる場合があります。
AQUOS LC-20AX5
本機はハイビジョンパネル採用と地上デジタルチューナー内蔵の20インチ
液晶テレビAQUOSです。
特徴 ・地上デジタルチューナー内蔵(BS、110度CSチューナも内蔵)
・SHARP ASV方式 ハイビジョン液晶パネル搭載
・i.Link (MPEG-TS)端子搭載、PC入力端子搭載
・バスレフ方式スピーカー、モバイルオーディオ入力端子
20インチ未満のブラウン管テレビからの買換えや、書斎や子供部屋といっ
た個人用テレビとして、性能、機能、価格で、満足できる製品だと思います。
はじめに
パソコン用モニターと兼用するために購入しました。型番が同社の大型液晶
テレビのLC-ADシリーズでは無かったので不安がありましたが、同サイズの
液晶テレビの中で最も良いと思って選択しましたところ、画質についても、
とても満足の出来る良い製品でした。
しかし、購入してから調べてみると、本機に関する記事や批評が少ないと
いうことに気づきました。
当初は、レポートを書く予定はありませんでしたが、折角、買った製品が
評判が無いというのも寂しいので、ここで報告したいと思います。
地上デジタル放送とAQUOS
SHARPは、地上デジタル試験放送が始まる2003年7月に間に合わせる形で、
地上デジタルチューナ内蔵の AQUOSを業界で初めて商品化したメーカです。
当時、試験放送の開始に間に合ったのは、AQUOS LC-30AD1の1機種だけでし
たので、AQUOSの地上デジタル対応への強い意気込みが感じられました。
地上デジタル放送の本放送が開始されて以降も、AQUOS液晶テレビは地上デジ
タル放送の普及に大きく貢献しています。2005年9月までの地上デジタルチュー
ナー内蔵テレビの出荷台数(全メーカ)は255万台と、プラズマの64万台
の4倍もの出荷台数となっており、AQUOSの貢献の大きさがうかがえます。
ハイビジョン液晶パネル 満足度=◎
本機は16:9のハイビジョン液晶パネルを搭載しています。実は、他の液晶
テレビでは、地上デジタルチューナを搭載していても、ハイビジョン液晶で
は無い場合があります。下表の19〜22インチの5製品の比較表を御覧いただ
くと、16:9のハイビジョン液晶は5機種のうち2機種しかありません。
メーカー| SONY |Panasonic | 東芝 | SHARP | SHARP |
機 種 名|KDL-S19A10|TH-19LX50 | 20LC100 | LC-22AD5 | LC-20AX5 |
────+─────+─────+─────+─────+─────+
解 像 度|△HD(PC)|△HD(PC)| ○HD | ×854x480| ○HD |
HDMI入力| × | × | × | × | × |
PC入力| △ D-Sub | × | × | × | △ D-Sub |
D端子数| D4×2 | D4×1 | D4×1 | D4×1 | D4×1 |
iLink TS| × | × | × | △ D-VHS | △ D-VHS |
HDMI端子非搭載 満足度=×
本機にはHDMI端子が装備されていません。したがって、将来に不安がありま
すが、同サイズでは他社も搭載されておらず選択の余地がありませんでした。
ただし、デジタルでの映像接続入力という点では、iLink TS端子が装備され
ています。もし、HDMI普及までの期間にHDMIの代わりとしてiLinkへの出力が
認められれば言うこと無しなのですが、現時点では分からないので不安です。
PC入力 満足度=○
本機のPC入力にパソコンを接続することで、パソコン用モニターと兼用で
きます。特に、ムービーの編集といった動画用途では、とても鮮やかな画面
と、滑らかな動画に感動しました。
しかし、接続には少しとまどいました。まず、パソコンから出力する垂直周
波数(リフレッシュレート)を60Hzにしておく必要があります。また、画面の
解像度もAQUOSで手動で設定しなければなりません。さらに、周波数や位相の
調整も手動で設定する必要があります。初めて接続したときは、このあたり
が分からずに、映像がボヤケてしまっていました。
実際に使用してみると、パソコン用モニターに比べて、画素が大きすぎるの
で、RGBの3色が分離して見えてしまいます。さらに、画面全体が高速に
