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アナログオーディオ用D級パワーアンプIC NJU8755V
日清紡マイクロデバイス(旧JRC)の最大1.2W(スピーカ8Ω)のステレオ・アンプIC(SSOP 20ピン)です。ステレオなので2ch分を一つのICで増幅できます。
アンプICの価格が150円(執筆時)と安価です。本ブログでは、秋月電子通商製ピッチ変換基板(HTSSOP20ピン・HSOP20ピンDIP変換基板, 秋月通販コード:P-10441)にアンプICやデカップリング・コンデンサを実装し、ユニバーサル基板(Dタイプ)にLCフィルタを実装しました。
下図のように、ピッチ変換基板上のGND(VSS、VSSL、VSSR)のパターン部に銅箔テープを半田付けし、コンデンサを直接ピッチ変換基板に実装することで、主に高周波ノイズの発生や回り込みを抑制します。
銅箔を半田付けするには、予め基板上のレジストを剥がし、薄く半田を流しておき(半田メッキのような状態にする)、銅箔の角になる部分をしっかりと基板パターンに半田付けしてください。
下図は、アンプICを実装したピッチ変換基板を、ユニバーサル基板(Dタイプ)に実装し、LCフィルタを実装した完成例です。
オーディオ入力には、入力抵抗27kΩ、直流阻止コンデンサ2.2uFを接続しました。
データシートにはNJU8755V内のアンプの設計情報が書かれていませんでしたが、利得が23dB、入力インピーダンス20kΩから逆算すると、フィードバック抵抗は140kΩと算出できます。入力レベル0.5V(RMS)で出力1.2W(8Ω)を得るには、目標電圧利得Av=6.2となるので、入力抵抗Rin=27kΩ、設計電圧利得Av=6.0倍(15.5dB)にしました。
NJU8755Vの入力ピン(IN_LとIN_R)には、高周波回り込み防止用のコンデンサ100pFを接続し、コンデンサの反対側を電源のVSSに落としました。このコンデンサは、ピッチ変換基板上に実装します。当初、回路図通りに製作したところ、10kHz付近に発振がみられました。ピッチ変換基板が原因と考え、VSSの配線を銅箔に変更し、同じ銅箔上に前述の100pF、COM端子用のコンデンサ10uF、NJU8755VのVSSを最短距離で接続しました。このため、ピッチ変換基板が、御輿(みこし)のような格好になりました。
オーディオ出力側は、L=27uH、C=1uFのLCフィルタで構成し、ユニバーサル基板の4隅に配置しました。
Raspberry Piと一緒に一つのケースに入れたときの完成例を下図に示します。
MUTE端子は、スイッチ付き可変抵抗器のスイッチで制御できるようにするとともに、スイッチ状態をRaspberry PiのGPIO27に入力しました。スイッチがOFFのときに、GPIO27にLレベルを入力し、Raspberry Piをシャットダウンするためです。
PAM8403使用・ステレオD級アンプモジュールキット
秋月電子通商が開発したキットです。アンプICには、1.4W(スピーカ8Ω)×2チャンネルのPAM8403が用いられています。予め表面実装部品が裏面に実装されたキットで、表面の8点の部品を半田付けするだけで完成します。下図のボリュームのつまみは別売りです(可変抵抗器は付属)。
予め基板の裏面に表面実装されているアンプの入力抵抗は27kΩで、電圧利得Av=6.3倍(16.0dB)です。
「秋月で売られているD級オーディオアンプ3種類を簡易測定で比較してみた」への4件の返信
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