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3つのオーディオ・アンプの設定利得の比較
これら3つのアンプは電源電圧5V、BTLタイプ(フル・ブリッジ・ドライバ)なので、理論上の最大出力Pは、3.54(Vrms)^2÷8(Ω)≒1.56(W)です。また入力を0.5VrmsとするとAv=3.54(Vrms)/0.5(Vrms)≒7倍となります。実際にはFETのON抵抗などの影響を受けるので、これらよりも少し小さな値になります。以下に、今回製作したそれぞれのアンプの設計値を示します。
アンプ | 入力抵抗 | 設定利得 | 定格出力(8Ω) |
TPA2006 | 22 kΩ | 6.8倍(16.7dB) | 1.45 W |
NJU8755V | 27 kΩ | 6.0倍(15.5dB) | 1.2 W |
(PAM8012)※ | 10 kΩ | 6.0倍(15.5dB) | 1.0 W |
PAM8403 | 27kΩ | 6.3倍(16.0dB) | 1.4 W |
簡易測定による比較結果
オーディオ・アンプは、高出力時と低出力時に音質が劣化します。しかし、高出力時の測定には、正確な定格レベルでの出力が必要であり、精度の低い簡易測定では調整が難しいという課題があります。そこで、本稿では、それぞれのアンプに約0.001Vrmsを入力した低出力時の特性を簡易測定してみました。
今回の入力レベルは、定格出力より約54dB低い値です。定格入力(定格出力)マイナス20~60dB程度の範囲内で、なるべく低い入力レベル値にしてみました。例えば出力音圧85dB/1W/mのスピーカに定格1.4Wのアンプの組み合わせた場合、85+1.5-54=32dB/1W/m(スピーカの音圧(dB/1W)+10log(定格出力÷1W)+定格に対する入力レベル(dB))の音圧となります。
以下に簡易測定結果をまとめます(詳細は後述)。
アンプ | 周波数特性 | 歪み率(2次) | 歪み率(3次) | 歪み率(合計) |
TPA2006 | 100~20kHz | – | 0.12% | 0.12% |
NJU8755V | 40~20kHz | 0.20% | 0.11% | 0.31% |
(PAM8012)※ | 40~20kHz | – | 0.04% | 0.04% |
PAM8403 | 40~20kHz | 0.40% | 0.40% | 1.20% |
「秋月で売られているD級オーディオアンプ3種類を簡易測定で比較してみた」への4件の返信
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