点滅しているような点滅感があり、テキスト文字を中心に扱うような場合は、
目が疲れてしまいます。実際に、AQUOSに近づいて画面の前でペンを振ると、
ペンが何本にも分かれて見えるフリッカー現象が発生します。液晶パネルが
テレビ専用の為、応答速度が速すぎるのだと思います。
以上から、通常の映像については動画も静止画もとても鮮やかで綺麗ですが、
テキストを中心に扱う場合はパソコン専用モニターの方が良いでしょう。
なお、本機の同梱物に、パソコンに接続する為のケーブルが付属しています。
ケーブル類は別売りのメーカーが多いですが、他にも、4mもの長いアンテナ
ケーブルが2本も付属していたり、何かと便利な20cm程度の短いケーブル
まで付属していて、太っ腹な印象を受けました。
i.Link (MPEG TS) 端子 満足度=○
20インチ程度の液晶テレビでは、めずらしいi-Link搭載は、本機の目玉だと
思います。Rec-POTと繋ぐことで、ハイビジョン録画が手軽に楽しめます。
良い点は、i.Link接続だと映像と音声がデジタル伝送されますので映像に変
化が無い点です。通常のハイビジョンレコーダーをD端子で接続した場合は、
本機のチューナーで視る映像と、ハイビジョンレコーダーからの映像では、
若干の色や明るさに違いが出てきます。しかし、i.Link接続では、デジタル
録画&デジタル伝送ですので、本機で視るテレビ映像との違いがほとんど無
い映像を録画し、また、再現することが出来るのです。
ただし、Rec-POTには、ディスクモードとD-VHSモードがあり、本機はD-VHS
モードにしか対応していません。Rec-POTのD-VHSモードとは、HDDなのに、
まるでビデオテープを扱うように操作するモードです。つまり、160GBなら
およそ20時間のビデオテープを入れたビデオデッキを接続しているような
イメージです。また、ビデオテープはエンドレスになっていて、古いものか
ら順に消えてゆきます。消したくない番組はロックすることも出来ます。
他にも、録画中はチャンネルが変えれないだけでなく、HDDに録画した番
組の再生も出来ない問題があります。
したがって、手軽に高画質なハイビジョン録画を楽しみたい方には便利な端
子ですが、通常のD端子接続のハイビジョンレコーダーの方が、より便利に
使えます。あるいは、1台目はD端子でハイビジョンレコーダーを接続し、
2台目以降のレコーダとしてRec-POTを買い足して行く方法も便利です。
通常は、1台目の通常のハイビジョンレコーダーで録画し、残したい番組は
Rec-POTにムーブしてゆきます。Re-POTの映像はiLinkでハイビジョンレコー
ダーを経由しなくても再生することが出来るので、とても、便利です。
画質(1)動きボケ 満足度=◎
一般に、液晶は応答速度が遅いので、動いているものがボヤケる動きボケが
発生すると言われています。しかし、本機では大きな映像が動いている動き
ボケは気にならないレベルです。通常の映像では残像感も感じられません。
但し、大型の液晶と同様に、高速なテロップの流れには弱いです。
「PC入力」の節ではパソコンを接続した場合にフリッカー現象が発生する
と書きましたが、動きのある映像に関しては、フリッカーが発生するような
液晶テレビのほうが残像が感じられなくなり、動画像を鮮明に表示すること
ができます。つまり、本機のようなフリッカーが出る方が、液晶テレビとし
ては高性能なのです。
気になるのは、放送された映像そのものの問題やIP変換(プログレッシブ
変換)や解像度変換によるものと思われるボヤケやノイズです。
20インチと小さくても、パソコン兼用となると大型テレビよりも近づいて
視ることが多くなりますので、小さな映像の動きボケやノイズが気になるよ
うに感じます。
また、アナログ放送の映像の場合は、大きな映像の動きに残像感や違和感を
感じます。これは、ブラウン管やプラズマでも発生するIP変換による残像
だと思います。
プログレッシブ変換をオフにすることで、改善はされますが、画質が荒くな
る上、なおハイビジョン放送との差が明らかに残っています。
使うかどうかは別として、画面サイズをノーマル(左右に黒帯)かフル(画面が
横長に潰れるモード)にすると、さらに、改善されるように感じられますが、
そこまでして視なければならない程、気になるものではありません。
