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コンポ並みの音質かどうか
一般的なコンポのオーディオアンプにはAB級アンプが採用されています。仕組みは異なるものの、D級アンプと同様に、定格出力に近づくと歪み率が増大(悪化)し、また小音量時も増大します。コンポの定格出力時の歪み率は-54dB(0.2%)、その他の出力だと-66dB(0.05%)程度の表示となっています。もちろん、グレードの高いコンポは、より低歪みです。
そこで、本ブログでは歪み率0.2%以下をコンポ並みと定義することにしました。
使い方も条件も異なるので、直接、数字を比較することは出来ませんが、TPA2006とNJU8755については、歪み率0.1~0.3%だったので、コンポなみの音質に迫っていることが分かりました。一方、PAM8403については、歪み率1.2%のうえ、認知できる異音が出ている点からも、コンポとは違う用途(スマート・スピーカや、家電の音声出力用、ラジカセ程度の利用など)で使用するのが良いと思いました。
下図はコンポ用アンプと自作アンプの性能差のイメージです(主観を含む)。適度な音量(最大音圧70dB)であれば、実使用上の性能差はコンポ用のアンプなみと言えるでしょう。
簡易測定の方法
本稿では計測器ではなく、信号源にオーディオ・テストCDを使用し、測定側にスマホのオーディオ入力機能を使用した簡易測定です。信号源は、実際に接続する機器を使うのが良いでしょう。
[信号発生]→[アンプ]→[LCフィルタ]→[負荷抵抗]→[スマホ]
- 信号発生:マイCDチェック CA-5006(日本コロンビア)
- スマホ用アプリ:Spectroid (Carl Reinke氏)
- LCフィルタ:L=47uH、C=0.22uF
- 負荷抵抗:8Ω(33kΩ 1/4W 4本・並列)
スマホへの入力方法は下記で紹介したものです(今回は、マイクは使っていない)。スマホのヘッドホン端子のピン配列に注意するのと、最大入力レベルに近づかないようにしてください。
下図はTPA2006測定時の様子です。アンプ出力部のLCフィルタと負荷抵抗(8Ω)は、写真上部の小型ブレッドボードに実装しました。測定時にスピーカの負荷の代用として必要な負荷抵抗は、33Ω 1/4Wの抵抗4本を並列接続(8Ω 1W)して製作しました。
基板にLCフィルタを実装したNJU8755の測定時は、負荷のみをアンプ出力端子に接続しました。抵抗の定格が1/4W×4本で1Wなので、アンプの定格出力1.4Wを測定することは出来ません。
ご注意
- タイトルの「秋月」は、(株)秋月電子通商を示します。
- 本ブログは秋月電子通商によって作成されたものではありません。本ブログ内の情報についての問い合わせは、当ブログのゲストブックにお願いします。
- 本ブログ内の情報によって、被害を被られたとしても、一切、補償いたしません。自己責任でご利用ください。
- 本稿に記した測定結果は、簡易測定によるものです。またサンプル数も1台です。
- 測定結果は、各デバイスの性能を示すものではありません。本稿では、主に3種類のアンプの比較と、性能の目安を把握するために表示しました。
by bokunimo.net
「秋月で売られているD級オーディオアンプ3種類を簡易測定で比較してみた」への4件の返信
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