画質(2)コントラスト 満足度=◎
コントラストに関しては、本機では、1000:1の高コントラストな液晶が搭載
されています。暗い映像の中の黒っぽい服でも、はっきりと再現されており、
明るい映像から暗い映像まで、鮮明に映ります。ただし、これは蛍光灯の元や
外光のある明るい場合です。部屋を暗くすると、画面の明るさを最小にしても、
黒の浮きが確認できます。これは液晶特有の問題で、1000:1のコントラスト
でも対応しきれていないようです。とはいえ、明るさを下げても視覚上での
コントラストは、あまり低下しません。黒の浮きはあるものの暗い映像でも
鮮明に再現されています。
特に、一般的な液晶では暗い部屋で視ると眩しいのですが、本機の液晶は画面
の明るさの設定範囲が広いため、暗い部屋での眩しさをあまり感じません。
しかし、明るさセンサーを使用した場合で、かつ蛍光灯下の明るい環境では、
少し、眩しく感じます。眩しいと感じる明るさに個人差があるのだと思います
ので、このような場合は手動で適正な明るさに調整する必要があります。
操作感 満足度=○
AQUOSの操作感は、概ね統一されており、ほとんど説明書なしで操作するこ
とが出来ます。複雑な操作は、全て、メニューを押すことから始まります。
画面の上部からブルダウン式の項目を選択するといった、Macintoshの操作
のような感じです。
また、同社のハイビジョンレコーダーとも同じ操作感であり、このあたり
で操作性の統一がされています。一般に、デジタル放送対応テレビやハイビ
ジョンレコーダーの操作は複雑なので、これらが統一されていることは、
良い傾向だと思います。
しかし、見つけにくいメニューもあります。他のAQUOSでは、トップメニュー
からアクセスできるような項目も含めて、デジタル放送に関連したメニュー
が、全て「デジタル設定」「デジタルメニューへ」の階層の下にあります。
頻繁に使う機能はありませんが、本機のデジタルチューナーが後付のような
メニュー構造になっています。
最も良く使う電子番組表(EPG)については、文字と時間軸が横方向の表示
です。表示される文字が大きいため、文字数が少なくて、一覧性が悪いよう
に感じられますが、表示や移動が速い上、横表示だとスクロールさせている
時に読みやすいので、不自由は感じられません。しかし、多人数で番組表を
確認している場合などは、操作なしに見れた方が良いと思います。
他社も含めてデジタル放送の機能は、操作のレスポンスが悪いが一般的です
が、AQUOSやSHARP製ハードディスクレコーダーの電子番組表は、番組表ボタ
ンを押してから表示されるまでの時間が短いなど、他社に比べると、やや快
適に感じます。
録画予約 満足度=△
録画予約についても、ほぼ共通のAQUOSの仕様です。i.Linkで接続したD-VHS
のビデオデッキや、IRリモートコントロールによってDVDやHDDレコーダなど
のビデオと連動した「ビデオ連動予約」での録画予約が可能です。もちろん、
IRリモートコントローラーは付属品として同梱されています。
ただし、これらの機能は、地上デジタルチューナーを内蔵したハイビジョン
レコーダーと比べれば、テレビの「おまけ」的なものに過ぎません。
とはいえ、テレビの視聴中に、番組表から手軽に録画予約を入れれる点では、
録画予約の作業が非常に簡単です。臨時の予約や、レコーダーの予約操作が
苦手な人にとっては、シンプルな分、使いやすい場合もあります。
番組を探す為の、ジャンル検索や日時検索といった必要最小限の検索機能も
搭載されており、やはり、動作(レスポンス)も早くて快適です。
録画予約は、番組表ボタンを押して、矢印キーで選択して決定ボタンを押す
ことで、予約の画面に移り、以降の操作は選択式で、予約方法、録画方法、
を選ぶだけです。
ただし、毎週予約や日時指定の予約は出来ません。また、予約可能な件数は
最大で16件です。このあたりでも、録画予約を専門とするハイビジョンレ
コーダーとは、大きく仕様が異なります。
また、ビデオ連動予約の出力は、通常のピンコード接続となり、録画される
映像はレターボックス映像(4:3サイズの上下に黒帯が付加された標準画質の
映像に変換されます。
意外にも画質の方は、S端子で録画したものと大差が無いことに驚きました。
これは、ピンコードよりもS端子が鮮明」という先入観があった為で、再生
も録画もデジタル機器の場合は、ピンコードでも十分に高画質な映像が得ら
れるのです。(もちろん、録画機やケーブルの性能にもよります。)
ハイビジョン放送をS端子でスクイーズ録画したものに比べると、解像度が
画面サイズ比の25%の劣化がある点は避けられませんが、アナログ放送を録
画した映像よりは格段に鮮明です。
それでも、大切な録画は少しでも高画質で録画したいものですので、S端子
出力を搭載していないことが、残念であることに変わりありません。
初めてのハイビジョン放送対応テレビの方には、以上のビデオ連動予約でも
十分に楽しむことができるでしょうが、画質にこだわる方は、i.Link接続の
Rec-POTでハイビジョン録画を行なう方が良いでしょう。
また、録画番組しか見ない方は、別途、ハイビジョンレコーダで録画した方
が良いと思います。一方、とっさの録画や、たまたま、番組表を見ていて、
録画したい番組を見つけたとき(電子番組表を主体にチャンネル切換をする
デジタル放送の視聴では、頻繁にこのような状況が生じます)には、Rec-POT
が大活躍します。テレビにデジタルチューナーとi.Linkが装備されている本
機のメリットを十分に感じることが出来るでしょう。
デザイン 満足度=○
本機は AQUOS Aシリーズを継承したメタル調のツートンカラーのデザイン
です。一見してカッコイイ上、高級感があります。もちろん、液晶テレビの
背面の接続端子部はカバーが付いていて、コネクタやケーブルが見えないよ
うに工夫されていますし、配線も1束にまとめれるようになっており液晶の
支柱の背面を通せば、正面から見たときに、液晶と液晶の足の隙間から、ケー
ブルが見えないようにすることが出来ます。
このあたりは、高額の大型液晶のデザインから来ているので、至れり尽くせ
りなのが良いです。ところが、20インチ程度の小さな液晶でデジタル対応
となると、端子数が増えてしまい、背面のカバーのスペースが増大してしま
います。結果的に、本体の厚みが太くなってしまい、横から見たときに、液
晶のイメージが崩れてしまうのが残念です。かといって、線がバラバラと出
ているのも見た目が悪いので、むづかしいところでしょう。
リモコン 満足度=◎
本機に付属のリモコンは、デジタルチューナーを内蔵したAQUOSで共通のデザ
インです。やはり、高額な大型液晶と共通デザインということで、とても、
使いやすく仕上がっています。まず、重量のバランスですが、矢印キーあたり
に親指が来るように持った時に、前後のバランスが取れるようになっていま
す。また、幅も、ちょうど、持つ位置に相当するところだけが細くなっていて
ほぼ一般的な携帯電話と同じ幅になっています。上方のほうが幅広になるデザ
インが好みの分かれるところかもしれませんが、操作性や保持感は、とても、
良いです。
また、主要なボタンが、親指が来る部分に集中しているので、片手だけでも
ほとんどの操作が可能です。しかも、使う頻度にあわせて、少しづつ親指に近
づいており、頻度の少ないボタンほど、遠くにあります。さらに、めったに使
わないボタンはカバーの中に隠されています。
欲を言えば、画面サイズのボタンが、もう少し近い方が良かったと思うのです
が、大型液晶テレビでは、フタの中に入っています。
画面サイズは、D端子やS端子からの切換信号だけでなく、映像から自動判断
して切り替える機能もついているので、「めったに使わない」と考えられてい
るようです。しかし、映像からの自動判断は全体的に暗い画面では誤動作する
場合がありますので、本機の付属リモコンのように、せめて外部に出しておい
て欲しいです。
まとめ 満足度=◎
AQUOS GDシリーズやADシリーズと比べると、仕様面で劣っている部分があるよ
うに感じます。しかし、機能面ではPC入力といった20インチのサイズでの
用途を考慮した仕様になっていたり、また、性能面では新開発の最新の液晶
パネルを採用している点で、画質的にも十分な仕上がりになっています。
さらに、AQUOS ADシリーズから継承している部分も多く、サイズは小さいもの
の他社製品よりもワンランク上の仕様が装備されている点で、2005年11月現在、
20インチ前後の液晶の中ではベストな選択だったと思います。
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